袴田氏は人間の良心の問題と教会の関わりについて、「良心に関連した教会の責任。教会員の良心を神の言葉によって教育しなければならない。良心それ自体が誤って機能することが(社会の中で)起こり得る。神の言葉によって良心がきよめられなければならない(テトス1・15)。教会員の良心が御言葉に結びつけられて、人を恐れるのではなく、神を畏れる者として整えられる必要がある。『良心におけるキリスト教の復興が求められている』のではないか。国家権力が良心の主になろうとしていることに対して、教会は無自覚でいてはいけない」と説いた。
袴田氏は2006年に行われた教育基本法改正において、「国家の教育権を否定する条文が改定され、国家が教育権を持つようになった。国民の内心に介入し、支配しようとする権力の意図が見られる。良心が神に結びつく信仰と対立するようになってしまう。信仰の立場からこれを拒む必要がある。その意味で、教会で良心が自覚的に働く必要がある。良心を御言葉以外のものに結びつけようとする国家主義に対して警戒しなければならない」と説いた。
橋下氏の考え方の何が問題なのか?
袴田氏は今後維新の会の実権を握ろうとしている橋下氏に対して、民主主義観が選挙絶対主義となっていることに懸念を示し、「民主主義社会において話し合い、議論は大切だが、最後は選挙で解決する。決断が正しいかどうかは選挙でわかると考えており、選挙における勝利こそが改革のエネルギーであるとしている。有権者の反応に応じることが民主主義であり、民意に政治家が従うのが当たり前であるという、選挙結果を絶対視する政治観がある」と述べた。
袴田氏は民主主義における先進各国のコンセンサスとして、「民主主義では政治的権利の平等、少数意見の尊重」がなされていることを挙げ、「民主主義において最も怖いことは、多数派による独裁である。少数派の意見は尊重されるべきであり、民主主義で多数派に従うのは便宜のためであり、多数派意見が絶対に正しいからではない。日本では多数派の意見が正しいというのが多数決の意味合いのように解釈されることがある。そうなると少数派が間違っていることになる」と懸念を示した。
また橋下氏が「民主主義は感情統治」と述べていることに対しても、「民主主義は国民のコンセンサスを得るための制度だが、それは論理や科学的正しさではなく、感情によって成し遂げられるものだと言っている。人は感情を支配されると、その人の論理が破たんし、発言内容が変わったとしても支持者が離れなくなってしまう。感情を支配する言葉を使い、支持を集めてくると、理性的な対話が難しくなる。理性的判断を放棄して橋下氏に心を委ねるようになる。これはきわめて危険であり、キリスト者は決してこのような人に心を明け渡してはならない」と注意を促した。
袴田氏は聖書的価値観における民主主義について「聖書は民主主義を絶対化してはいないが、為政者は公共のために奉仕するものである(ローマ13・4)。為政者が人間の内心を支配してはならない。橋下氏は常にメディアをチェックし、有権者の意識を知ることに努力している。有権者のマジョリティをそのまま肯定する。常に多数派の意見に立っている。これは橋下氏の問題というよりも、私達社会の側の問題ではないか。本当に深刻なことである」と述べた。
強い改憲思考に警戒を怠ることはできない―戦前の教会の二の舞にならないために
袴田氏は総選挙が行われるにあたって、「維新の会だけではなく、強い改憲思考を持つ安倍氏にも警戒を怠ることはできない。平和は基本的人権が保障される大切さを社会全体が失いかけてきているのではないか。たとえ少数はであっても、本当に大切なものが社会から失われないように、『地の塩、世の光』として行動する必要がある」と呼び掛けた。
また良心について、「いつのまにか良心が権力に絡み取られてしまうことがあることを自覚しないといけないのではないか。(日本社会において)ふつうに生きている中で、意図的なものの中で染みつかされているものがある。『御言葉にしっかりと立つ』というのは、自覚的に取り組まなければできないこと。憲法が変えられたりしたときに、戦前の教会が失敗した歴史を現代の教会が繰り返さないということが言えるのかが非常に不安になる現状がある」と懸念を伝えた。
民主主義とキリスト教の関係については、「日本国憲法における民主主義は大切に受け止めるべき。健全に生きる社会の少数派として、本来の民主主義の持っている思想を受け止める中で大切にしていくべきである」と勧めた。
互いに信頼し、積極的な交わりを
また民主主義の社会における教会の牧師の在り方について、「(世の中には)心がこわばっている人たちが多い。しかしそのような人たちが教会の牧師たちの中にも見られる。牧師たちが本当に福音の喜びと自由で生きているのか。心がこわばっている人たちは(信仰において)何かがおかしい。そのような人たちが教会の内外でどんどん増えているように思える。そのことが社会に生み出していくさまざまな弊害がある。心の交わり、本当の意味での交わりを教会がしていくことが大切である。ゆるぎない信頼関係をクリスチャン同士が持っていることが非常に重要である。キリスト教会も積極的に頑張って他教派と交わりをしていくべきである」と述べた。
前ページはこちら
クリスチャントゥデイからのお願い
皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。
人気記事ランキング
-
元阪神マートンさんが来日ツアー「クリスマスの贈り物」 関西学院大でトークイベントも
-
東洋英和女学院大学、次期学長に藁谷友紀氏
-
ニカイア公会議1700周年を記念、開催の地で一致求め祈る 教皇や全地総主教らが参加
-
ワールドミッションレポート(12月3日):ソマリア 厳しい大地に芽を出す福音の種
-
英国で「路傍伝道者憲章」 相次ぐ街頭説教中の逮捕受け
-
東京・銀座で牧師がトーク&ライブ「メリエストクリスマス2025」 12月25日
-
京都ノートルダム女子大学、次期学長に酒井久美子氏 学生募集停止の来年4月から
-
日本人に寄り添う福音宣教の扉(236)聖霊による傾聴活動は日本社会を覚醒する(中編) 広田信也
-
聖心女子大学と聖パウロ学園高校が協定締結 共にカトリック系
-
キリストの心と思いが与えられている恵み(8)御言葉により与えられる安息 加治太郎
-
「神の霊によって、主はこの国を造り替えられる」 日本リバイバル同盟が「祈りの祭典」
-
英国で「路傍伝道者憲章」 相次ぐ街頭説教中の逮捕受け
-
映画「ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師」 「信仰と抵抗」の生涯描く
-
元阪神マートンさんが来日ツアー「クリスマスの贈り物」 関西学院大でトークイベントも
-
ニカイア公会議1700周年を記念、開催の地で一致求め祈る 教皇や全地総主教らが参加
-
中国の大型政府非公認教会「シオン教会」の主任牧師ら18人逮捕、最大拘禁3年の可能性
-
聖心女子大学と聖パウロ学園高校が協定締結 共にカトリック系
-
東洋英和女学院大学、次期学長に藁谷友紀氏
-
日本人に寄り添う福音宣教の扉(236)聖霊による傾聴活動は日本社会を覚醒する(中編) 広田信也
-
逆境は人生を開く 穂森幸一
-
「神の霊によって、主はこの国を造り替えられる」 日本リバイバル同盟が「祈りの祭典」
-
英国で「路傍伝道者憲章」 相次ぐ街頭説教中の逮捕受け
-
元阪神マートンさんが来日ツアー「クリスマスの贈り物」 関西学院大でトークイベントも
-
ニカイア公会議1700周年を記念、開催の地で一致求め祈る 教皇や全地総主教らが参加
-
映画「ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師」 「信仰と抵抗」の生涯描く
-
中国の大型政府非公認教会「シオン教会」の主任牧師ら18人逮捕、最大拘禁3年の可能性
-
聖心女子大学と聖パウロ学園高校が協定締結 共にカトリック系
-
東洋英和女学院大学、次期学長に藁谷友紀氏
-
日本人に寄り添う福音宣教の扉(236)聖霊による傾聴活動は日本社会を覚醒する(中編) 広田信也
-
青山学院と山梨英和学院が協定締結、授業連携など視野に

















