アンギラはカリブ海に浮かぶ小さな島で、人口はわずか1万5千人に満たない。かつての植民地時代の名残を色濃く残す英国自治領として内部自治政府を持つが、経済の柱は観光業のみで、住民1人当たりの所得は2万8500ドル前後と、地域水準としては高い。島民の静かな暮らしは、美しい砂浜と爽やかな海風の中にあるが、島の教会には見過ごせないチャレンジがある。
教会の伝統は根強いものの、霊的な理想と実態のギャップが指摘されている。礼拝や儀式、伝統的な教派の慣習は維持されているが、それが信仰の「知識」や「形式」にとどまり、生きた信仰、隣人との交わり、日常生活への福音の適用が弱いのではないかという懸念がある。また、観光業の拡大、リゾートの大型化、観光客の流入が増えるにつれて、外からの文化、宗教的無関心、あるいは多様な宗教観を持つ人々との出会いが教会の在り方を問う機会となっている。変化の波は小さな島であっても避けがたく、教会には霊的な準備が必要だ。
さらに、信徒間、教会間の協力関係がまだ十分ではなく、異なる教派同士や大小の教会が相互にコミュニケーションを取り、地域奉仕や福祉、青少年育成、観光客へのケアなどの地域ニーズの領域で連携できる可能性がある。しかし現状では、それがうまく活用できていないところに課題がある。信仰共同体として「一致したからだ」による証しが、外部から見れば強く映るのだ。
この小さな島の教会が押し黙ってしまうことを、神は望まれない。むしろその静けさは、霊的な夜明けの下地を予感させるものであることを願いたい。教会が伝統に甘んじることなく、礼拝と祈りが聖霊に深く導かれ、観光業や移民の増加という変化の中で、生きた信仰の証しが立つことを期待したい。教会が一致し、小さな福音の種が旋風を起こすような働きになるように祈ろう。
揺れる時代の変化の中で、教会が神の器となり、観光客にも住民にも福音の香りを示すように祈っていただきたい。
■ アンギラの宗教人口
プロテスタント 44・4%
英国教会 31・7%
カトリック 6・3%
その他諸派 9・5%
イスラム 0・8%
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