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保育の再発見

保育の再発見(5)乳幼児の世界観を理解しよう

2023年5月21日22時08分 執筆者 : 千葉敦志
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子ども/children/kids/幼稚園/kindergarten/保育園/nursery+
※ 写真はイメージです。(写真:Yuri Shirota)

未発達な記憶

乳幼児の記憶とは、相当に未発達です。乳児であれば、目の前にあるものでも、目を離した瞬間に隠してしまうと、その存在すら忘れてしまいます。3歳くらいまでの子は、自分の周囲に感じ取れるものだけを認識しているのです。つまり、自己を中心とする世界しか知らない状態なのです。

そのため、乳幼児の養護や教育(これを合わせて「保育」といいますが、詳しくは前回を参照)を行うときに必ず意識してほしいのが「記憶の範囲」です。この記憶の範囲は、「空間」「時間」「定員」の3つで構成されます。

「空間」は、その子が認識できる空間的範囲です。
「時間」は、その子の記憶や予測が及ぶ時間的範囲です。
「定員」は、その子が一度に対処できる人数です。

乳幼児の空間認識

1歳くらいまでは、目の前にあるおもちゃをさっと隠されると探そうともしません。1歳前当たりから物を目で追うようになりますが、それも不完全です。探そうとするのは、1歳半くらいからと思っていいでしょう。目の前にあったものさえすぐに忘れてしまう記憶力ですから、自分の目の届く範囲以外のことは存在していないも同じです。

例えば、部屋の外で何が起こっているかなど、想像することもしません。まだ、空間的認識がそこまで発達していないのです。

乳幼児の時間軸

乳幼児は、時間軸もまた大人ほど発達していません。目の前に置いたものを隠されると、そのもの自体の存在を忘れてしまうということは、時間的な記憶の概念さえも曖昧なのです。ですから、経験則などもありません。

この辺の感覚が芽生えてくるのは、やはり1歳半を過ぎて立ち歩きができるようになってからです。体の機能の発達が経験を生み、その経験がさまざまな予測に役立つようになっていくのです。記憶から経験を引っ張り出すことができ、それが成功(喜び)を導き出すようになると、時間の概念がしっかりしてきます。

乳幼児の対人スキル

乳幼児の対人スキルは、すなわち人数の問題です。これまで書いてきたように、1歳半くらいまでは、空間や時間の把握がまだかなり未熟ですので、自分以外の他者に対する意識もほとんどありません。人見知りをするようになるまでは、目の前の人にしか注意がいきません。そして多くの場合、それは主に母親です。母親(や主養育者)が見える範囲に入れば安心します。主養育者であるかどうかの判断は、声や触感(体温、だき方、力加減)、匂いによって行うといわれています。

人見知りが始まるのは、人の違いが目で見て分かるようになったということです。その後は、覚えた人の様子を記憶していき、人付き合いの基礎を構築していきます。

子どもの対人スキルの見極めには、その子が一度に何人の相手に対応できるかということが重要になります。2歳児ぐらいであれば3人程度です。3歳児で5〜6人、5歳児で最大10人くらいが標準的だと思います。私はこれを「定員」と呼んでいます。

他者の感情を推し量れるようになるのは3歳くらいからです。しかし、それも段々に深みが増していくもので、子どもが大人同様、自分の現状を客観的に把握できると考えるのは、大人の全く勝手な思い込みです。

子ども一人一人が持つ「定員」をしっかり理解していくと、子どもたちに「空気を読む」ことを求めることはできないことだと分かるはずです。「空気を読む」とは、その場全体の人々の思いの絡まりを理解することだからです。

乳幼児期に混乱するとその後が大変になる

乳幼児期に必要な体験を、順を追ってすることは必要なことであり、とても大切です。社会生活を営む上で必要となる空間の認知能力や時間軸の理解、対人スキルの構築などは、実はこの時期に形成されるものであることが分かります。昨年話題になった保育施設における虐待事件は、そういう視点からも考察されなければならないと思っています。要は、こうした空間・時間・対人の認知能力の形成をすっ飛ばした子育てや保育は「準虐待状態」と扱われるということなのです。

乳幼児が、何度も同じ状況や同じ言葉に笑ったり、際限なく物事を繰り返したり、何の躊躇(ちゅうちょ)もなく虫や小動物をいたぶったり、殺したりするのは、こうした空間・時間・対人の認知能力をまだ獲得していないか、不十分な獲得で止まっているからなのです。

乳幼児の成長プロセスを考える

まだ未成熟な乳幼児に、順を飛ばしたスキル形成を促すのは、その後の人生形成において大きなつまずきをもたらします。しかし、逆に言えば、乳幼児期のスキル形成の過程では、さまざまな「子どもらしさ」に満ちた行動や思考が見られます。

例えば、何もない空間などを凝視したり、目で追ったりする現象、また、ありもしないものに恐怖を感じたり、ささいなことで泣いたりすることなどです。大人になれば、頭をぶつけた程度では泣きませんが、子どもは、頭をぶつけたり、転んで擦り傷ができ、少し血が出たりするだけで泣いてしまうでしょう。

私たちは、いつ、どうして、泣くことをやめたのでしょうか。

私の娘が小学生の時、頭をぶつけたのに泣かなかったので聞いてみました。すると彼女は、「頭をぶつけた程度では死なないって分かったから」と答えました。

乳幼児期の体験や経験の積み重ねがこのように生きてくるわけです。

乳児が眠くなると不機嫌になり、眠るのを拒否し続け、結局電池切れのおもちゃのようにパタッと寝てしまうのも、未成熟な認知に原因があります。つまり、眠った世界があると理解していないのです。実は「明日を楽しみにする」という行為は、「眠っても明日はやってくる」という確信に裏付けられて初めてできる行為なのです。

次回は、このあたりのことをもう少し詳しく考えてみましょう。(続く)

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◇

千葉敦志

千葉敦志

(ちば・あつし)

1970年、宮城県生まれ。日本基督教団正教師(無任所)。教会付帯の認可保育所の施設長として、保育所の認定こども園化を実施。施設長として通算10年間、病後児保育事業などを立ち上げたほか、発達障害児や身体障害児の受け入れや保育の向上に努め、過疎地域の医療的ケア児童の受け入れや地域の終末期医療を下支えするために、教会での訪問看護ステーション設置などを手がけた。その後、これまでの経験に基づいて保育所等訪問支援事業を行う保育支援センターを立ち上げた。現在、就労支援B型事業所「WakeArena」を立ち上げ、地域の福祉増進を目指している。

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