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【書評】『愛をばらまけ―大阪・西成、けったいな牧師とその信徒たち』

2022年12月16日11時27分 執筆者 : 臼田宣弘
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【書評】『愛をばらまけ―大阪・西成、けったいな牧師とその信徒たち』+
上村真也著『愛をばらまけ―大阪・西成、けったいな牧師とその信徒たち』(筑摩書房、2020年11月)

本書は、大阪・西成の釜ヶ崎にある「メダデ教会」(メダデは旧約聖書の民数記11章26~27節に記されている人名)の西田好子牧師と信徒たちの生き様を、読売新聞大阪本社社会部の上村真也記者が同紙に連載した記事を書籍化したものです。

大阪で生まれた西田牧師は学校の教師をした後、52歳で関西学院大学神学部を卒業し、日本基督教団の教会を2年間牧会します。その後一度大阪に戻り、5年後には、あいりん地区とも呼ばれる釜ヶ崎で生活をするようになります。そしてさらに2年後の2012年夏、釜ヶ崎から程近い場所にあった元中華料理屋の店舗を購入し、そこでメダデ教会を始めます。

釜ヶ崎は、東京の山谷、横浜の寿町と並ぶ日本三大ドヤ街の一つとして知られています。西田牧師はその釜ヶ崎で、野宿者たちに「うちのところに、来うへんか」と声をかけては、教会で衣食住の世話をしていきました。そして、その中には信徒になっていく人たちもいたのです。

信徒には、殺人などで受刑した元受刑者や元やくざ、アルコール依存者、精神障がい者などがおり、そのほとんどは身寄りがなく、生活保護受給者だということです。

インターネットで公開されている西田牧師の説教を見てみましたが(動画1・動画2)、確かに伝わってくるものがあります。「愛をばらまけ」というタイトルの本書ですが、具体的な信徒との関わり、そして信徒同士の関わりの中に愛を感じることができます。

「ここにおる者は皆、重い過去を背負ってきとる。でも座り込むな。立て。歩け。生きろ!」

西田牧師は、釜ヶ崎の公園でこのように叫んでは、神の愛を伝えているのです。

本書は7章で構成されています。メダデ教会の概略を伝える1章、西田牧師の歩みを記している2章、そしてそれ以降は、各信徒たちのことが具体的に伝えられています。その中で特に印象深かったのが、ページ数が最も多く割かれている4章に登場するヒデキさんの話です。

彼は10代でシンナーに漬かり、その後の20年間で19回も服役をした後、釜ヶ崎で生活を始めます。そのヒデキさんが、釜ヶ崎の公園で行われていた伝道礼拝に初めて出席します。最前列に座っていた彼は、説教をしていた西田牧師に対し、「祈っても同じや。酒持って来い」「おい、神とか愛とかどうでもええから、はよ炊き出し食わしてくれよ!」と叫んだそうです。

見かねた西田牧師は、説教の途中で「お前、ええかげんにせえ。アホ、ボケナス、ウンコ」と言って、ペットボトルの水をヒデキさんの頭の上からドボドボとかけたそうです。

このヒデキさんが、メダデ教会に関わるようになりました。西田牧師は、彼に車椅子の老人信徒の世話をさせます。その様子について著者は、「人に必要とされる喜び。ここ何十年と味わったことのない感情を思い出していたのだろう。ヒデキは西田に何度も頭を下げた」と伝えています。

そんなヒデキさんでしたが、再びシンナーを吸い、逮捕・起訴されます。西田牧師は公判で証人として立ち、情状酌量を求める証言をします。そして最後に裁判所でヒデキさんに説教をします。

「全てを捨てろ。酒、たばこ、シンナー、全部捨てるんや。1年か2年かわからんけど、獄中でよう考えてほしい。甘さを持ち続けたらアカンのや」

判決公判で、西田牧師とメダデ教会の信徒たちが傍聴する中、裁判官はヒデキさんに、懲役1年4月を言い渡します。閉廷直前に、ヒデキさんは「お世話になった方々にひと言、あいさつしていいですか」と尋ねます。裁判官が前を向いたままであることを条件に許可すると、彼は「西田のお母ちゃん、メダデの兄貴たち。迷惑かけて、すみませんでした」と言って退廷します。

7章で、このヒデキさんが再び登場します。刑務所から送られてきた手紙が、西田牧師の元に届いていたのです。西田牧師から送られてきた聖書を読み、獄中で伝道しているヒデキさんの様子が伝えられています。

本書は2020年11月の出版で、ヒデキさんの出所は2021年2月とあります。著者は「じんぶん堂」というサイトで、3回連載シリーズの「『愛をばらまけ』、その後」として、出版後のメダデ教会の様子を紹介しています。ヒデキさんは、その第2回で取り上げられていますが、そこには厳しい現実もあるようです。しかし、弱音を吐きつつも、真剣に向き合い続ける西田牧師の姿が描かれています。

西田牧師の生き方は、型破りかもしれません。しかしそれは、愛を信じて、真剣に福音を伝える生き方なのだと思います。そんな西田牧師の奮闘を伝える本書を、ぜひ多くの人に読んでいただきたいと思います。

最後に、メダデ教会で最も愛され歌われているという賛美歌(新聖歌248番「人生の海の嵐に」)を紹介したいと思います。

人生の海の嵐に もまれ来しこの身も
不思議なる神の手により 命拾いしぬ
いと静けき港に着き われは今 安ろう
救い主イエスの手にある 身はいとも安し

■ 上村真也著『愛をばらまけ―大阪・西成、けったいな牧師とその信徒たち』(筑摩書房、2020年11月)

◇

臼田宣弘

臼田宣弘

(うすだ・のぶひろ)

1961年栃木県鹿沼市生まれ。80年に日本基督教団小石川白山教会(東京都文京区)で受洗。92年に日本聖書神学校を卒業後、三重、東京、新潟、愛知の各都県で牧会。日本基督教団正教師。2016年より同教団世真留(せまる)教会(愛知県知多市)牧師。

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