Skip to main content
2025年6月15日20時35分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
聖書と植物

聖書と植物(14)アロエか沈香か 梶田季生

2022年12月2日11時44分 コラムニスト : 梶田季生
  • ツイート
印刷
関連タグ:梶田季生
聖書と植物(14)アロエか沈香か 梶田季生+
キダチアロエ(写真:Andrew massyn)

随分前のことです。低温やけどで皮膚が荒れ、薬を塗れば塗るほど悪くなる一方とのこと。おばあさんに言われてアロエの皮をむいて付け出したそうです。「本当にきれいな肌になりました。びっくりするぐらいです」と後日仰っておられました。医者いらずとはよく言ったものです。

1. 聖書に登場

さて、アロエと沈香(じんこう)が翻訳上交錯しながら新約聖書(NT)に1回、旧約聖書(OT)に4回出てきます。まず、NTです。十字架から降ろされたイエスを葬るためにニコデモが持ってきたものです。「前に、夜イエスのところに来たニコデモも、没薬とアロエを混ぜ合わせたものをおよそ三十キログラムばかり持って、やって来た」(ヨハネ19:39、新改訳)。

このアロエを沈香と訳しているのが、新改訳2017(以下、2017と略)、新共同訳、口語訳、文語訳です。

OTを2017で引用します。「あなたの服はみな 没薬 アロエ シナモンの香りを放ち」(詩篇45:8)。「寝床を没薬、アロエ、シナモンで 香らせました」(箴言7:17)。「ナルドとサフラン、菖蒲とシナモンに、乳香の採れるすべての木、没薬とアロエに、香料の最上のものすべて」(雅歌4:14)。「それは、広がる谷のよう、また川のほとりの園のようだ。主が植えたアロエのよう、また水辺の杉の木のようだ」(民数記24:6)。これと同じようにアロエとしているのが新改訳、新共同訳です。共同訳は全て沈香です。

口語訳と文語訳は民数記だけ沈香樹とし、他の箇所は「ろかい」(アロエのこと)です。

OTの原文ではアハロートゥ、またはアハリームです。前者は女性名詞、後者は男性名詞です。ギリシャ語の七十人訳(LXX)では4カ所ともまちまちです。雅歌ではヘブル語の発音に合わせてアロートゥです。恐らく70人の人たちは何であるか知らなかったのでしょう。

2. 名称の混同

ヘブル名アハロートゥ、アハリームは、樹木のジンコウ、その樹脂の沈香(じんこう)を表すサンスクリット語のアガル、ヒンディー語のアグルに通じているといいます。アガル、アグルを訳したとき、発音の似ているアロエを用いたといわれています。ところが、アロエは沈香とは全く別種のものですから、英名ではさらにややこしい印象を与えています。

3. アロエ(ユリ科、南アフリカ原産、地中海沿岸、亜熱帯各地に帰化、2n=14)

通称医者いらずとよく知られているものはキダチアロエ(Aloe arborescense Mill.)です。多汁多肉質の先細りする細長い葉で、先端はとげとなり、葉縁にも粗いとげがあります。緑色の葉に白色の流れ斑(ふ)が入ります。ロゼット状に展開します。その中心から花茎が伸びる有茎種で1メートルくらいになります。胃腸病、やけどなどの民間薬にされています。苦味が強いです。

聖書と植物(14)アロエか沈香か 梶田季生
アロエベラ

苦味の無い種(しゅ)はバルバドスアロエ(キュラソーアロエ)(A. Barbadensis Mill.=A.vera L.)です。これが聖書のアロエです。高さ1メートルほどになる有茎種で、黄色から橙色の筒状の花を、枝分かれした花茎の先に穂状につけます。葉はキダチアロエと同じですが、私の手元にあるものは白色の流れ斑が細めで少ないです。薬用や野菜用に栽培されています。

いずれにしても香りは全くありません。OTの箇所では香りのある植物の中に記されていますので、アロエではないと思われます。香料植物と推察されます。

アロエは古代エジプトで薬用やミイラに使用されていました。イエスの葬りの準備にニコデモが没薬と混ぜて持ってきたのはユリ科のアロエであろうと、ヘブル大学の植物学者M・ゾハリーはいいます。アロエは、アロインやアロエニンなど十数種の薬用成分が知られています。主成分アロインは、バルバドスアロエの乾燥粉末に33〜40パーセント含まれています。アロエの汁を蒸発させて残った黒い塊は、商品として取引されています。唐代の中国に伝わり蘆(ロ)カイと呼ばれました。口語訳と文語訳に訳出されている「ろかい」です。

4. 沈香(ジンチョウゲ科ジンコウ属)

ジンコウは不思議な樹木です。老木や倒木、枯れ木、虫に食害された材が土の中に埋没して、細菌類の作用で傷の内部に樹脂が分泌、蓄積して香木となります。重くなり水に沈むようになります。しかも熱を加えると特有の芳香を出します。それで沈香といわれます。

聖書と植物(14)アロエか沈香か 梶田季生
沈香(写真:Hafizmuar)

沈香はベンジルアセトン、テルペン、高級アルコールなどの樹脂を約50パーセント含みます。水での沈み加減により微妙に香りが異なりますが、記憶に残る優雅な香りを放ちます。沈香を生ずる木はインドを中心に生育するもの、ベトナム、マレー半島中心のもの、中国中心のものと3種類ありますが、いずれもジンコウ属です。

聖書の沈香樹(ジンコウ)はインド、アッサム州を主に生育する Aquilaria agallocha Roxb. です。高さ30メートルにもなる常緑の高木です。葉は薄く長さ5〜9センチの披針形、互生につきます。花は散形花序で葉腋につきます。花弁がなく、白色の5ガク片、10本の雄しべがあります。樹皮は薄く、その内側にある維管束の部分を靭皮(じんぴ)といい、強靭です。羊皮紙に似て、アッサムの王はそれに文字を書いたといわれます。

材質は柔らかく、かすかな香りがあるといいます。ところが傷つけられ、土に埋もれ、防御のために樹脂が沁み出し、黒褐色の塊が生じて燃やされたとき、さらに強く甘く心地良い香りを放つのです。うつなどに効果を表します。生薬にも興奮剤、強心剤、駆風剤として用いられます。

自らが傷を負い、人を癒やすのです。苦難の僕(しもべ)、キリスト・イエスを思い起こさせます。「彼には見るべき姿も輝きもなく、私たちが慕うような見栄えもない。・・・彼は私たちの病を負い、私たちの痛みを担った。・・・その打ち傷のゆえに、私たちは癒やされた」(イザヤ53:2〜5)

いつエジプトに、またパレスチナにもたらされたのかよく分からないのですが、ソロモンの歌で花嫁が醸し出す愛の心、容姿などを例える香りの一つです。インドの北、ネパールに自生する稀少なナルドもここに記されているのは、意味深長です。

「あなたの産み出すものは、最上の実を実らせるざくろの園、ナルドとともにヘンナ樹、ナルドとサフラン、菖蒲(しょうぶ)とシナモンに、乳香の採れるすべての木、没薬とアロエ(実際は沈香)に、香料の最上のものすべて、庭の泉、湧き水の井戸、レバノンからの流れ。北風よ、起きなさい。南風よ、吹きなさい。私の庭に吹いて、その香りを漂わせておくれ。私の愛する方が庭に入って、その最上の実を食べることができるように」(雅歌4:13〜16)

ソロモンの時より約430年前、モーセに率いられたイスラエルの民をバラムが主によって祝福した言葉にも出てきます(民数記24:5、6)。邦訳では、アロエまたは沈香ですが、LXXでは幕屋と訳されています。おそらく5節の「ヤコブよ、あなたの天幕は。イスラエルよ、あなたの住まいは」を受けて、「それは、広がる谷のよう、また川のほとりの園のようだ。主が植えたアロエ(幕屋/LXX、沈香/共同訳)のよう、また水辺の杉の木のようだ」(6節)。

杉の木は、レバノンの高地にある堂々たるレバノン杉です。水辺にあればなおのこと、外見の姿は主に従う者の祝福の姿です。

「正しい者は なつめ椰子の木のように萌(も)え出で レバノンの杉のように育ちます。彼らは 主の家に植えられ 私たちの神の大庭で花を咲かせます。彼らは年老いてもなお 実を実らせ 青々と生い茂ります」(詩篇92:12〜14)

それに対比して、沈香は内側の祝福の姿です。

「彼は痛めつけられ、苦しんだ。だが、口を開かない。・・・彼が私の民の背きのゆえに打たれ、生ける者の地から絶たれたのだと。・・・彼は自分のたましいの激しい苦しみのあとを見て、満足する」(イザヤ53:7、8、11)

それは、神の栄光を捨てて人の形をとり、自らを低くして死にまで、それも十字架の死、身代わりの死にまで従い、罪びとを救われた主の愛の心、柔和さを表している姿です。この救い主にあって新しくされる祝福の姿です。

「わたしは、・・・へりくだった人たちの霊を生かし、砕かれた人たちの心を生かす」(イザヤ57:15)

この沈香をバラムは、東西を行き来する隊商から見聞きしたのでしょうか。モーセは、王女のもとにいた40年間の時でしょうか。その後の羊飼いの40年間の時でしょうか。2人とも知っていたはずです。

<<前回へ     次回へ>>

◇

梶田季生

梶田季生

(かじた・すえお)

1946年愛知県生まれ。66年に日本バプテスト宣教団津新町キリスト教会で受洗。学生時代はKGK(キリスト者学生会)で交流。68年に三重大学農学部農学科(育種)を卒業。72年に大阪聖書神学校を卒業後、池田キリスト教会伝道師。80年から南都農園(現ナント種苗)飛鳥育種農場で品種改良に従事し、メロン、カボチャ、大根を担当。農場長および宇陀育種研究農場長を経て退職。単立名張聖書キリスト教会元牧師、みえ洗足キリスト教会元協力牧師。このほど、聖書の視点から植物に託されたメッセージをひも解く『聖書の植物―草と木に託されたメッセージ』(イーグレープ、四六判・300ページ、税込2200円)を出版した。なぜイエスは人との関係をブドウに例えたのか、アーモンドはなぜキリストの復活の象徴なのか。実物のカラー写真を配置しながら、分かりやすい言葉で解説している。注文は、全国の書店・キリスト教書店、Amazon、または、イーグレープのホームページにて。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:梶田季生
  • ツイート

関連記事

  • 聖書と植物(13)いばらの冠・キリストイバラ 梶田季生

  • 聖書と植物(12)何をささげますか 梶田季生

  • 聖書と植物(11)まかぬ種は 梶田季生

  • 聖書と植物(10)茨とぶどう 梶田季生

  • 聖書と植物(9)野のゆり 梶田季生

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • ワールドミッションレポート(6月11日):キリスト教信仰が最も急速に成長している国々

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(230)聖書と考える「あなたを奪ったその日から」

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.