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【書評】『高校生がこれからの人生を生き抜くためのアントレプレナーシップ』『高校生に贈る7つのエール』

2022年3月22日07時28分 執筆者 : 青木保憲
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関連タグ:青木保憲
【書評】『高校生がこれからの人生を生き抜くためのアントレプレナーシップ』『高校生に贈る7つのエール』+
須山恵一著『高校生がこれからの人生を生き抜くためのアントレプレナーシップ』(2020年、KS DREAM Publishers)と『高校生に贈る7つのエール』(2021年、同)

良書である! まずこの一言から始めたい。人間を半世紀もやっていると、中高時代のことがかすみの向こう側に追いやられていくような感覚にとらわれてしまうことがある。牧師として、ユース世代との向き合い方は、大げさな言い方ではなく、本当に教会の趨勢(すうせい)を決定付けると確信している。だからこそ、彼らに伝える「言葉」や「言い回し」、そして提供する「素材」には常にアンテナを張り巡らせている(つもりである)。しかし前述したように、それでも次第に距離が広がっていく感覚は否めない。これで60歳を迎えたらどうなるのか。異星人と会話するような感覚に陥ってしまうのだろうか。

今回紹介する2冊は、同郷の後輩にして、私が通っていた教会の幼なじみと結婚した須山恵一氏の「講演集」である。愛知県半田市の名門(迷門?)「半田高校」(私もその端くれに加えられている・・・)の出身で、名古屋大学から三菱重工業に入社し、民間航空機部門の第一線で活躍した人物である。その後、三菱航空機へ移り、英国で経営管理学修士(MBA)を取得、現在に至っている。その彼が、母校の半田高校で2019年9月に行った講演会の記録が、『高校生がこれからの人生を生き抜くためのアントレプレナーシップ』(2020年、以下『アントレプレナーシップ』と記す)である。

そして、彼と共に講演した仲間と協力し、コロナ禍にある後輩高校生たちへエールを贈りたいと出版されたのが、『高校生に贈る7つのエール』(2021年、以下『7つのエール』と記す)である。ちなみにその仲間とは、ニューヨーク州立大学ビンガムトン校システム科学・産業工学科教授にして、早稲田大学商学学術院教授である佐山弘樹氏、株式会社 Paidy 代表取締役社長兼CEOにして、コロンビア大学でMBAを取得しビジネスの第一線で活躍している杉江陸氏、そして半田中学校教頭にして、ミャンマーとの国際交流に携わる岩橋雅高氏である。そうそうたるメンバーであり、「ミドルエイジ・アベンジャーズ」といってもいいヒーロー集団である。

しかし、講演や対談の内容は、そんな立派な肩書を忘れさせてくれるほど魅力的である。やはり、代表著者である須山氏の語り口が、若者たちの心をしっかりとつかんでいるのだと思う。

1冊目の『アントレプレナーシップ』から紹介しよう。

アントレプレナーシップとは、ざっくり言えば「起業家精神」ということになる。須山氏は冒頭から、さまざまな経営用語を駆使し、畳み掛けるように生徒たちにその概念を伝えている。しかも、生徒たちが実際に感じるであろうさまざまな「壁」、言い換えるなら、高校生活で向き合わなければならない「実生活上のタスク」を「プロジェクト」と言い換えることで、一見小難しそうなアントレプレナーシップの世界へスムーズに招き入れているのである。

須山氏の言い方によるなら、それは「受験プロジェクト」や「部活プロジェクト」となる。「ターゲット」「プロジェクトプラン」「リソース」などのフォーマットに、「志望校(または志望学部)」「3年間の過ごし方」「合格までに利用するテキストや塾」などを当てはめ、自分がプロジェクトマネージャーであると言い切ることで、俯瞰(ふかん)的に自分の将来を見据えることができるようになる。そしてそれは、単に受験で合格するとか、部活で好成績を上げるという目先の目標達成だけでなく、その後の人生のあらゆる場面で適用・応用可能であることを告げている。

よく言われる例えだが、「魚を釣って相手に与える」段階から「魚の釣り方を相手に伝える」段階へ進む方が、結果的に相手のためになるということであろう。須山氏はこう語る。

この経験(筆者注・アントレプレナーシップで物事を進めること)を積むと、将来、ビジネスにおいても、人生においても、とても役に立つセンスと経験になります。自信を持って、かつ、プロジェクト・マネジメントの考え方を少しでも取り入れて合理的に、やってみて欲しいと思います。(45ページ)

第2章では、高校卒業後の夢や目標について、特に須山氏の海外留学の経験から語られている。これは若い人にとって、視野を広げる絶好の刺激となるだろう。そして、第3章がこの本の白眉といっていい。それは、彼のクリスチャン精神が分かりやすく、そして未信者(であろう)高校生たちに抵抗なく受け止められる言い回しで語られている。その一例が「神」という言葉の用い方である。

競泳の池江璃花子選手が使ったことでも有名になった言葉に「神様は決して乗り越えられない試練を与えない」というものがあります。気持ちが凹んだり心が折れるということは、あなたがそれを乗り越えられるということでもあるのです。(中略)そして、さきほどの言葉には実は大切なつづきがあります。「神様は(中略)必ず脱出の道を備えてくださる」です。(120~121ページ)

これは、聖書を知っているクリスチャンにとっては、「黄金の言葉」と言ってもいい御言葉である。しかし、これをそのまま生徒たちにぶつけても、「宗教的なにおいがする」と敬遠されてしまう。だからまずは、一般的な意味での「神」を池江選手の言葉から引用する。しかし後半は、「神」という概念をさらに深めて、自身のクリスチャンとしての神概念に基づいて聖書の言葉をリアリティーある励ましの言葉として伝えているのである。このレトリックは、ユース世代に向き合うとき、大いに参考になるのではないだろうか。どうやったら若者たちの心に響く説教ができるのか、どうすれば伝わる言葉で語り掛けられるのか、その好例がここにある。

続編である『7つのエール』も同様である。佐山、杉江、岩橋の各氏と須山氏の対談で構成されており、高校生からあらかじめ受けた質問に基づいて、地球温暖化問題や食糧問題、死、愛など、壮大なスケールの命題に挑んでいる。その一方で、「文系と理系、どっちが必要ですか」という高校生らしい問いにも真摯(しんし)に向き合っている。

前著が須山ワールドで構築されているため、論理の積み上げや説得力ある表現で一定の結論に着地しているのに対し、こちらは各章のトピックスがどちらかというと多様性に満ちたオープンエンドになっている。その中で、須山氏が多少強引に聖書の言葉を入れ込んでいる場面が彼の性格を表しているようで、ほほ笑ましく思えた。

私たちは、この2冊から学ぶべきことがある。1つ目は、しっかりとした理論に基づいて語り掛けるとき、世代を超えて私たちの言葉は伝わるということ。これは、聖書の言葉を至高の存在と受け止めているクリスチャンであればこそ、しっかりと受け止めるべき事柄であろう。単に聖書の言葉を「ぶつける」だけでは、相手(特に若者)には伝わらないということである。

2つ目は、押し付けはよくないということ。相手に「選ばせる」ことで、真の納得は得られるということである。『7つのエール』を読んでこれを痛感した。対談相手が同期ということで、話しやすいというのはあっただろう。しかしそれだけでなく、理系の大学教授、第一線のビジネスマン、学校の先生という多種多様な職業的背景を持った者たちが、こうして語り合える土壌は何か。それは『7つのエール』の冒頭に掲げられた方向性にある。

また、3人の対談において、「敢えて答えを一つにしない」というルールで進めました。どれも正解はありませんし、ほかにもいろいろな考え方があります。ものごとに対する視点を増やし、視野を広げるきっかけになればうれしく思います。(5~6ページ)

本書は、高校生のみならず、大学生や若手社会人にとっても刺激的な一冊である。なによりも読みやすく、1冊1時間もあれば読めてしまう。現代社会を生きる若者に対し、具体的なものの考え方の基本を伝えるとともに、その背後に確かにクリスチャニティーが息づいていることを感じられる「一家に一冊」的な内容となっている。自費出版であるが、アマゾンで簡単に購入することが可能である。教会の読書会などで用いてみてはいかがだろうか。

須山君、ぜひ次は私も対談に呼んでね!

■『高校生がこれからの人生を生き抜くためのアントレプレナーシップ』(2020年)
■『高校生に贈る7つのエール』(2021年、同)

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

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