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「宗教2世」問題の光と影―宗教2世牧師からの提言―(1)「そこじゃない!」

2021年6月4日23時14分 執筆者 : 青木保憲
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関連タグ:宗教2世

過日、NHKの番組で立て続けに取り上げられた題材がある。それは「宗教2世」。決して「バビル2世」ではない。また「山田ルイ53世」でもない(かなりマニアックか・・・)。

5月10日、NHKの番組「逆転人生」で「宗教2世 親に束縛された人生からの脱出」が放送され、21日と24日にも再放送された。そして、程なくして28日には、NHK関西ローカルの番組「かんさい熱視線」でも、「私たちは『宗教2世』 見過ごされてきた苦悩」が放送され、同じくこの問題が取り扱われた。

「逆転人生」で取り上げられていたのは、5年前に『解毒』を発表して話題になった坂根真実氏。先月、私が取り上げた『聖書はもういらない』もこの系譜になる。そして昨年、芦田愛菜主演で映画化された「星の子」も同じテーマを扱っている。原作者の今村夏子氏は、『解毒』発表の翌年に同名の原作小説を発表している。時代を感じ取った作品といえよう。

「宗教2世」。この何とも居心地の悪い、それでいて何となく愛着が持てるこの名称でカテゴライズされる人々の中に、他でもない私も属してしまう。番組で取り上げられているのはいわゆる新興宗教である。私の場合はキリスト教(プロテスタントのペンテコステ派)だが、これもまたれっきとした宗教である。つまり私も正真正銘の「宗教2世」ということになるだろう。当事者としては、やっと時代が私に追い付いてきたか、と思ってしまう(笑)。

番組を見て、やはりというか、現代的な視点というか、すべてを一気に問題として扱い、そして解決の道はこの先にある、という構成になっていることを痛感した。同時に、『聖書はもういらない』や『解毒』などで取り上げられている「いかに自分たちは理不尽な扱いを受けてきたか」という心のうめき、魂の叫びのようなものがデフォルメして語られていることには、疑義を差し挟まざるを得ない気がした。端的に言って、「宗教2世」のリアリティーを、メディアは「ある色眼鏡」で染め上げようとしていることに違和感を抱いてしまうのである。その点、「星の子」は原作小説も映画もそうだが、抑制の効いたニュートラルな視点をかなり意識していることが感じられる。オープンエンドな終わり方も、読者に問題をそれとなく投げ掛けるものであり、議論の幅を持たせている点に好感が持てる。

キリスト教界、特に福音主義の世界ではこの「宗教2世」に当たるものとして「信仰継承」という言葉が標語のように掲げられてきた。これを現代的に言い換えれば「若者を教会に」となる。「主イエスを信じなさい。そうすれば、あなたもあなたの家族も救われます」という使徒行伝の言葉を用いて、次世代に信仰を受け継がせることの大切さ、意義深さが語られ続けてきたように思う。そして私も、原則としてこの立場にある。

世間ではこれから「宗教2世」という用語が独り歩きする可能性がある。そして用語が勝手に跋扈(ばっこ)し始めると、さきほど取り上げたNHKの提示する「解決指針」が定説となっていく。まさにその渦中にいた者としてはっきり言えるのは、こうやって人知れず悩んでいた私たちの在り方を、メディアが取り上げてくれ、しかも大きな反響を呼んでいることはうれしい限りだ。まずこのことはしっかりと伝えておきたい。周りの誰からも理解されず、同じような境遇にあった者たちが傷をなめ合うという内向性に進む必要はこれでなくなるかもしれない。その点は大いに歓迎するし、「宗教2世」というカテゴリーが生まれることによって、自分ではどうしようもないもどかしさを感じる人々が救われることはとてもいいことだ。

しかし一方で、何でもかんでも法律や心理学的解決に向かわせるということに対しては、大いに危惧するところである。番組の中では日本国憲法が保障する「信教の自由」が取り上げられ、幼児虐待などのカテゴリーで「宗教2世」の心情がおもんぱかられていた。しかし、これは違う。そんなことでは100万年たっても解決はない。いくら法的に「宗教2世」を保護しても、心理学的にケアしても、それですべての問題が解決へ向かうとは思えない。渦中で青少年期を過ごし、いやしくも自分なりに葛藤し、親や教会との対立を繰り返してきた者として、この方向でストーリーを「一部の物分かりの良い識者たち」によって語られてしまうことに対し、NOを私は突き付けたい。そう、着目すべきは「そこじゃない!」のだ。

「宗教2世」の問題は、法律や心理学のみでは絶対に解決できない。むしろその法的、学的救済によって、人の心に存在する宗教性が損なわれてしまう。それはまるで、みそ汁をビーカーで飲んでもまったく違和感を抱かない人間を育成するようなものだ。やはり、みそ汁はおわんで、できれば木製の器でおいしく頂きたい。私はそう思う。単に「飲めればいい」というものではなく、その背後に文化や伝統というものが存在する。それを次世代へ受け継がせることは決して「悪」ではない。

では、どのような解決が望ましいのか。次回はそのことを述べてみたい。(続く)

次回へ>>

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

関連タグ:宗教2世
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