Skip to main content
2025年6月15日20時35分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 書籍
神学書を読む

神学書を読む(68)岡本亮輔著『宗教と日本人―葬式仏教からスピリチュアル文化まで』

2021年5月26日15時07分 執筆者 : 青木保憲
  • ツイート
印刷
神学書を読む(68)岡本亮輔著『宗教と日本人―葬式仏教からスピリチュアル文化まで』+
岡本亮輔著『宗教と日本人―葬式仏教からスピリチュアル文化まで』(中央公論新社 / 中公新書、2021年4月)

本書は宗教論的見地から「日本人」を分析した好著である。「日本人の宗教性」に関して、昔から言い古されてきた表現に「正月は初詣、夏はお盆、秋は七五三、年末はクリスマス。結婚式はキリスト教式、でも葬式は仏式」というものがある。これら「一般的な日本人」の行動に対し、「日本人は無宗教だが宗教性がある」とひとくくりにされてきた観がある。しかしこれは「宗教」というものを「キリスト教」をモデルにして信仰組織論で考察する前提に立ったときのコメントである。本書の著者である岡本亮輔氏は、これでは日本人と宗教の関係を捉えきることはできないとし、以下のように述べる。

「本書が注目するのは、こうしたキリスト教をモデルにした信仰組織論だけでは把握できない日本人と宗教の関係性である。信仰を中心に据えると、現代日本の宗教について多くを見過ごしてしまう。日本の宗教風土では、信じる/信じないという以前に、何が信じるものかがそれほど明確ではない。そのため、実践や所属という別の要素にも注目するのが有効なのである。このような視座から、宗教と呼ばれる広範な現象に一定の見通しを与えるのが本書の試みである」(「まえがき」ⅳ)

従来の宗教論では取りこぼしてしまいがちな(つまり説明しきれない)現象を取り上げ、それらを新たな枠組みで考察しようとしている点が本書の特徴である。全体が5章立て(加えて序章と終章がある)で、第2章で仏教について、特に「葬式仏教」と揶揄(やゆ)されるようになった経過や歴史的背景が語られている。続く第3章は神道に関すること、特に現代では「パワースポット」と評されるさまざまな神社、地鎮祭などの在り方の変遷が語られている。

一見すると本書は、このようなキリスト教系サイトで紹介する必要がなさそうだが、キリスト教、特に保守的なキリスト教信仰との連関が増えてくるのが第4章である。ここでは、米国で1960年代に始まった「ニューエイジ」の歴史と、その変遷、またどのようにしてこのブームが生み出され拡大していったかが語られている。そして現代日本は、このニューエイジ的な文化をそもそも内包しており、その観点から見るとき、実は翻って日本人の宗教受容の過程を垣間見ることができることになる。それは西洋で生まれたニューエイジの焼き直しなのか、それとも異なるものなのか、意外な結論が導き出されている。

さらに序章では、現代の米国キリスト教文化が次第に斜陽化しつつあるという報告がCNNのデータに基づいてなされている。これは私たちキリスト教徒にとっては由々しき問題となる。岡本氏はこの現象が、米国のみならず世界的な傾向であるとして、次のように述べる。

「日本と欧米では宗教風土も含めた歴史文化に大きな違いがある。だが、近代化を経て世俗社会を形成し、教会や教団の外に宗教が広がりつつある点では大きく共通するのである」(14~15ページ)

つまりこれは、従来の「あなたの信じる宗教は何ですか?」という質問が無意味になる世界が到来することを示唆していることになる。現代は、聖書の時代の価値観が提唱されるとき、「古い価値観を押し付けられた」と感じる人が多くなってきているということである。そして「漠然とした観念はあっても、明確に言語化できるような信仰は見いだしにくい」日本だからこそ、キリスト教は「ブランド化」されて提供されていると岡本氏は語る。日本人にとって、キリスト教は比較的なじみ深い。さらにキリスト教主義の教育機関も健在である。だがこれについて岡本氏は、深津容伸(よしのぶ)氏の論文「日本人とキリスト教」を踏まえつつ、「日本人はキリスト教の信仰は退け、『世俗の教育機関に属する一つのブランド』としてキリスト教系教育機関を受け入れたのである」と語る。そしてこう結論付ける。「キリスト教は、多くの日本人にとって信仰対象でないからこそ、人生の節目を演出する道具としてふさわしいのである」と。

本書は、このような分析を通して間接的にキリスト教界へ波紋を投げ掛けるものである。端的に言って、このような現状からの逆転はあり得るのだろうか。そのためにどんな策を私たちキリスト教徒は打つことができるだろうか。本書で取り上げられているさまざまな事例、現象、そしてデータはある意味「客観的」で信ぴょう性が高いものである。また著者の岡本氏は文学博士にして、大学で教鞭を執っておられる知識人である。これらの例証にケチをつけるやり方は大人げない。そうではなく、ひいきや思い込みを排した「現実」に対して、どんな有効な手段を打てるのか、私たちは真摯(しんし)に考察すべきである。知恵が求められるべきである。

いやしくも、「聖書が神の言葉」であると信じ、福音によって「救われる」と信じ、これを伝えることを是とする教派(福音派)に属している者であるなら、またそれを生業としている牧師であるなら(これは筆者自身に向けて語っている)、策を弄するのではなく、戦略を練る必要がある。そう思わされるという意味で、このコロナ禍に無視できない一冊であることは間違いない。

「日本人論」と「キリスト教」、「宗教性」と「聖書」は、決して切り離すことのできない問いを私たちに常に投げ掛け続けてくれる。その問いの前に、今日も真摯に身をさらしながら、考え続けていきたいものだ。

■ 岡本亮輔著『宗教と日本人―葬式仏教からスピリチュアル文化まで』(中央公論新社 / 中公新書、2021年4月)

<<前回へ     次回へ>>

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

  • ツイート

関連記事

  • 神学書を読む(67)長谷川修一著『旧約聖書〈戦い〉の書物』

  • 神学書を読む(66)『旧約聖書の政治史 預言者たちの過酷なサバイバル』

  • 神学書を読む(65)『上馬キリスト教会ツイッター部のキリスト教って、何なんだ?』

  • 神学書を読む(64)最も実用的な神学研究の一例がここに!『英米文学者と読む「約束のネバーランド」』

  • 神学書を読む(63)『ヤバいぜ!聖書(バイブル) あなたに贈る40のメッセージ』

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ワールドミッションレポート(6月12日):ベルギーのために祈ろう

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • ワールドミッションレポート(6月9日):カンボジア ポル・ポトの迫害を乗り越えた西チャム族のために祈ろう

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.