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EU、2年ぶりに信教の自由特使を任命 宗教的少数派の権利擁護に期待

2021年5月11日23時37分
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関連タグ:欧州連合(EU)信教の自由
EU、2年ぶりに信教の自由特使を任命 宗教的少数派の権利擁護に期待+
欧州連合(EU)の信教の自由特使に任命されたクリストス・スティリアニデス氏=2019年(写真:欧州議会)

欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会(EC)は6日、約2年間空席となっていたEUの信教の自由特使に、ECの元人道援助・危機管理担当委員であるクリストス・スティリアニデス氏を任命した。

信教の自由特使は、正式名を「EU域外の宗教または信仰の自由の推進と保護のための特使」とし、過激派組織「イスラム国」(IS)による宗教的少数派への残虐行為を受け、2016年に創設された。しかし、前任のヤン・フィゲル氏が19年で任期満了した後、空席のままにされていた。

スティリアニデス氏は、19年までECの人道援助・危機管理担当委員を務め、その後、現在のEC副委員長であるマルガリティス・スキナス氏の緊急時教育や移民、包括性に関する特別顧問を務めていた。

オーストリアに拠点を置くキリスト教法律団体「ADFインターナショナル」は、スティリアニデス氏の任命は、信教の自由が世界中でますます脅威にさらされる状況下で行われたものだと指摘。ADFインターナショナルのアディナ・ポルタル主席弁護士は、「誰も信仰のために迫害されるべきではありません。EU域外における宗教または信仰の自由を推進するための特使の再任命は、この基本的な権利に対する真のコミットメントを示す重要な一歩です」と評価した。その上で「私たちは、このポジションが約2年間空席であったことを嘆いています。新しい特使が、世界中で最も迫害されている人々のニーズに焦点を当て、すぐに任務を始めることを期待しています」と述べた。

信教の自由特使は、迫害が激しい地域を訪問し、宗教的少数派に対する暴力についての認識を高め、信教の自由を擁護する任務を負っている。

ADFインターナショナルは、イスラム教の預言者ムハンマドを侮辱した罪で死刑判決を受けていたキリスト教徒のパキスタン人女性アーシア・ビビさんが18年に逆転無罪を勝ち取った後、ビビさんが海外亡命する際、EUの信教の自由特使が「決定的な役割」を果たしたと評価している。

しかしその一方で、EUからの緊急支援を必要としている宗教的少数派はさらに多く存在すると警告している。

「私たちはECに対し、特使の立場を強化し、すでに達成されている地点から、さらにこの重要な任務を前進させることを求めます。現地で被害を受けている人々は、EUからの断固とした対応を切実に求めています。特使の派遣により、EUは国際的な対応をリードすることができます。そのリーダーシップが今まで以上に必要とされています」

ADFインターナショナルのロバート・クラーク副事務局長は、EUに対し信教の自由を優先事項とするよう求めた。

「特使は、欧州レベルで宗教的迫害の惨状を明るみに出すことに重要な役割を果たしました。この役割は、世界中で行われている基本的権利の侵害のうち、最悪かつ最も根強いものに対する認識を高め、それらに対抗するためのEUの取り組みに焦点を当てるのに役立ちます。EUは、世界中の宗教または信仰の自由を守るための努力を続けるだけでなく、強化すべきです」

EUの司教団も、スタイリアニデス氏の任命を歓迎した。

EUカトリック司教協議会委員会(COMECE)会長のジャンクロード・オロリッシュ枢機卿は、次のように述べた。

「世界の多くの地域で脅かされている基本的な権利とEUの中心となる価値を促進するという重要な役割において、彼の成功を願っており、緊密に協力することを楽しみにしています」

※ この記事は、英国クリスチャントゥデイの記事を日本向けに翻訳・編集したものです。一部、加筆・省略など、変更している部分があります。
関連タグ:欧州連合(EU)信教の自由
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