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キリスト教名著再読

『神の小屋』 娘を殺された父は犯人を赦せるか? 「三位一体」の神を分かりやすく描いた愛と赦しの物語

2021年3月15日13時51分 執筆者 : 栗栖ひろみ
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関連タグ:三位一体
『神の小屋』+
ウィリアム・ポール・ヤング著、吉田利子訳『神の小屋』(サンマーク出版、2008年)

これは米国のビジネスマンが自分の子どもたちや友人に読んでもらいたいと自費出版した小説であるが、刊行されるやたちまち300万部を超えるベストセラーとなり、世界各国で翻訳された。特に注目すべきは、「三位一体」という一般人に説明するのがなかなか難しいとされているキリスト教の教理を、愛と赦(ゆる)しの神と出会った一人の男性の体験を通して分かりやすく感動的に描かれている点である。この小説を聖書に次いで座右の銘としている人も少なからずいるようである。

ウィリアム・ポール・ヤングについて

1955年カナダに生まれる。両親は宣教師。任地であるニューギニアで幼少年時代を過ごした。6歳で寄宿学校に預けられ、やがて帰国した両親と共にカナダ各地を転々とした。米オレゴン州のワーナー・パシフィック・カレッジで宗教学を学んだ。その後結婚し、家庭を持ってからは、保険業や建設業などさまざまな業界で働きながら、妻と6人の子どもを養う。ある時妻から、「お父さんがどんなことを考えていたのかということを子どもたちに残すためにも、考えたことを書き残しておくといい」と勧められ、子どもたちのために書いたのが本書といわれている。

あらすじ

マッケンジー(愛称マック)は通信販売会社の社員で、一日の大半を自宅のパソコンを使って会社とやりとりをしている。その彼の愛する末娘ミッシーが、ある休日のキャンプで誘拐され、数時間後にオレゴン州の農家の荒れた小屋で、彼女の血に染まったドレスが発見された。そしてこれは、犯行を繰り返している連続殺人鬼の仕業であると断定された。

それから4年後。ミッシーの遺体さえ見つからず、嘆きと悲しみの中から抜け出せないマック。そんなある日。彼の元に「あの小屋で会いたいから来ないか?」という奇妙な手紙が届き、「パパより」とサインがされていた。誰かのいたずらかもしれないが、もしその送り主が犯人だったら、対決できると考えたマックは、銃を持って車で一人小屋へと向かった。

彼を待っていたのは2人の女性と1人の若者で、黒人女性は神で「パパ」と呼ばれ、若者はイエス、若い女性はサラユー(聖霊)と名乗った。そして彼らは3つの人格を持つ神であることを告げた。彼らの温かい歓待を受け、パパの心尽くしの料理を味わい、いつの間にか心癒やされたマックは、少しずつ変わっていく。そして人間は人知をはるかに超えた存在である「神」を信頼し、お互いの関係の中で赦し合って生きていかなくてはならないことを学んだのだった。彼らの導きで、マックは自分が嫌い、赦しを与えないうちに死去した父親と、非業の死を遂げたミッシーと会うことができたのだった。

そして、滞在する最後の日。彼は初めて娘を殺した殺人鬼に対し、これを赦すことをパパの前で誓うのだった。彼は3人に見守られて、見つけ出したミッシーの遺体を花が咲き乱れる素晴らしい場所に葬った。そして小屋に戻ったマックは彼らとパンを分け合いワインを飲んだ後、荷物を車に積むために外に出た。そしてリビングに戻ったとき、3人の姿はなかった。彼はそのままそこで心地よい眠りに陥った。

気が付くと、マックは前の荒れた小屋の中に寝ていた。そばにあるミッシーのドレスにはまだ血のしみが残っていた。しかし、別人のようになったマックは家族や友人に自分の体験を話すために小屋を後にした。その後、彼から連絡を受けた警察官は、彼に案内され、ついにミッシーの遺体を発見したのだった。マックは逮捕された連続殺人犯の裁判の前に面会を申し込み、彼に「三位一体」の神のことを話してあげようと決意する。

見どころ

<夕食に来るのは誰?>

50フィート行くか行かないうちに、マックは背後から吹いてきた暖かな風が自分を包むのを感じた。凍りついた沈黙を破って小鳥のさえずりが聞こえはじめる。誰かがドライヤーをかけたように急に目の前の道の氷と雪が解けていく。足を止めて見ていると、まわりを覆っていた雪はどんどん解けて、あたり一面が輝かしい光を放ちはじめた。三週間分の春が三十秒に凝縮されたようだった。(中略)降りはじめていた小雪までが、途中で小さな花びらに変わってひらひらと地面に舞い降りてくる。(中略)そこで愕然(がくぜん)とした。さっきとはほとんどべつの場所のようだ。彼と湖の間にあるのは壊れかけた小屋ではなく頑丈な美しいログキャビンで、屋根の向こうに湖がちらりとのぞいている。手で皮をむいた丸太を丹念に組み合わせて造ったような小屋だ。(103〜104ページ)

「それじゃ」とマックは懸命に尋ねた。「あんたがたの誰が神さまなんです?」「わたし」 三人がいっせいに答えた。(112ページ)

<パイのひとかけら>

「あたしは神。あたしはあたしである者。そしてあんたと違って、あたしの羽は決して切り取れない」(中略)パパは小鳥をなでながら頬を近づけ、それから言った。「あんたはあたしの愛のど真ん中にいるよ!」(127ページ)

「あたしたちは三人の神ではないし、一人の男性が夫であり、父親であり、労働者だというように三つの面をもった一人の神というのでもない。わたしは一人の神であり、三つの人格で、三人のそれぞれが完璧で完全な一人なんだよ」(132ページ)

<桟橋の神さま>

「わたしはここにいる」というのがイエスの答えだった。「わたしは、いつでもここにいる」 マックはうなずいた。いつでもいてくれる神なる存在、それはうまく把握できないながら、つねにマックの理性から心へと染み入ってくるらしい。それでいいのだろう。(142ページ)

<水の上を歩く>

「ほんの1フィートだとわたしは思うが」 イエスは笑ってマックの肩に手を置いた。それだけで充分だった。マックは桟橋から足を踏み出した。(中略)湖面は予想よりも柔らかだった。すぐに靴が濡れたが、水はくるぶしにも届かなかった。(中略)奇妙な感じだった。足元を見ると、何か見えない硬いものの上に立っているようだ。ふと気づけば、イエスが靴と靴下を片手に持って傍らで微笑んでいた。(190〜191)

<裁判官登場>

そこに子どもたちがいた――ジョン、タイラー、ジョシュ、ケイト――いや、待って! もう一人いる! 彼ははっと息を呑(の)んで、さらに目を凝らした。子どもたちのほうへ行こうと前へ出たが、まだそこに岩壁があるかのように、見えない力に阻まれた。だが、そのときはっきりと見えた。「ミッシー!」 そこに水を裸足で蹴っているミッシーがいた。(225ページ)

そのとき、誰かがミッシーの名を呼んだ。その声にマックは聞き覚えがあった。(中略)マックにはミッシーを呼んだ人物がはっきりと見えた。それは子どもたちに囲まれて立っているイエスだった。ミッシーはためらいもなくイエスの腕の中に飛び込んだ。(228〜229ページ)

<動詞とその他の自由>

マックはまだぽかんとしてサラユーを見つめていた。サラユーが使っている単語はわかるが、しかし何を言っているのか、意味がつながらない。「わたしの本質そのものが動詞なの」 サラユーは続けた。「わたしは名詞よりも動詞に合っているんです」(282ページ)

<友人たちの祝祭>

「父さん!」 マックは叫び、顔を上げて息子を見ることもできずにいる男性の胸に飛び込んだ。風の唸(うな)りと炎の中で、マックは父の顔を両手で挟んで自分のほうを向かせ、ずっと言いたくてしかたがなかった言葉をやっと口にした。「父さん、ごめんなさい! 父さん、愛しているよ!」(297ページ)

<悲しみの朝>

「どうにもならないんです、パパ。やつがしたことを忘れるなんてできない、できるわけがないじゃないですか」 マックは訴えた。「赦すことは忘れることではないよ、マック。誰かの首にかけた手を離すことなんだ」(中略)「彼もまたわたしの息子だ。わたしは彼を罪から救いたいのだよ」(中略)「マッケンジー、赦されたからといって、何も言い訳にもなりはしない。信じなさい。彼は決して自由になったりはしない。それに、きみには裁く義務はないのだ。それはわたしがする。それからミッシーはもう彼を赦しているよ」(310〜313ページ)

目を閉じて身体を前後に揺らしつつ、マックは哀願した。「助けてください、パパ! わたしを助けてください! どうすればいいんですか? どうすれば赦すことができるのですか?」「彼にそう言いなさい」マックははっと目を開いた。(中略)「どうやって、パパ?」「声に出して言えばいい。わたしの子どもたちが宣言することには力があるのだから」 マックは半ば上の空で最初は小さくつぶやいたが、だんだん声に力がこもってきた。「おまえを赦す。おまえを赦す。おまえを赦す」(313〜314ページ)

<心の選択>

儀式めいた雰囲気は何もなしに、一同は温かいパンを食べて、ワインを分け合い、この週末の不思議な出来事について笑いながら語り合った。それにも終わりが来た。(中略)リビングに戻ってみると、もう誰もいなかった。熱いコーヒーが炉辺で待っていた。さようならを言うチャンスを失ったのだが、考えてみれば、神さまにさようならを言うのはちょっと馬鹿げているかもしれない。(326〜327ページ)

<広がる波紋>

翌日、ハゲタカのように現場に駆けつけた専門家たちがミッシーの遺体を発見し、シートやその他いっさいを包んで持ち帰った。(339ページ)

■ ウィリアム・ポール・ヤング著、吉田利子訳『神の小屋』(サンマーク出版、2008年)

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。12年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

関連タグ:三位一体
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