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キリスト教名著再読

毎日読めるキリスト教に根ざした人生の指南書 『眠られぬ夜のために』

2020年3月9日09時22分 執筆者 : 栗栖ひろみ
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関連タグ:カール・ヒルティ
毎日読めるキリスト教に根ざした人生の指南書 『眠られぬ夜のために』+
カール・ヒルティ著、草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』(第1部・第2部)(岩波書店 / 岩波文庫、1973年)

スイスの偉大な哲学者、思想家であるカール・ヒルティの著作を紹介できるのは、この上ない喜びである。ヒルティは日本においては、『眠られぬ夜のために』『幸福論』などのキリスト教に根ざした書で広く知られているが、彼の最大の業績は、このように一般人の生活の中にキリスト教を持ち込んだことであろう。彼は学校や職場、家庭などにいる人々に目線を合わせ、現実生活の中に福音の光りを投げ掛けたのである。

彼は弁護士として長らくその職務にあったが、貧しい人には無料で弁護を引き受け、数々の相談に乗り、社会の底辺にいる人に寄り添った。そうした激務の中にあって、ペンを取り、数々の著作を世に出したのである。

カール・ヒルティの生涯

ヒルティは、1833年2月28日にスイスのザンクト・ガレン州の小都市ヴェルデンベルクに生まれた。父はヨハン・ウルリッヒ・ヒルティ。教養の高い有名な医者であった。母エリザベートは信仰が篤(あつ)く、慈愛に富む婦人であった。ヒルティはその人柄や精神性において、この両親の影響を強く受け継いだといわれている。

6歳でキュール市の小学校に入学。ここで貧しい家庭の子どもたちと交わり、彼らの家庭の勤勉で誠実な暮らしぶりを見ることによって、生涯変わることのない民主主義の信念と、弱い者に対する温かな同情と理解とを心に植え付けられたのだった。11歳で州のギムナジウム(中等教育機関)に入学。ギリシャ、ローマの古典やドイツ、イギリス、フランスなどの文学に親しんだ。ヒルティはその当時から大変な勉強家で、夜の12時、時には1時を過ぎなければ床に入らないほどだった。

18歳で卒業し、ドイツのゲッティンゲン大学に入って法律を学んだが、専門の他に幅広く知識を深め、特にカントの哲学に傾倒した。1854年、21歳で学業を終え、「ドクトル(ドクター)」の称号を与えられた。帰国したヒルティは、キュール市で弁護士として活動した。彼は誠実に、真心を込めて自分の職務に当たったので、市民から信用と尊敬を受けることになった。

1857年、ヨハンナ・ケルトナーと結婚。彼女と40年間愛情豊かな良き家庭生活を続けることになる。これがヒルティの著作に大きな影響を与えている。73年、彼はベルン大学の教授となり、「スイス国法」を講義したが、後に一般国法や国際法を教えた。彼は学生たちに学者は天職であり、宗教的人生観をもたねばそれを全うできないと語って、聖書を引用しての人生論を講義した。これが後の彼の著作の土台となっていることは言うまでもない。

1909年、彼は国際法の大家としてハーグの国際仲裁裁判所のスイス委員に任命された。彼は、国際間の平和はまず心から平和を愛し、平和であり得る個々の人の間で成立するものでなければならないと語り続けた。この年の9月末、彼は休暇を取ってゼネバ湖畔の小村クラレンスに赴いた。10月12日、いつものように朝勉強をし、正午近くに湖畔を散歩したが、ホテルに戻って少し気分が悪くなったので横になった。同伴していた彼の令嬢が温かい飲み物を取りに食堂に行き、戻ってきたときには息絶えていた。14日、その遺体はベルンに移され、翌日国民の哀悼のうちに夫人の傍らに葬られた。

『眠られぬ夜のために』について

この優れた書は、出版されるや「人生の道しるべ」と称され、多くの人から高い評価を得た。聖書のみならず、古典や哲学書など、多年の熱心な読書によって養われた幅広い学識、豊富な人間知識、信仰に深く根ざした思想が、365日毎日読めるよう、日ごとに区分された短いエッセイ風の文章でまとめられているのである。彼はこの著作を1901年に公にしたが、翌年ある読者から「1年ごとに第1部と交代で読みたいので、ぜひ第2部を書いてください」という手紙が届いた。そのため彼は第2部を書き始めたのだが、出版前に亡くなってしまった。そこで遺族の手により、手紙や未発表の原稿が集められ、不足の部分が補われ、彼の死後10年後にようやく第2部が出版された。

『眠られぬ夜のために』の見どころ

不眠を避けるのに大切なことは、まず第一に、興奮や不安のたねになるような考えごとを抱いてではなく、むしろなるべく静かな、よい思想と心の平安をもって、夜の休息に入ることである。(1部・14ページ)

人生の唯一の、道理にかなった目標は、地上に神の国を、つまり、不和と生存競争の国ではなく、平和と愛の国を築くことである。(1部・29ページ)

力の許すかぎり、中断せずに有益な仕事をすることは、たえず神の近くにあることと並んで、およそ人生が与えうる一切のうちで、最も良い、最も心を満たしてくれるものである。(1部・92ページ)

キングスレーの大へん美しい言葉に、「人のこころを見て慈悲を持て。行いだけを見て責めるな」というのがある。(1部・154ページ)

人間の生活は、それになにか正しい目的がなくてはならないというのなら、たえず神の慈愛を受け、それを他にわかつということでなければならない。(1部・242~243ページ)

この世の小さなものに対する関心と特別の愛を持つようになると、現代の病気であるペシミズム(悲観主義)に永久にかからなくなる。(1部・313ページ)

仕事をするときは、いつでも、まず第一に、最も必要なことをしなさい。元気よく、そしてその仕事の主要点から着手しなさい。これが多くの仕事のために時間を得る手段である。(1部・320ページ)

どんなにささいなものをも浪費してはならない――時間でも、労力でも、また不必要な仕甲斐(しがい)のない事柄のための骨折りでも、(中略)これがらくに人生をすごす最もよい道である。(2部・35ページ)

1分か2分のほんのわずかな時間でも、なにか善い事や有益な事に使うことができるものだ。最も大きな決心や行為をするのでさえ、ごく短い時間しか要しないことが少なくない。(2部・48ページ)

健康な、こころよい、十分な睡眠をとるように心がけなさい。(中略)よい眠りのあとでは、ものごとが全く違って見え、前の晩には、まるで行く手をはばむ巨人のように思われた難事をも、笑いたくなるものである。(2部・111ページ)

いましばらくの間、祈りと心の目ざめをもって、耐え忍ぶがよい、あなたの家族や親しい人びとのためにも。そうすれば、きっとあなたの最良の時が来る。(2部・170ページ)

あなたは毎朝を、かならずつねによき考えを持って始めなさい、ただ心配やためいきをもって、ではなく。そうすれば、1日じゅうなにほどかの陽の光りを持ちつづけ、それで雲影を払うことができるだろう。(2部・178ページ)

あまりに多すぎる休息は、少なすぎるのと同じように、ひとを疲れさせるものである。(2部・181ページ)

いつでもできれば、たえず平和をつくり出す人になりなさい。マタイによる福音書5の9。(2部・192ページ)

人生の幸福な時期というのは、要するに、仕事に没頭している時である。(2部・197ページ)

あなたは絶えず、そしてできるだけ多く、愛のたねを蒔(ま)かねばならない。あなたが学校教育を終えたのちは、それがあなたの生涯の仕事である。(2部・208ページ)

もしあなたが、つねに活動的に、誠実に生き、神と和らぎながら、すべての人びとに対してゆたかな愛をもって、生きようと決意するならば、そのために間違いなく得られる幸福の実感によって、あなたは困難な時にも、しっかり支えられるであろう。(2部・211ページ)

キリストの出現は、かつて暗いこの世にあらわれた最大の光りであった。その時以来、この光はもはや全く消え去ったことがない。(2部・230ページ)

あなたの生活のプログラムのなかから、すべての無益な仕事、あるいは、すべての単なる怠惰を一掃するがよい。いや、そればかりでなく、あらゆる不必要な、そして実りのない仕事をのぞき去るがよい。(2部・233ページ)

愛はつねに、見るからにこころよいものである。幼い子が小さな猫や小鳥やうさぎや、いや、それどころか、木ぼりの人形を、ただやさしく抱いている時でさえ、人間らしい自己教育が行われているという感じを受ける。(2部・234ページ)

また、キリストは、人間蔑視者から人類を救う者でもある。われわれは、キリストのために「兄弟」たちを愛するのであって、彼らが兄弟だから愛するのではない。(中略)われわれはキリストを、主および師とすることなしには、そもそも兄弟を、兄弟と認めないものである。(2部・236ページ)

思想や仕事の上で、時にはみのりゆたかな時期があるかと思えば、また時には精神が休息して新しい力をたくわえる冬の季節のような時期もある。あなたはこのような時期を、神からさずけられた休息時間として、こころ安らかに感謝して受け取りなさい。(2部・259ページ)

あなたが、ともすると暗い気分になりがちな時には、小さなものに眼をむけるがよい。小さな花、小さな動物、それから、(もし健康で天真爛漫〔らんまん〕ならば)幼児たちも、容易にある種の悦(よろこ)びをさましてくれる。(2部・277ページ)

■ カール・ヒルティ著、草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』(第1部・第2部)(岩波書店 / 岩波文庫、1973年)

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。12年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

関連タグ:カール・ヒルティ
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