Skip to main content
2025年8月18日22時13分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム

【寄稿】踊り上がる我ら足なえ 矢澤俊彦

2018年4月7日19時46分 執筆者 : 矢澤俊彦
  • ツイート
印刷
関連タグ:矢澤俊彦

ルステラに足のきかない人が、すわっていた。彼は生れながらの足なえで、歩いた経験が全くなかった。この人がパウロの語るのを聞いていたが、パウロは彼をじっと見て、いやされるほどの信仰が彼にあるのを認め、大声で『自分の足で、まっすぐに立ちなさい』と言った。すると彼は踊り上がって歩き出した。群衆はパウロのしたことを見て、声を張りあげ・・・。(使徒行伝14:8~12、口語訳)

今の時代、私たちは周囲を囲む多くの敵におびえ、引きこもり、閉じこもり、生き難く思い、心身を萎縮させています。救いを求めるあらゆる努力がなされているように見えますが、神様は多くの人にとって遠く、疲れた人々は人生に投げやりになり、むなしさの中で無為に過ごしています。

そういう人を代表するように、聖書は「足なえ」を登場させています。これはなかなかの難病です。聖書は救世主が来るとき、彼らも「鹿のように飛び走る」とあります(イザヤ書35章)。ルステラにいた人は、生まれてからまだ歩いた経験がなかったという。ドッキリとさせられます。これはいったい誰のことか。もしかしたらもう老齢を迎えた人かもしれない。世界を見回してみても、自分の足で歩いている人は少ない気がします。人生のもう夕方5時を過ぎているのに、うずくまったままなのです。

この人々の癒やしのために、あらゆる活動が行われているのがこの世というもの。例えば、四六時中私たちはもう無数の音楽の中にいます。その最良のものは、花々や幼児のように神様に導いてくれるけれど、天国まで引き上げてはくれないように思われます。「すべての文化的活動は、原罪から癒やされたいと願う人間のあがきが生み出したもの」(シャルル・ボードレール)であるような気がします。政治やスポーツ界の狂奔、神学を含む学問、技術、経済界の騒ぎもまた然(しか)りでありましょう。

使徒パウロの語りは多分聞く者をうっとりとさせるほど気分よく、また面白かったことでしょう。抱腹絶倒。笑い転げる場面もあったに違いありません。閉じこもっていた足なえも、ついに自分の穴から出てきて、身を乗り出し、使徒の話のとりことなっていきました。こんなに楽しい時間は、まさに生まれて初めて。それは抹香臭いものでなく、彼が旅行中見聞きしてきたさまざまな世相の描写。快刀乱麻を断つがごとき痛快さがそこにありました。

ここで思い出すのは、古事記で天照大神(あまてらすおおみかみ)が私の郷里、信州戸隠山の岩戸に身を隠された時のこと。また、宗教社会学者・上田紀行氏の処女作『覚醒のネットワーク』で紹介されたスリランカの悪魔払いの儀式です。病者を取り囲み、部落の人たち総出で一晩中ドンチャン騒ぎをするのだそうです。孤独な人にこそ悪霊は憑(つ)くとありました。とにかく、パウロのトークは魅力的だったのです。

その顔はもう太陽のように輝いています。天来の爽やかな風も吹いてきました。多分語りの中心は自分の懺悔(ざんげ)話であったでしょう。敵意をむき出しにした殺人鬼が、一転してすべての人に対して「友情の人」となったという奇想天外のドラマです。

聞き入る足なえの中に「いやされるほどの信仰」が出てきたことを、パウロは認めました。この人の内面はもう充足し切って、「この人の言うことなら何でも聞こう」「このお方についてどこまでも行こう」、そんな思いがあふれ出したとき、雷が落ちてきました。「自分の足で、まっすぐに立ちなさい」との大声でした。

踊り上がって歩き出した足なえは、もう足なえではありません。生まれて初めて自分の足で立ち、踊りまくっているのです。目も開き、耳も聞こえ、多分歌も歌い出したことでしょう。何という愉快、何という喜悦。あれほど怖がっていたこの世界に、もう怖いものはありません。すべてのゴリアテは打ち倒されました。まさに死人のよみがえりです。以前うごめいていたすべての死と陰府(よみ)の影は、どこを見てももうありませんでした。

パウロの内面にも、同じ恍惚(こうこつ)と法悦の炎が燃えていました。そして、これは周囲に確実に伝わっていきます。それは、人間が人間である限り、どんな人にも伝わり得るのです。これがまことの宗教というものか。ここに人生の基礎となる喜びの岩があるのです。老境にある人も然り。1日は千日のごとしですから。

先日のラジオからの声。「笑顔が大事。不機嫌な顔はそれだけで公害です」。でも、私はちょっと気に掛かりました。心から笑顔で生きるには、今お話ししたようなドラマが必要なのではないかと。

◇

矢澤俊彦

矢澤俊彦

(やざわ・としひこ)

長野市出身。20歳の時、信州人気質で努力家の父の急逝がショックで神学校入学。その後、とりつかれた死神と50年死闘、近年やっとサタンを足下にし欣喜雀躍(きんきじゃくやく)。自分の偽善と観念的信仰でうずくまり、勝ちの歩みは、まさに「砂漠の彷徨(ほうこう)の40年」。さらにこの10年、眼の難病である「網膜色素変成症」の進行とともに、霊眼がさえてきた。1977年より、山形県鶴岡市の日本基督教団荘内教会牧師。礼拝は「解放奴隷のお祭広場」「お笑い劇場」にして、誰でも入れる「高級レストラン」を目指す。桜満開の鶴岡公園で「面白路傍伝道」を計画中。近著に『キリストによるマグマ爆発』がある。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:矢澤俊彦
  • ツイート

関連記事

  • 【クリスマスメッセージ】見つめられているあなた 矢澤俊彦・荘内教会牧師

  • 【寄稿】山形伝道の現場から―この厳しき環境に、美しい花は咲くか 矢澤俊彦

  • 【寄稿】「戦争放棄」が世界を救う 核兵器時代の日本の役割 矢澤俊彦

  • 【寄稿】このままでは幸せになれない日本人 矢澤俊彦

  • 【寄稿】後藤健二さんの叫びに耳傾けよう―イスラムの苦悩にふれて 矢澤俊彦

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 世界福音同盟、新総主事にアラブ系イスラエル人弁護士を選出

  • 福音派増えるベネズエラ、大統領が「マーチ・フォー・ジーザスの日」制定 全国で行進

  • ワールドミッションレポート(8月18日):オランダ ペルシャ語教会の静かなるリバイバル(2)

  • シリア語の世界(30)シリア語新約聖書の和訳(1)マタイ福音書からテサロニケ人への手紙第二まで 川口一彦

  • ドイツで神学生が大幅に減少、5年前の3分の2に

  • 聖書のイエス(15)「わたしだ。恐れることはない」 さとうまさこ

  • いのちの書に名を記される幸い 万代栄嗣

  • 主は生きておられる(240)黒い雨 平林けい子

  • キリストの心と思いが与えられている恵み(1)思い煩いを主に委ねる 加治太郎

  • 米韓政府の政策で対北朝鮮ラジオ放送が80%減少、キリスト教迫害監視団体が懸念

  • 米韓政府の政策で対北朝鮮ラジオ放送が80%減少、キリスト教迫害監視団体が懸念

  • 福音派増えるベネズエラ、大統領が「マーチ・フォー・ジーザスの日」制定 全国で行進

  • 新約聖書学者の田川建三氏死去、89歳 新約聖書の個人全訳を出版

  • 嫌いと無関心 菅野直基

  • N・T・ライト著『わたしの聖書物語』が大賞 キリスト教書店大賞2025

  • シリア語の世界(30)シリア語新約聖書の和訳(1)マタイ福音書からテサロニケ人への手紙第二まで 川口一彦

  • ワールドミッションレポート(8月17日):オランダ ペルシャ語教会の静かなるリバイバル(1)

  • いのちの書に名を記される幸い 万代栄嗣

  • 主は生きておられる(240)黒い雨 平林けい子

  • 世界福音同盟、新総主事にアラブ系イスラエル人弁護士を選出

  • 根田祥一氏の敗訴確定、最高裁が上告棄却 本紙に対する名誉毀損で賠償命令

  • 新約聖書学者の田川建三氏死去、89歳 新約聖書の個人全訳を出版

  • キリスト教徒が人口の過半数を占める国・地域、この10年で減少 米ピュー研究所

  • 「20世紀のフランシスコ・ザビエル」 聖心女子大学で岩下壮一神父の特別展

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(10)「苦しみ」から「苦しみ」へ 三谷和司

  • 日本基督教団、戦後80年で「平和を求める祈り」 在日大韓基督教会と平和メッセージも

  • 日本キリスト教協議会、戦後80年の平和メッセージ キリスト者の戦争加担にも言及

  • コンゴで教会襲撃、子ども含む43人死亡 徹夜の祈祷会中に

  • N・T・ライト著『わたしの聖書物語』が大賞 キリスト教書店大賞2025

  • ドイツで神学生が大幅に減少、5年前の3分の2に

編集部のおすすめ

  • 「罪のない赤ちゃんを殺さないで」 東京でマーチフォーライフ、中絶の問題を訴え

  • 教育改革が「日本のリバイバルにつながっていく」 牧師の金子道仁参院議員が講演

  • いのちの言葉聖書学校、日本語クラス2期生7人が卒業

  • 淀橋教会で新主管牧師就任式・祝賀会 金聖燮牧師が6代目に

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.