Skip to main content
2025年6月15日20時35分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム

【寄稿】踊り上がる我ら足なえ 矢澤俊彦

2018年4月7日19時46分 執筆者 : 矢澤俊彦
  • ツイート
印刷
関連タグ:矢澤俊彦

ルステラに足のきかない人が、すわっていた。彼は生れながらの足なえで、歩いた経験が全くなかった。この人がパウロの語るのを聞いていたが、パウロは彼をじっと見て、いやされるほどの信仰が彼にあるのを認め、大声で『自分の足で、まっすぐに立ちなさい』と言った。すると彼は踊り上がって歩き出した。群衆はパウロのしたことを見て、声を張りあげ・・・。(使徒行伝14:8~12、口語訳)

今の時代、私たちは周囲を囲む多くの敵におびえ、引きこもり、閉じこもり、生き難く思い、心身を萎縮させています。救いを求めるあらゆる努力がなされているように見えますが、神様は多くの人にとって遠く、疲れた人々は人生に投げやりになり、むなしさの中で無為に過ごしています。

そういう人を代表するように、聖書は「足なえ」を登場させています。これはなかなかの難病です。聖書は救世主が来るとき、彼らも「鹿のように飛び走る」とあります(イザヤ書35章)。ルステラにいた人は、生まれてからまだ歩いた経験がなかったという。ドッキリとさせられます。これはいったい誰のことか。もしかしたらもう老齢を迎えた人かもしれない。世界を見回してみても、自分の足で歩いている人は少ない気がします。人生のもう夕方5時を過ぎているのに、うずくまったままなのです。

この人々の癒やしのために、あらゆる活動が行われているのがこの世というもの。例えば、四六時中私たちはもう無数の音楽の中にいます。その最良のものは、花々や幼児のように神様に導いてくれるけれど、天国まで引き上げてはくれないように思われます。「すべての文化的活動は、原罪から癒やされたいと願う人間のあがきが生み出したもの」(シャルル・ボードレール)であるような気がします。政治やスポーツ界の狂奔、神学を含む学問、技術、経済界の騒ぎもまた然(しか)りでありましょう。

使徒パウロの語りは多分聞く者をうっとりとさせるほど気分よく、また面白かったことでしょう。抱腹絶倒。笑い転げる場面もあったに違いありません。閉じこもっていた足なえも、ついに自分の穴から出てきて、身を乗り出し、使徒の話のとりことなっていきました。こんなに楽しい時間は、まさに生まれて初めて。それは抹香臭いものでなく、彼が旅行中見聞きしてきたさまざまな世相の描写。快刀乱麻を断つがごとき痛快さがそこにありました。

ここで思い出すのは、古事記で天照大神(あまてらすおおみかみ)が私の郷里、信州戸隠山の岩戸に身を隠された時のこと。また、宗教社会学者・上田紀行氏の処女作『覚醒のネットワーク』で紹介されたスリランカの悪魔払いの儀式です。病者を取り囲み、部落の人たち総出で一晩中ドンチャン騒ぎをするのだそうです。孤独な人にこそ悪霊は憑(つ)くとありました。とにかく、パウロのトークは魅力的だったのです。

その顔はもう太陽のように輝いています。天来の爽やかな風も吹いてきました。多分語りの中心は自分の懺悔(ざんげ)話であったでしょう。敵意をむき出しにした殺人鬼が、一転してすべての人に対して「友情の人」となったという奇想天外のドラマです。

聞き入る足なえの中に「いやされるほどの信仰」が出てきたことを、パウロは認めました。この人の内面はもう充足し切って、「この人の言うことなら何でも聞こう」「このお方についてどこまでも行こう」、そんな思いがあふれ出したとき、雷が落ちてきました。「自分の足で、まっすぐに立ちなさい」との大声でした。

踊り上がって歩き出した足なえは、もう足なえではありません。生まれて初めて自分の足で立ち、踊りまくっているのです。目も開き、耳も聞こえ、多分歌も歌い出したことでしょう。何という愉快、何という喜悦。あれほど怖がっていたこの世界に、もう怖いものはありません。すべてのゴリアテは打ち倒されました。まさに死人のよみがえりです。以前うごめいていたすべての死と陰府(よみ)の影は、どこを見てももうありませんでした。

パウロの内面にも、同じ恍惚(こうこつ)と法悦の炎が燃えていました。そして、これは周囲に確実に伝わっていきます。それは、人間が人間である限り、どんな人にも伝わり得るのです。これがまことの宗教というものか。ここに人生の基礎となる喜びの岩があるのです。老境にある人も然り。1日は千日のごとしですから。

先日のラジオからの声。「笑顔が大事。不機嫌な顔はそれだけで公害です」。でも、私はちょっと気に掛かりました。心から笑顔で生きるには、今お話ししたようなドラマが必要なのではないかと。

◇

矢澤俊彦

矢澤俊彦

(やざわ・としひこ)

長野市出身。20歳の時、信州人気質で努力家の父の急逝がショックで神学校入学。その後、とりつかれた死神と50年死闘、近年やっとサタンを足下にし欣喜雀躍(きんきじゃくやく)。自分の偽善と観念的信仰でうずくまり、勝ちの歩みは、まさに「砂漠の彷徨(ほうこう)の40年」。さらにこの10年、眼の難病である「網膜色素変成症」の進行とともに、霊眼がさえてきた。1977年より、山形県鶴岡市の日本基督教団荘内教会牧師。礼拝は「解放奴隷のお祭広場」「お笑い劇場」にして、誰でも入れる「高級レストラン」を目指す。桜満開の鶴岡公園で「面白路傍伝道」を計画中。近著に『キリストによるマグマ爆発』がある。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:矢澤俊彦
  • ツイート

関連記事

  • 【クリスマスメッセージ】見つめられているあなた 矢澤俊彦・荘内教会牧師

  • 【寄稿】山形伝道の現場から―この厳しき環境に、美しい花は咲くか 矢澤俊彦

  • 【寄稿】「戦争放棄」が世界を救う 核兵器時代の日本の役割 矢澤俊彦

  • 【寄稿】このままでは幸せになれない日本人 矢澤俊彦

  • 【寄稿】後藤健二さんの叫びに耳傾けよう―イスラムの苦悩にふれて 矢澤俊彦

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • ワールドミッションレポート(6月12日):ベルギーのために祈ろう

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.