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ノーベル賞作家、カズオ・イシグロ著『わたしを離さないで』が問い掛けるもの

2017年12月27日06時48分
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ノーベル賞作家、カズオ・イシグロ著『わたしを離さないで』が問い掛けるものとは?+
カズオ・イシグロ著(土屋政雄訳)『わたしを離さないで』ハヤカワ文庫

2017年のノーベル文学賞に、長崎県出身の日系英国人小説家であるカズオ・イシグロ氏(63)が選ばれた。昨年、米国人シンガーソングライターのボブ・ディラン氏の受賞も驚きを与えたが、日本になじみのある作家の受賞とあって、その著書が一時店頭から姿を消すなど、日本人に大きな喜びをもたらした。

イシグロ氏は1954年、日本人の両親のもと、長崎市に生まれ、5歳の時、父親の仕事の関係で英国に渡った。以後、現地の学校に通い、ケント大学では英文学を専攻した。82年、長編小説『遠い山なみの光』(王立文学協会賞)で作家としてデビューするとともに、英国国籍を取得。その後も数々の作品を発表し、89年には長編小説『日の名残り』で、英国で最も権威ある文学賞ブッカー賞を受賞している。ロンドン在住。

スウェーデン・アカデミーによると、その受賞理由は、「偉大な感情の力を持つ小説で、われわれの世界とのつながりの感覚が不確かなものでしかないという、底知れない淵を明らかにした」こと。それを最も反映した作品が『わたしを離さないで』だといわれている。

同作は、2005年に出版された長編第6作目。日本語版は06年に早川書房から単行本が刊行され、2年後に文庫化された。10年には英国で映画化され、日本では、14年に蜷川幸雄演出、多部未華子主演により舞台化、昨年、綾瀬はるか主演でテレビドラマ化もされている。

小説の舞台は1990年代末の英国。31歳のキャシーが過去を回想する一人語りで物語は進む。「ヘールシャム」と呼ばれる寄宿学校で育ち、教育を受け、「販売会」や「交換会」といったイベントもそこで行われていたことが淡々と語られていく。そして、次第にそこが単なる寄宿学校ではなく、臓器提供する目的で作られたクローン人間の子どもを育てるための場所であることが明らかになる。

タイトルの「わたしを離さないでは」は、キャシーが販売会で手に入れたカセットテープの中にある1曲。キャシーがこの曲を聴きながら、赤ん坊に見立てた枕を胸に抱いて踊る場面があるが、それを涙を流しながら見ている「マダム」がいる。彼女は施設の支援者としてたまに訪れ、子どもたちに絵を描かせて、クローンでも普通の人間と同じように育つことを証明し、自分の施設が他の施設より優れていることをピーアールしていた女性だ。しかし彼女は、クローンでも「普通の人間」と同じことを知りながら、生きることに手を貸すことはなく、むしろ臓器提供が猶予されるという希望を容赦なく断ち切ってしまう。その感情の揺れがマダムに涙を流させたのだ。

イシグロ氏は、「(この小説で)クローンや臓器提供をテーマにしたかったわけではなく、長くは生きられない若者たちの『生』を描くことが主眼だ」と話している(日経トレンディネット)。

ただ、同作は「生」を扱いながらも宗教的な事柄が全く排除されているため、神なき世界で人間がどう生きていくかが問われているようにも感じられる。つまり、意のままにできない現実の中に、自分の意志に関係なく送り出され、その中で自分の使命を全うするしかない小さき存在を目の前にした時、私たちはどうしたらいいかという問いだ。そして、キリストの愛のないところで、人間はどのように正義を得ることができるのかということも。

一方、キリスト者にはさらに2つの問いが突きつけられているのではないだろうか。1つは、長く生きられないことが分かっている人たちに、どのように寄り添うことができるのか。もう1つは、「命」までも作ってしまえる科学とどう共存していけばいいのか。

その鍵の1つは、ダイナマイトの発明で巨万の富を築いたノーベルが、その遺産を平和に貢献した人に与えようとしたノーベル賞設立に込めた願いにあるのかもしれない。イシグロ氏が10日に行った記念スピーチで次のように語っている(訳は毎日新聞より)。

「ノーベル賞は、こうした(敵対的な)時代にあって、私たちが自分たちを分断している壁を越えてものを考えられるよう助けてくれ、人間として共に闘わねばならないことは何かを思い出させてくれる賞です。世界中で母親たちがいつも子どもを鼓舞し希望を与えてきたような、母親が小さな子どもに言って聞かせるようなものです」

「自分の国の人がノーベル賞を受賞したことで感じる誇りは、オリンピックで自国の選手がメダルを勝ち取ったのを見て感じるものとは違います。自分の部族がほかの部族より優れていることを示したからといって、誇りをもったりはしません。むしろ、自分たちのうちの一人が人類共通の努力に著しい貢献をしたことを知って得られる誇りです。わき上がる感情はずっと大きく、人々を融合させてくれるものです」

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