Skip to main content
2025年6月16日19時18分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
神声人語

神声人語―御言葉は異文化を超えて―(32)ジョン・ウィクリフと「貧しき司祭」たち 浜島敏

2017年10月30日07時16分 コラムニスト : 浜島敏
  • ツイート
印刷
関連タグ:浜島敏

「邪説信奉博士」「大山師」「ほらふき」「悪魔の手先」は、間もなく死滅すると考えられていました。英国の教会首脳部は喜んでいました。教会に巣喰うこの病菌をついに取り除くのも間近い、と考えたからです。

ところが、ジョン・ウィクリフは6年後の1384年まで死んではおりません。その間、彼は教会の堕落を攻撃し続け、かつ、すべてのイングランド(※1)人が、母国語によって聖書の知識を得られるように熱心に準備を進めました。

※(1)「イングランド」:当時は、スコットランドとイングランドは別々の王国であったので、英国としないで、ここではイングランドとした。

位階制聖職者は、ウィクリフが死んだあとまで彼を激しく憎み続けていました。24年もたってから彼らは、聖書の翻訳を含むウィクリフの全著述を葬り去ろうと企てました。ところが、このウィクリフの伝道は、その後も相変わらず彼らに付きまとって悩まし続けました。

ウィクリフの死後44年もたってから、彼らはウィクリフの遺骨をあばいて焼き、灰を彼の生地ラタワース近くのスウィフト川に投げ込んでいます。こんな男の遺物が、イングランドの神聖な国土を汚したりしては困る、と考えたからです。

ウィクリフの信念は、彼の生存した絶望的な時代の中から生まれ出たもので、また彼が神学を講じた結果として得られたものです。イングランドの教会は大衆を奴隷にするため、一部の貴族と盟約を結んでいました。説教といえば、聖人の生涯についての逸話だけです。それでも聖職者は、自分たちだけが、人々の思想を支配するお偉方だと主張していました。

ウィクリフは、オックスフォード大学で神学講義の回を重ねるごとに改革の必要を痛感しました。彼はまた、イングランドがひどく必要としているこの改革は、一般人が英語で書かれた聖書を持った上でなければ実現不可能だ、と信じていました。というのは、その時代までに、聖書といえばラテン語のものだけで、それも聖職者の中で比較的限られた者が1冊持っているというにすぎなかったからです。

同大学でウィクリフの名声は、彼の翻訳を手伝ったジョン・パーヴェイや、ニコラス・ド・ヘリフォードや、その刊行をまかなったコバム卿といった忠実な信奉者を獲得しました。といっても、出版だけで万事が終わったわけではありません。というのは、当時の人は大部分が文盲であったし、それに活版印刷術以前の時代に、広く頒布(はんぷ)するだけ十分な、安い手写本を作ることは不可能であったからです。

そこでウィクリフは、「貧しき司祭」たちと称するあるグループを編成しました。この人たちは、家々を回り英国中を巡り、聖書を読み、暗記した長い章句を朗誦しつつ、人々を悔い改めと、新しい命に導こうと熱心に説き勧めたのです。

このつつましい神の僕(しもべ)らは、手織りの上衣をまとい、サンダルを履いて歩き、常時厳重な監視を続けている当局の目をかすめるため、聖書は大抵荒布の衣の袖にひそませているありさまで、地所持ちの聖職者たちの優雅なきらびやかさと、著しい対照をなしていました。

まことの聖書翻訳がどうあるべきかを述べたくだりで、ジョン・パーヴェイは、この聖書に生きる献身的な一団の精神を捉えています。

「翻訳者は清廉(せいれん)な生活を送ることが必要であり、その祈りは真に敬虔(けいけん)でなければなりません。また心を世俗の思いで満たしてはなりません。そうすれば知恵と分別と真実の造り主なる聖霊が、仕事の上のよき道しるべとなり、誤りを避けさせてくださるのです。この方法により、さらにまた善き生活とつらい苦しみとにより、真実で明快な翻訳が可能になり、かつまた聖書の正しい理解さえ初めからさほど難事とは感じなくなるのです。神よ、私どもすべてが、聖書をよく理解し、守ることができますように。またこの仕事のために最後まで力を与え給え」

またの名を Lollards(ロラード)(※2)と呼ばれたこれら「貧しき司祭」たちは、非常な名声を博したので、王と教会は、これをいつまでも野放しにしておくわけにはいかなくなりました。そこで、これら敬虔な信徒に対して恐怖政策がとられ、彼らは投獄されたり、火刑に処せられたり、国外へ追放されたりしました。

※(2)「ロラード」:語源は、「ぶつぶつ言うもの」「毒麦」などとされるが、はっきりしない。いずれにせよ、軽蔑的なあだ名であったことは事実であろう。

コバム卿は、ロラード運動に加担した報いとして火あぶりにされてしまいました。それでも少数は逃れてボヘミア(現チェコ)の地に身をひそめました。それまでにボヘミアでは1人の男がウィクリフの書物を読んで、宗教改革ののろし火をともしていました。

<<前回へ     次回へ>>

*

【書籍紹介】
ユージン・ナイダ著『神声人語―御言葉は異文化を超えて』
訳者:繁尾久・郡司利男 改訂増補者:浜島敏

ユージン・ナイダ著『神声人語―御言葉は異文化を超えて』

世界の人里離れた地域で聖書翻訳を行っている宣教師たちと一緒に仕事をすることになって、何百という言語に聖書を翻訳するという素晴らしい側面を学ぶまたとない機会に恵まれました。世界の70カ国を越える国々を訪れ、150語以上の言語についてのさまざまな問題点を教えられました。その間、私たち夫婦はこれらの感動的な仕事の技術的な面や、人の興味をそそるような事柄について、詳細なメモを取りました。

宣教師たちは、未知の言語の文字を作り、文法書や辞書を書き、それらの言語という道具を使って神の言葉のメッセージを伝えるのです。私たちは、この本を準備するに当たって、これらの宣教師の戦略の扉を開くことで、私たちが受けたわくわくするような霊的な恵みを他の人たちにもお分かちしたいという願いを持ちました。本書に上げられているたくさんの資料を提供してくださった多くの宣教師の皆さんに心から感謝いたします。これらの方々は、一緒に仕事をしておられる同労者を除いてはほとんど知られることはないでしょう。また、それらの言語で神の言葉を備え、有効な伝道活動の基礎を作ったことにより、その土地に住む人々に素晴らしい宝を与えられたことになります。その人たちは、彼らの尊い仕事を決して忘れることはないでしょう。

本書は説教やレッスンのための教材として役立つ資料を豊富に備えていますが、その目的で牧師や日曜学校教師だけのために書かれたものではありません。クリスチャン生活のこれまで知らなかった領域を知りたいと思っておられる一般クリスチャンへの入門書ともなっています。読者の便宜に資するために3種類の索引をつけました。①聖句索引、本書に引用されている聖書箇所を聖書の順に並べました、②言語索引、これらのほとんど知られていない言語の地理上の説明も加えました、③総索引、題目と聖書の表現のリストを上げました。

ユージン・ナイダ

◇

浜島敏

浜島敏

(はまじま・びん)

1937年、愛知県に生まれる。明治学院大学、同大学院修了。1968年4月、四国学院大学赴任。2004年3月同大学定年退職。現在、四国学院大学名誉教授。専攻は英語学、聖書翻訳研究。1974、5年には、英国内外聖書協会、大英図書館など、1995、6年にはロンドン大学、ヘブライ大学などにおいて資料収集と研究。2006年、日本聖書協会より、聖書事業功労者受賞。2014年7~9月、ロンドン日本語教会短期奉仕。神学博士。なお、聖書収集家として(現在約800点所蔵)、過去数回にわたり聖書展示会を行う。国際ギデオン協会会員。日本景教研究会会員。聖書の歴史、聖書翻訳に関する著書・翻訳書、論文多数。

■ 【浜島敏著書】(Amazon)
■ 【浜島敏著書】(イーグレープ)

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:浜島敏
  • ツイート

関連記事

  • 神声人語―御言葉は異文化を超えて―(31)聖なる書にとらえられて 浜島敏

  • 神声人語―御言葉は異文化を超えて―(30)ヒエロニムスとウルガータ聖書 浜島敏

  • 神声人語―御言葉は異文化を超えて―(29)ウルフィラスと聖書のゴート語訳 浜島敏

  • 神声人語―御言葉は異文化を超えて―(28)聖霊降臨の昔から 浜島敏

  • 神声人語―御言葉は異文化を超えて―(27)どうして新しい聖書の訳が出てくるのか 浜島敏

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • 自分の考えを大切に生きよう 菅野直基

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • ワールドミッションレポート(6月12日):ベルギーのために祈ろう

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.