共有された道義的・法的責務を 宗教指導者らが声明 核兵器の合法性 国際司法裁の勧告的意見20年で国際会議

2016年8月5日19時20分 記者 : 行本尚史 印刷
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最終声明文「核兵器廃絶のための私たちに共有された道義的そして法的責務」を採択する、国際会議「核兵器廃絶に向けた国際特別セッション~ICJの勧告的意見から20年~」の参加者たち=3日、東京都渋谷区の国際連合大学で

世界宗教者平和会議(WCRP/Religions for Peace =RfP)は2日と3日、国際連合大学(東京都渋谷区)で「核兵器廃絶に向けた国際特別セッション~ICJの勧告的意見から20年~」を開催した。初日には核兵器廃絶・軍縮に取り組む国内外の宗教指導者をはじめ、被爆者、学者、政治家、NGO約80人が参加、2日目には約60人の高校生や市民らがそれに加わり、「核兵器廃絶のための私たちに共有された道義的そして法的責務 核兵器による威嚇または使用の合法性に関する国際司法裁判所(ICJ)の勧告的意見発表20周年に寄せて」と題する最終声明文を採択し、発表した。

これは、1996年7月8日にICJが「核兵器による威嚇またはその使用は、武力紛争に適用される国際法の諸規則、そして特に人道法の原則及び規則に一般的に違反する・・・」「厳格かつ効果的な国際管理の下において、すべての側面での核軍縮に導く交渉を誠実に行い、かつ完結させる義務が存在する」と宣言してから20周年を迎えたのを受けて行われたもの。

「ICJの意見は、諸宗教共同体、非政府機関、そして政府が、核兵器の廃絶を促進するための法的根拠を与えた。とりわけ、その勧告的意見は、1996年から今日に至るまで、核兵器を禁止し廃絶するグローバルな条約である核兵器禁止条約を求める力強い国連総会決議を加盟国の圧倒的多数で採択することを可能にした」と、この声明文はその意義を説明している。

「私たちは、核兵器のない世界を実現するために、パートナーシップを強化することを新たに決意する」と、参加者らはこの声明文で表明している。

この声明文で参加者らは、「私たちは、核兵器のいかなる使用を正当化するための、道徳、宗教あるいは法律における適法な議論は成り立たず、核兵器の使用は、これまで数世紀にわたって積み上げられてきた国際法と人道法のすべての諸原則に反するということに合意した」と述べ、「無差別性を有する大量破壊兵器としての核兵器は、本来的に邪悪である。したがって、核兵器の開発ならびに保有さえも道義的に異常といえる」と続けている。

「私たちはさらに、核兵器の使用もしくは保有を非とする道義的・倫理的責務は、人間の良心の奥底から生じるという理由から、すべての善意の男女に通用することを確信する。そうした人間の良心は、核兵器の適法性に関する技術的な議論以上に根源的であり、さらにそうした議論の基盤にもなるからである」とこの声明文は説き、「この意味において、私たちは、バラク・オバマ米国大統領が2016年5月、広島市を訪問した事実に大いなる光明を見出す」と付け加えている。

その上で参加者らは特に、次の7つの点について意思を表明している。

1)2015年12月に採択された国連総会決議「核兵器のない世界のための道義的責務」を支持する。同決議は、「国際社会が国連憲章の高貴な諸原則に順ずること」を想起し、「無差別性と人類を絶滅させる潜在力から、核兵器は生来的に道徳に反している」ことを宣言している。

2)新たな法的枠組みの基礎として、「核兵器の人道的影響」を訴えるための国際的な各界間のパートナーシップの構築に向け、私たちの取り組みを新たにする。その法的枠組みとは、化学兵器や生物兵器などの他の大量破壊兵器に課せられているのと同様な道義的・法的な基盤の上に立って核兵器を禁止するものである。

3)核兵器の廃絶交渉を誠実に速やかに開始するという核不拡散条約(NPT)に基づく法的義務を履行することを核兵器国に強いるために、マーシャル諸島共和国が国際司法裁判所(ICJ)に提訴した訴訟の判決が近々示される状況において、ICJを信頼する。

4)2015年12月7日に投票された国連総会決議によって設置された「公開作業部会」の議長が、さる7月28日に公表した議長報告草案(ゼロ草案)を建設的に精査し、また、核兵器のない世界を実現するための「法的措置、法的規定と規範」を開発するため、同部会の最終セッションに積極的に参加するよう政府に促す。私たちは、同報告草案に盛り込まれた「最終的には完全廃絶に向かうよう核兵器を禁止するための法的拘束力を有する規定を交渉するために」2017年に国連総会が国際会議を開催するとした勧告に強く賛同する。

5)被爆者(広島・長崎の原爆投下の生存者)により進められている核兵器廃絶国際署名キャンペーンを強く支援する。その署名要請文は、「これから生まれてくる将来の世代が、この地上において再び地獄を見ないよう被爆者が生存中に核兵器のない世界を実現することが、私たちの強い願いである」と述べている。

6)被爆者と核実験によって深刻な障害を被った数多くの国々の人々の、人間としての尊厳が冒されてきた事実を認識し、かつ、彼らの尊厳の回復と彼らの要求を真剣に熟慮することを要望する。

7)第1に、2015年4月21日に東京において、「核軍縮・不拡散議員連盟」(PNND)日本とWCRP(RfP)日本委員会によって発表された共同提言、第2に、2015年8月6日に広島においてRfP国際委員会、国際PNNDそして平和首長会議が発表した共同声明を再確認する。前者は、北東アジア非核兵器地帯の創設の必要性を強調し、後者は、広島・長崎への原爆投下70年を期して採択され、2015年9月に国連総会議長に提出された。

さらに、この声明文は、会議に参加した高校生について言及。「私たちは、高校生が彼らの意見を述べ、核兵器の廃絶に向けて真摯(しんし)な願いを表明したことに感謝の思いを表したい。彼らの参加は、核兵器のない世界を築くために、現代の世代が希望を持って責任を果たしていくための後押しになった」と述べた上で、「若い世代により積極的に関わってもらうためには、包括的な平和教育が必要である」と主張している。

その上でこの声明文は、「最後に私たちは、RfP国際軍縮・安全保障常設委員会と協働して、核兵器廃絶のための行動において、他の市民社会、政府・非政府関係者とのより効果的なパートナーシップに向けて、軍縮問題に対する関心の喚起、協調的なアドボカシー活動の支援、宗教指導者とコミュニティーによる関与と強化に取り組んでいきたい」と結んでいる。

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