エルサレムの聖墳墓、200年の沈黙を破り3億2千万円を費やす修復工事に着手

2016年6月8日23時59分 翻訳者 : 山本正浩 印刷
+聖墳墓教会
エルサレムの聖墳墓教会(写真:Berthold Werner)

遺跡修復の専門家チームは、十字架での死後、キリストが埋葬されたとされている聖跡の修復に、ようやく着手することになった。

9人のギリシャ人専門家らが、エディクラの保存と修復、また強化に取り組んでいる。エディクラとは、イエスの遺体が安置されたとされる墓を取り囲む、小さな空間のことだ。この墓は、エルサレムの聖墳墓教会内にある。

AP通信によると、この修復作業は6日に開始され、2世紀前に聖跡が修復されて以来、初めての修復となる。

過去のエディクラ修復は1810年のことで、1808年に火災で壊滅の危機にひんして以来、初の修復となる。

モルタルを塗り替え、柱を強化してエディクラ全体を補強するため、修復工事には8カ月から12カ月を要する。聖跡が公開されている日中は巡礼者が訪れるため、作業の一部は早朝や深夜に行われることになる。

修復工事が遅れた理由は、聖墳墓教会の所有権や管轄権をめぐり、ローマ・カトリック教会とアルメニア使徒教会、ギリシャ正教会の3教派間に、見解の相違があったことによる。宗派間の対立は2008年に最高潮に達し、ギリシャ正教の指導者とアルメニア使徒教会の修道士との間で、けんか騒動にまで発展した。

しかし、イスラエル考古学庁が聖墳墓教会を危険建造物と見なし、昨年、警察当局を通じて短期的に閉館して以来、3宗派は見解の相違を黙認せざるを得なくなり、修復作業に取り掛かる運びとなった。

「3宗派全てが、修復は必要不可欠と判断しました。そのようにして合意に至ったのです」とアルメニア使徒教会総主教庁のサムエル・アゴヤン首座主教は言う(AP通信)。

ギリシャ正教会イェルサリム教区のセオフィロス3世総主教によると、修復工事には300万ドル(約3億2千万円)かかるとされ、3教派が共同支出することになっている。

AP通信によれば、ヨルダンのアブダラ国王も個人的に資金援助している。キリスト教とイスラム教の聖地保存に、同国が一躍かっているためだ。

エディクラの補強工事に携わる専門家らは、ギリシャのアテネにあるアクロポリスや、地中海周辺に散在する歴史的に有名なビザンチン教会など、他の古代遺物でも同様の仕事をした経験がある。

修復工事のコーディネーターを務める、国立アテネ工科大学建築学部のアントニア・モロポーロー教授によると、墓は安定しているものの、水分や湿気、ろうそくの煙などに長年晒(さら)されたことにより、かなりの損傷を受けているという。教授によれば、墓には今後起こり得る地震に対する対策も必要だという。

「大理石と石の厚板は、重圧のために若干変形しています」と、モロポーロー教授は言う。

聖跡の修復に携わる彼女とその同僚らは、その責務を重く見ているとモロポーロー教授は語る。

「このような重大な責務をうらやむ人は、一人もいないでしょう。毎日数千人の人が訪れる公共の場で仕事をするというのは、とても大変なことだからです」と教授は言う。

過去に対立していたとはいえ、3教派による修復工事の取り組みは、宗派間における霊的一致に貢献している。

「今回の出来事は、一致のためにとても良い機会になりました」とセオフィロス3世総主教は語った。

※この記事はクリスチャンポストの記事を日本向けに翻訳・編集したものです。一部、加筆・省略など、変更している部分があります。

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