在日大韓基督教会、「人種差別撤廃基本法」を求める要請書を衆参両議長に提出

2016年4月22日12時08分 記者 : 行本尚史 印刷
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「人種差別撤廃基本法」を求める要請書

在日大韓基督教会は、「人種差別撤廃基本法」を求める要請書を同教会の金性済総会長の名で、衆議院と参議院の両議長に15日付で提出した。

「キリスト・イエスにあって、私たちは一つとされている。私たちすべてが神の救いを受けるべきいのちとして今を生きる存在なのである。私たちはまた、この社会で共生のための天幕が開かれ、神の祝福のなかで寄留者が憎悪から歓待へと導かれることを信じているからである」などと、同総会長はこの要請書で述べている。

その上で、「今国会で、実効性あるヘイトスピーチ対策法を成立させるとともに、包括的な人種差別撤廃法の策定作業を始めることを、私たちは強く求める」と結んでいる。

参議院では、昨年5月に当時の民主党などの野党が通常国会に提出した「人種等を理由とする差別の撤廃のための施策の推進に関する法律案」(人種差別撤廃推進法案)に加えて、与党が8日に提出した「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案」が19日に審議入りしている。

全文は以下の通り。

参議院議長 様
衆議院議長 様

「人種差別撤廃基本法」を求める要請書

私たち在日大韓基督教会は昨年11月、日本および世界のキリスト教会に呼びかけて、主題「ヘイトスピーチをのりこえ、共生の天幕をひろげよう」の下、第3回「マイノリティ問題と宣教」国際会議を開催した。会議には世界教会協議会(WCC)をはじめ、日本、韓国、台湾、インド、オーストラリア、南アフリカ、ドイツ、アメリカ、カナダなど諸教会の代表者、計133人が東京に集まり、人種差別とたたかう世界的なネットワークを構築していくことを確認すると共に、日本政府に対して「人種差別撤廃基本法」など国内法の整備を早急に実現することを求めた。

今年3月、参議院法務委員会において、野党議員が昨年5月に提出した人種差別撤廃施策推進法案に関する参考人質疑が行なわれると共に、ヘイトスピーチの標的となっている川崎市コリアタウン訪問が実施された。そして4月8日、与党の自民・公明両党から、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案」(与党案)が参議院に提出された。与野党で協議の上、各会派一致して今国会で成立させることをめざすとも報道され、ヘイトスピーチ対策法が今国会で成立する可能性が高まっている。日本で初めての反人種差別法ができるのかどうか、新しい局面を迎えている。

しかし与党案は、国および地方公共団体の責務(第4条)、相談体制の整備(第5条)、教育の充実(第6条)、啓発活動(第7条)を挙げながらも、結局のところ、「本邦外出身者」に対する不当な差別的言動を「許されない」と宣言する(前文)にとどまっている。

そうではなく、「不当な差別的言動は(日本国憲法および国際人権法上)違法であると宣言する」とともに、不当な差別言動と差別行為を根絶するための、段階的かつ具体的な方策が書き込まれなければならない。日本が加入している自由権規約および人種差別撤廃条約が締約国に求めているのは、包括的な人種差別撤廃法の立法化であり、これがその第一歩の「基本法」とならなければならないからである。

また、その基本法においては、いまヘイトスピーチ(憎悪扇動)の標的とされている私たち在日同胞をはじめ、移住者、被差別部落、アイヌ、琉球・沖縄の人びとなど、日本で暮らすマイノリティ(被差別少数者)すべてが、救済と権利享有の対象とならなければならない。

かつて93年前の関東大震災時のヘイトクライムを記憶する私たちは、戦後70年間、差別にさらされ続け、さらにいまヘイトスピーチの嵐のなかにいる。それでも私たちは、希望を失わず、共生の天幕をひろげていきたい。

キリスト・イエスにあって、私たちは一つとされている。私たちすべてが神の救いを受けるべきいのちとして今を生きる存在なのである。私たちはまた、この社会で共生のための天幕が開かれ、神の祝福のなかで寄留者が憎悪から歓待へと導かれることを信じているからである。

今国会で、実効性あるヘイトスピーチ対策法を成立させるとともに、包括的な人種差別撤廃法の策定作業を始めることを、私たちは強く求める。

2016年4月15日
在日大韓基督教会総会長 金性済

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<出典> 日本:厚労省、世界:WHOJohn Hopkins CSSE

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