エチオピアの危機は食い止めることができる

2016年1月19日23時57分 翻訳者 : 木下優紀 印刷
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2015年10月以降、エチオピアで人道的危機が起こっており、1020万人が食糧危機に直面している。援助団体とエチオピア政府は計画を立てたものの、それを実行するために必要な資金のわずか5パーセントしか調達できていない。エチオピアは飢えており、世界はそれに関心がないように見受けられる。

ここ数十年で最も強いエルニーニョ現象のため、通常10月と11月にある降雨が少なくなった結果、エチオピアはすでに干ばつに苦しんでいる。

エルニーニョ現象は、カリフォルニアや米国南部の州で降雨量が増加する一方、アフリカの東部や南部を含む他の地域では干ばつが起きる現象だ。エチオピアでは、降雨が少なすぎるために収穫が少なくなり、人口の80パーセントが依存している農業を破壊した。

国連のステファン・デュジャリック報道官は最近報道陣に、「ここ数十年で最も厳しいエルニーニョ現象により干ばつが厳しい地域があり、収穫が激減し家畜が多く死亡しています」と語った。

国連世界食糧計画(WFP)によると、エチオピアでの人道支援の必要性は2015年以降3倍に増大しており、「それでも、上半期に必要な資源の5パーセント以下しか集まっていません」とデュジャリック報道官は述べた。

国際援助団体「クリスチャン・エイド」によると、現地の農家は2シーズンにわたって収穫することができておらず、現在は家畜の飼料も不足しているという。

クリスチャン・エイドのアフリカ援助プログラムの代表、モーリス・オニヤンゴ氏は、「田舎の牧畜業が盛んな地域では、数百、数千の家畜が死んでいるのを見ました」と語った。

「700県のうち250の県が、現在では極度に貧しくなり、食料、水、健康、家畜、資産を失う深刻なリスクに直面しています。気象予報ではエルニーニョ現象は今年中旬まで続くとみられることから、今行動することが重要です」

食料不足の深刻さは共同体を荒廃させており、次のシーズンに必要な牛を食べたり、次のシーズンに栽培するために保存していた種や苗を食べたりせざるを得ない状況になっている。

この危機により、短期的には人々が多く死亡する恐れ、長期的にはエチオピアの発展にネガティブな影響を及ぼし、ここ数年エチオピアが積み上げてきた発展を巻き戻す恐れがある。

この危機は、1983年から1985年にかけてエチオピアで起き、40万人が死亡した飢餓を想起させる。

歴史が繰り返すことは避けられないが、エチオピア政府は国連やほかの援助団体と連携し、この状況を打開するための計画を記した包括的な文書を作成している。問題は、全体で14億ドル(約1650億円)の必要な資金がなければこの計画が実行できないことで、エチオピアは負のスパイラルに直面する。

現実は、この干ばつが現在全世界的に起こっている現象の一つにすぎないということだ。報道機関は、徐々に悪化するシリア情勢とそれに伴う難民危機の報道に気を取られている。人々が気にかけていないわけではないが、1020万人のエチオピア人の栄養不良が傍らに追いやられているという議論はできるだろう。

不安材料は「寄付をする国々が現実的で積極的な関心を(エチオピアに)向けるまでに、どれほど状況が悪くなるかということです」と、英国のキリスト教人道団体「ティアファンド(Tearfund)」東南アフリカ支部のアンディ・モーガン副支部長は取材に対して語った。

WFPのチャリス・マクダノー報道官は、「現在、世界中での人道支援の必要は甚大で、寄付をする側も必要の全てを満たそうと奮闘しています。世界的に人道危機が多発しています。寄付をする側にとって、追いつくのが困難です」と語った。

ティアファンドの人道支援部長オイノネ・チャドバーン氏は、大衆は「よいニュースを聞くときにより悪く」なるので、報道は危機に対してしばしば反応的になると語った。

もし有意な行動がなされれば、危機は避けられるかもしれない。干ばつに対し、適切な反応として現実的な計画を立てられる安定した政府がある。

しかし国際社会は反応的にではなく率先的に行動し、政府の計画に出資しなければならない。これには問題があるかもしれない。「国際社会の選択は、政治的なものです」とチャドバーン氏。「資金の使途について賢明な選択をするということだけではありません」

調査からは、複数年にわたる早期の資金提供が、援助をするのに最も効率的な方法だということが分かっている。しかしそれでも、危機に応答するために有意な報道を待つことを選択していると、チャドバーン氏は指摘した。

各国政府は率先して行動するのを渋っており、この先実際に起こることを予測した証拠をいつも探している。「認識することと、早期の警告に対して現実に行動することの両方が不得意なのです」とチャドバーン氏。

私たちはエチオピアは必要に対して実践的で率先した解決法を持っている。しかし国際的な状況と政府による援助の政治的な性質がその解決を遅らせ、数千人もの命を危険にさらす可能性が生じている。

※この記事は英国クリスチャントゥデイの記事を日本向けに翻訳・編集したものです。一部、加筆・省略など、変更している部分があります。
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