キリスト教史学会編『戦時下のキリスト教 宗教団体法をめぐって』

2016年1月8日19時18分 記者 : 行本尚史 印刷
+キリスト教史学会編『戦時下のキリスト教 宗教団体法をめぐって』
キリスト教史学会編『戦時下のキリスト教 宗教団体法をめぐって』(画像:教文館提供)

本書は、2014年9月に同志社大学で開催された第65回キリスト教史学会の全国大会で行われたシンポジウム「戦時期宗教団体法下におけるキリスト教」を、2015年8月に教文館で書籍化したもの。

このシンポジウムは、1939年に出された宗教団体法の下で、戦時体制下のキリスト教はどうであったのかを検証することを目的としていた。日本基督教団、カトリック教会、正教会、聖公会、ホーリネスの研究者が一堂に会して議論を交わした。

本書では、序章で同志社大学神学部教授の原誠氏が「宗教団体法のもとにあった戦時下のキリスト教」について論じている。

また、第1章で日本基督教団の戒能(かいのう)信生牧師が同教団について、第2章で南山大学人文学部教授の三好千春氏がカトリック教会(日本天主公教教団)について、第3章で東海大学外国語教育センター専任講師の近藤喜重郎氏が正教会(日本ハリストス正教会教団)について、第4章で日本聖公会文書保管委員会委員長の大江満氏が聖公会について、さらに第5章で日本ホーリネス教団歴史編纂委員実務委員長(1998~2012年)で同教団牧師の上中栄氏がホーリネスについて、それぞれ論じている。

「宗教団体法の下で、戦争遂行という国家目的のために政府の監督下に入ったキリスト教各派を検証することは、心痛むことではありますが、キリスト教が本来の姿を見失わないために必要なことです。本書が広く読まれることによって、この不幸な経験が語り継がれ、わたしたちが二度と同じ轍を踏むことのないように祈りたいものです」と、同学会理事長の大西晴樹氏は本書の巻頭言に記している。

なお、本書はまた、同学会大会シンポジウムの書籍化として出版された『宣教師と日本人―明治キリスト教史における受容と変容』(教文館、2012年)、『植民地化・デモクラシー・再臨運動―大正期キリスト教の諸相』(同、2014年)の続編だという。「それらも合わせ読まれることによって、日本におけるキリスト教の歴史に対する理解を深めてもらえれば幸いです」と、大西氏は述べている。

本書は戦後70年であった昨年の夏に出版されたものであり、また本書には含まれていない教派もある。しかし、戦争と平和をめぐる昨今の状況の中で、キリスト教の在り方を考えるとき、こうした歴史についての理解を深めておくことは、新年が明けた今もなお、大きな意義があるのではないだろうか。

キリスト教史学会編『戦時下のキリスト教 宗教団体法をめぐって』教文館、2015年8月、本体価格2200円。

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