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使徒の働き味読・身読の手引き

使徒の働き味読・身読の手引き(19) 宮村武夫牧師

2013年10月16日15時31分 コラムニスト : 宮村武夫
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宮村武夫牧師+

神の国とイエス・キリスト
使徒の働き8章9節~24節

[1]序

今回は少し長い箇所ですが、使徒の働き8章9節から24節を味わいます。

8章4節、「他方、散らされた人たちは、みことばを宣べながら、巡り歩いた」では、ステパノの殉教が引き金となって生じた迫害のため、エルサレム教会から散らされた人々がみことばを宣べ伝えながら各地を巡り歩いている様子をルカは描いていました。5節から8節は、ピリポによるサマリヤ宣教の大筋です。

今回の箇所を四つに分け、全体の流れを確認します。

①9節から11節、ピリポのサマリヤ宣教開始以前のサマリヤの様子。

②12節と13節、サマリヤにおけるピリポの宣教活動とその結果。

③14節から18節、サマリヤ宣教の報告を受け、エルサレム教会がペテロとヨハネを派遣。サマリヤの人々が聖霊を受けることができるようにと彼らが祈った次第。

④19節から24節、シモンに対するペテロの鋭い警告。

[2]サマリヤの状況とピリポの宣教

(1)サマリヤの状況
ユダヤ人とサマリヤ人の間に長い歴史を重ねた対立があったことをすでに見てきました。9節から11節を通して、サマリヤにはさらに困難があったことを知らされます。それは、当時の混合宗教の傾向を一身に受けたシモンという人物の存在です。彼の広範囲(10節)に及ぶ悪影響が長年にわたり(11節)人々を支配していたのです。

(2)ピリポの宣教
ピリポはサマリヤにおける困難を知りながら、困難と不可能を混同しないのです。サマリヤに向かい、宣教活動を開始し、継続したのです。

困難のみを見たり、効果がないと先取りし何もしない。そうした態度をピリポは取らないのです。9節から11節の背景の中で、12節が際立ちます。「しかし、ピリポが神の国とイエス・キリストの御名について宣べるのを信じた彼らは、男も女もバプテスマを受けた」のです。

「神の国」とは、神の統治の事実です。生ける神が救いのご計画を着実に進めておられる、その全体を宣べ伝えたのです(20章27節)。ロマ11章33~36節と12章1節と2節に見る礼拝の生活への呼び掛けに注意。

この神の国は、主イエス・キリストによって現実となっているのです。ですからピリポが「神の国とイエス・キリストの御名について宣べる」とあるように、神の国と主イエスは切り離すことなく宣べ伝えています。

[3]シモンの問題点

シモンの問題点は、19節、「『私が手を置いた者がだれでも聖霊を受けられるように、この権威を私にも下さい』と言った」に見る申し出を通してはっきりしてきます。

少なくとも二つの問題点があります。

第一は、自分の名声・自分の利害・自分の気持ちなど、シモンの関心のすべては自己中心である点です。

第二の問題点は、神の恵みを金によって左右できると考えていることです。これは、「神の国」の中心である、神第一の生き方と正反対の態度です。ペテロはシモンの問題点を鋭く突き警告します。

[4]結び

今回の箇所を通し、以下の点を教えられます。

(1)ピリポの態度。困難を知りながら、困難を不可能と混同せず、福音宣教のため前進。

(2)ピリポの宣べ伝える福音の中心、「神の国とイエス・キリストの御名」。福音の豊かさとその中心。

(3)サマリヤ宣教の報告を受け、エルサレム教会がペテロとヨハネを派遣する14節以下の記事。諸教会が互いに連絡し協力し福音宣教を進めていく姿。

(4)シモンの問題点からの解き放ち。自分の野心、気持ち、都合が第一の歩みからの解放、ロマ12章1節と2節、「そういうわけですから、兄弟たち。私は、神のあわれみのゆえに、あなたがたにお願いします。あなたがたのからだを、神に受け入れられる、聖い、生きた供え物としてささげなさい。それこそ、あなたがたの霊的な礼拝です。この世と調子を合わせてはいけません。いや、むしろ、神のみこころは何か、すなわち、何が良いことで、神に受け入れられ、完全であるのかをわきまえ知るために、心の一新によって自分を変えなさい」の指し示す道へ。

◇

宮村武夫(みやむら・たけお)

1939年東京生まれ。日本クリスチャン・カレッジ、ゴードン神学院、ハーバード大学(新約聖書学)、上智大学神学部修了(組織神学)。現在、日本センド派遣会総主事。

主な著訳書に、編著『存在の喜び―もみの木の十年』真文舎、『申命記 新聖書講解シリーズ旧約4』、『コリント人への手紙 第一 新聖書注解 新約2』、『テサロニケ人への手紙 第一、二 新聖書注解 新約3』、『ガラテヤ人への手紙 新実用聖書注解』以上いのちのことば社、F・F・ブルース『ヘブル人への手紙』聖書図書刊行会、他。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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