米国で8月に公開された「オバマのアメリカ2016」では、オバマ米大統領の世界観がダイナミックに表現されており、いかなる政治団体による資金援助も受けずに制作されたこれからの米国のあり方を示す画期的な映画として注目されているにもかかわらず、米国内のキリスト教メディアやキリスト教指導者らはこの映画に対する報道や見解を述べるのに弱腰になっている。8月31日、米クリスチャンポスト(CP)が報じた。
同映画の共同制作者でキリスト教弁証家、ニューヨークキングズカレッジ学長でもあるディネッシュ・ドゥソウザ氏はこの傾向に関して米CPの取材に対し「確かにクリスチャンがこの映画の内容に関して、彼らの信じるところを述べるのに変に身構えてしまっており、臆病になっているようなところが見られている気がします。この映画は多くのキリスト教保守派の関心を引き寄せるものであり、キリスト教メディア編集者やキリスト教指導者たちが、この映画の内容を伝えず、読者や聴衆にこの映画に関して知る機会を持たせないということはおかしなことのように思えます」と述べている。
米キリスト教ニュース誌「ワールド」では「2016」映画のレビューを掲載したものの、同映画のための広告枠は販売しないことに決定した。「ワールド」副発行人のウォレン・コール・スミス氏は「この映画に対する広告を受け付けないことにいたしました。しかしこの決断は映画の内容に私達が同意するとかしないとかの問題ではありません。この映画の広告掲載を拒否した理由は、私達の雑誌では過去26年間にわたって政治的な広告は一切受け付けていないことにあります。特に現在は米大統領選が間近になっており、この映画が直接のオバマ米大統領の選挙宣伝ではないとしても、それぞれの広告業者に弊誌の広告掲載方針への忠実さを示すために掲載をしないことにいたしました。この映画について私達の雑誌で示された見解を読者の皆さまには信用していただきたいと思いますし、私達がこの映画のレビューを掲載したのは、政治的な宣伝をしたかったわけではないということを明確にするためにも、広告の掲載は控えることにいたしました」と述べている。
一方同映画制作者側も、この映画がオバマ米大統領の選挙宣伝のためであると見なされないように「彼を愛するも憎むも、まずは彼を知ってから」という中立的な立場の広告用バナーさえもキリスト教メディア各社に政治的な内容のバナーであると見なされてしまっていることに疑問を抱いている。
ある米福音派の雑誌では、同映画の広告掲載を決めかねており、同映画のレビューに関する記事までも掲載しないことに決定したという。
実際同映画の興行収入は新聞編集者の注目を集める成功を収めており、同雑誌編集補佐役の一人は「キリスト教ニュースを報じる組織として、この映画の予期しない人気についてニュースストーリーを作っても良いのではないかとは思う」と述べている。
同誌映画部門編集者は米CPに対し「私達は通常高度に政治的な内容の報道は避けるようにしています。特に政治的な渦中にある問題については回避するようにしています。これまで弊誌ではいかなる政治家もひいきにすることはせず、それに類する報道もしてきませんでした。確かに数週間前この映画に関するレビューを回避する決断をした時に、この映画が一つの輝点を与える存在になりつつあることは感じていました」と述べている。
クリスチャンオンラインニュースサイトのASSITニュース・サービス主任編集者で創設者でもあるダン・ウッディング氏は米大統領選に関連するいかなるストーリーも報道しない方針であるという。
ウッディング氏は「私達は迫害されている教会、世界宣教および大衆文化がキリスト教徒にどのように影響しているかに関して報道する独特の召しを受けています。政治的な記事につきましては、他に多くの新聞社が取り扱われるでしょうから、私たちは迫害されている兄弟姉妹の必要を満たすための報道に特化したいと考えています」と述べている。
クリスチャントゥデイからのお願い
皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。
人気記事ランキング
-
「信教の自由を脅かす」 旧統一協会の解散命令巡り特別集会、西岡力氏らが登壇
-
ウェールズ聖公会、首座主教にレズビアンの女性主教選出 保守派からは強い批判の声
-
主キリストと共にある私たちの毎日 万代栄嗣
-
「苦しみ」と「苦しみ」の解決(11)「苦しみ」が始まるまでの経緯(前半)悪魔の起源 三谷和司
-
「苦しみ」と「苦しみ」の解決(11)「苦しみ」が始まるまでの経緯(後半)救いの計画 三谷和司
-
米カトリック教会で銃乱射事件 ミサ参加中の付属学校の子どもら2人死亡、17人負傷
-
ウクライナ、米大衆伝道者フランクリン・グラハム氏に勲章授与 人道支援を評価
-
DVを受けた人のための礼拝「やすらぎ」 第1回、東京・吉祥寺で9月28日
-
ワールドミッションレポート(9月1日):リビア 砂浜に響く殉教者たちの祈り(5)
-
21世紀の神学(30)伊藤貫氏が提唱する古典教育とセオセントリズムの復権 山崎純二
-
「信教の自由を脅かす」 旧統一協会の解散命令巡り特別集会、西岡力氏らが登壇
-
牧師を辞めた理由は? 元牧師730人を対象に調査 現役牧師や信徒へのアドバイスも
-
米カトリック教会で銃乱射事件 ミサ参加中の付属学校の子どもら2人死亡、17人負傷
-
進藤龍也氏×山崎純二氏対談イベント「神様との出会いで人生が変わった」 埼玉・川口市で8月30日
-
米福音派の重鎮、ジェームス・ドブソン氏死去 フォーカス・オン・ザ・ファミリー創設者
-
花嫁(31)神に従う者の道 星野ひかり
-
21世紀の神学(30)伊藤貫氏が提唱する古典教育とセオセントリズムの復権 山崎純二
-
「森は海の恋人」の畠山重篤さん、気仙沼市の名誉市民に
-
「苦しみ」と「苦しみ」の解決(11)「苦しみ」が始まるまでの経緯(前半)悪魔の起源 三谷和司
-
「苦しみ」と「苦しみ」の解決(11)「苦しみ」が始まるまでの経緯(後半)救いの計画 三谷和司
-
「信教の自由を脅かす」 旧統一協会の解散命令巡り特別集会、西岡力氏らが登壇
-
牧師を辞めた理由は? 元牧師730人を対象に調査 現役牧師や信徒へのアドバイスも
-
新約聖書学者の田川建三氏死去、89歳 新約聖書の個人全訳を出版
-
キリスト教徒が人口の過半数を占める国・地域、この10年で減少 米ピュー研究所
-
N・T・ライト著『わたしの聖書物語』が大賞 キリスト教書店大賞2025
-
「20世紀のフランシスコ・ザビエル」 聖心女子大学で岩下壮一神父の特別展
-
「苦しみ」と「苦しみ」の解決(10)「苦しみ」から「苦しみ」へ 三谷和司
-
日本キリスト教協議会、戦後80年の平和メッセージ キリスト者の戦争加担にも言及
-
福音派増えるベネズエラ、大統領が「マーチ・フォー・ジーザスの日」制定 全国で行進
-
米カトリック教会で銃乱射事件 ミサ参加中の付属学校の子どもら2人死亡、17人負傷