米大統領選を目前に控え、2016年までオバマ米大統領が大統領に就任し続けるか、あるいは政権が交代されるか五分五分の割合を示す情勢が続いている。そのような最中の米国で8月上旬に「オバマ大統領のアメリカ2016」という映画が公開される。
同映画はインド系米国人で保守派の政治問題評論家、キリスト教弁証家のディネッシュ・ドゥソウザ氏の執筆した2冊の著書を基に制作された。同映画を機にオバマ米大統領に対する新たな関心が巻き起こることが期待されている。
同映画はアカデミー賞受賞作品「シンドラーのリスト」を制作したジェラルド・R・モーレン氏が制作を手掛けている。映画制作関係者らは、ドゥソウザ氏の著書の洞察を通じて「彼はオバマ政権の目指す希望と、現在生じている変化について、急激に誤解されるようになってきており、その中で新たな火種が生まれようとしていることを見出しています。映画では古い植民地大国から解放されたアメリカの歴史を振り返り、世界の国々が新たに配列され、地球規模の未来が形づくられる様子が語られています」と評価している。
米クリスチャン・ポスト(CP)は米レーガン政権時代の政策アナリストも務めた経験も有するドゥソウザ氏への独占インタビューを行った。同氏は現在米ニューヨークキングズカレッジの学長でもある。
米CP:「オバマ米大統領が再選したら、2016年にアメリカに何が起こるか」という御自身の投げかけられている問いに対して、映画の内容を踏まえて答えの一部をいただけますか?
ドゥソウザ氏:この映画二部に分かれています。第1部ではオバマ米大統領の過去をさかのぼって再現しています。そして第2部では、オバマ米大統領が今後4年間で何を成し遂げることを期待できるかが映し出されています。この映画は拙著「オバマへの熱情の根にあるもの(2010)」および来月出版予定の「オバマのアメリカ」を基に制作されています。前著では過去のオバマ米大統領を振り返り、新著では未来のオバマ米大統領を予見しています。映画はこの両方を合わせて制作されています。
米CP:この映画を通してオバマ政権による2016年に何が生じると語っているのでしょうか?
ドゥソウザ氏:この映画の目的のひとつは、グローバルな正義の名の下に肥大したアメリカのスリム化、反植民地的なアメリカが形成されることを目指しています。アメリカが世界の中の「ならず者による国」のように、アメリカが世界の他の国々に比べて良心のかけらもないほどに高い生活基準を享受してしまっているように見られてしまっています。ですから反植民地主義というのは、人種差別の克服だけではなくグローバルな回復の過程に必要なものであると思います。グローバルな不正が生じていることからの回復です。オバマ政権の目標は米国をスリム化することにあります。
オバマ米大統領はアメリカの世界における影響力を縮小しようとしており、よりグローバルな正義に合わせていこうとしています。また富裕層の財産を貧困層へ再配分して行くことを目指しています。私達はアメリカ国内の富裕層と貧困層のことだけを考えているわけではありません。私達は富裕国が得られる歳入の再配分についても考えています。つまり富裕国からメキシコやブラジル、コロンビアなどの貧困国へ資産を再配分していくということです。
このことに関してオバマ米大統領が話している99パーセントについて私達が誤解しがちになっているのではないかと思います。つまりオバマ米大統領は米国民の事だけを考えているのではなく、世界規模の政策を提言しているのです。グローバル・スタンダードに標準を合わせることによって、米国内の中産階級および低所得層がより豊かになって行くことが出来る政策であることを伝えていくことが大切だと思っています。
米CP:それは映画の中でどのように表されていますか?
ドゥソウザ氏:映画の中で解説されています。映画を通して改めてオバマ米大統領を再発見する旅をすることができるように作られています。映画を通して、オバマ米大統領自身が自らについて再発見する過程や、オバマ米大統領の両親、関連する人物、オバマ米大統領の青年時代・子ども時代を知る人々をも追っています。
オバマ米大統領の信念がどのように形作られたのか、またそれに対立するものを追い、まるでジグソーパズルを完成させていくような比較をしてオバマ大統領の軌跡を追っていきます。拙著が出版された2010年とは異なり、現在はあと4年の任期すべてを任せる大統領の資質を問う時期にあります。今この時期にオバマ米大統領が将来行おうとしていることが信頼できるものであるかどうかこれまでの4年を振り返り改めてオバマ米大統領の道のりについて再考する時期にあると思います。
米CP:先行上映を通して、映画観賞者からはどのような反応があったのでしょうか?
ドゥソウザ氏:この映画は力強く、エネルギーに満ちていて、騒乱や残忍な場面もある天啓のような映画です。映画館から出て来た方々が涙を流して出て来られる姿を見ました。また映画を観終わった後、私を抱きしめようとされた方もいらっしゃいました。とても力強い映画の内容に大きく感動を受けた様子が伝わりました。まだ一部の映画館でしか先行上映していませんが、10日にはより多くの映画館で上映する予定です。
米CP:この映画を通して次期米大統領選の結果に潜在的な差異を作り出すことになるのでしょうか。
ドゥソウザ氏:そうですね。この映画はアメリカの未来について議論を投げかける目的で制作されました。この映画の中では選挙については触れていません。映画では人々に選挙で誰に投票してほしいということは伝えていません。映画の中ではアメリカンドリームとオバマ米大統領のドリームについて語られています。その一部は私のドリームでもあり、移民たちのドリームでもあります。
映画の中ではマルティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師のドリーム、米国建国の父たちのドリームも含まれています。現在米国民の約半数がオバマ米大統領の再選に賛成していて、半数が反対している状況にあります。映画を通してオバマ米大統領の事実をありのままに伝えて行くことができたらと思っています。
米CP:この映画を観た後に映画を鑑賞した方々にどのような変化が生じて欲しいと思っておられますか?
ドゥソウザ氏:映画を鑑賞された方々の政治的スタンスがいかなる立場であれ、映画を観終わった頃には今まで考えたことのなかったようなオバマ大統領に関するさまざまな事柄について知るようになり、衝撃を受けると思います。どのような政治的スタンスの方も、一度映画を観ることによってオバマ大統領に対して新たな衝撃を受けることを信じています。
「オバマ大統領の2016」公式ホームページはこちら(英語)
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