Skip to main content
2025年10月22日20時40分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 教育

死と向き合う-キリスト教の視点から

2012年1月5日13時50分
  • ツイート
印刷
関連タグ:スピリチュアルケア
死と向き合う-キリスト教の視点から+
神戸アドベンチスト病院院長の山形謙二氏=2011年12月12日、大久保バプテスト教会(東京都新宿区)で

12月12日、13日の二日間にわたって東京バプテスト神学校冬期集中公開講座が大久保バプテスト教会(東京都新宿区)で行われた。夏期公開講座に引き続き、神戸アドベンチスト病院院長の山形謙二氏が招かれ、「苦難の意味Ⅱ-死の臨床:キリスト教の視点から」と題した一連の講義が行われた。ホスピス診療の現場に長年携わってきた山形氏は、講義を通して「現代における生と死」にいかに向き合っていくべきかを様々な側面から解説した。

フランスの歴史家フィリップ・アリエスの著書「死と歴史」において、20世紀に入り物質主義が浸透するにつれ、「死」から逃げる姿勢が見えてくるようになり、いつでもその辺にいて、ごくおなじみであった死が姿を消し、死が恥ずべきもの、「タブーの対象」となっていき、人はもはや家族の者達の中で死んでは行かず、病院で、しかも一人で死ぬようになったことが指摘されている。さらに「病院での死」は、死にゆく者が、親戚や友人の集まりの中で儀式を主催する機会とはなりえず、看護の停止により生じる、医師と看護スタッフの決定による技術上の現象と化してしまい、死の主導権が死にゆく本人から押しのけられ、医師と看護スタッフのものとなってしまったことも指摘されている。そのため、現代社会の人々は、ほとんどの場合、病院や施設で死を迎えることになるという現象が見られるようになっていった。

山形氏は日本におけるホスピスの医療界への問題提起として、「死の主人公」は医師と看護スタッフではなく、患者自身であり、「医者と患者の関係において、苦痛を効果的に和らげようとするなら、患者との(スピリチュアルな)関わりを避けることはできない」ことを指摘した。集中講義を通したホスピスケアの医療現場における医師と患者のより良い関わり方に関する洞察が、これから牧師、およびこれから牧師を目指す神学生にとっては、牧会における牧師と信徒の関わりにも参考になる豊富な示唆に富むものとなり、教会で死に直面した家族をケアしたり、信徒の精神的な病をいやし、カウンセリングを行う際に参考となる多様な側面が含まれた講義となった。

~心と心が通じあうカウンセリング~

山形氏はホスピスケア病棟において、死に直面する患者に医師が接する場合、心と心が通じあうカウンセリングの心得が必要であるとし、患者の尊厳を失わないような接し方をする必要があると指摘した。死に至る病に直面する患者の心に添えるように、医師の知識不足は許されない他、人間に対する興味、患者をケアすること自身の中に患者をケアする秘訣があると指摘した。

山形氏はホスピスケアの究極の目標は、「その人らしい生を全うできるように、みんなで援助すること」であり、その目標を達成するために、それを妨げる苦痛をできるだけ取り除いて行くことにあるとし、人間の苦痛には、身体的苦痛、精神的苦痛、社会的苦痛および人生の意味や生きがい、生きる希望等の喪失による実存的苦痛(スピリチュアル・ペイン)があることを説明した。

末期がん治療における身体的苦痛に関して、末期の呼吸苦および末期の全身倦怠感の苦痛の緩和はコントロールが困難であるという。また死を巡る現代の論争としては、末期の鎮静の倫理的判断根拠の問題があるという。末期のがん患者で、いかなる手段によってもコントロールできないような耐えがたい苦痛がある場合、麻酔をかけて眠らせる(鎮静)ことは医療倫理上許されることかどうかという問題もあり、日本は海外と比べ、末期の苦痛緩和に関する規制が厳しくなっており、医療用麻薬消費量も国際比較において日本が米国・カナダ・ドイツなど他先進諸国に比べ極端に少なくなっていることを紹介した。そのため、日本のがん治療は医療用麻薬に対する医療者の認識不足のため、身体的苦痛が多く、患者の苦痛への配慮が欠如されていること指摘し、モルヒネなど医療用麻薬消費に関する正しい理解と適切な使用が国内でも推進されていくことが必要であると述べた。なお、ホスピスにおいては、安楽死は認めず、あくまで苦痛の緩和の目的のための鎮静が行われている。

冬期集中公開講座開催前の祈りを捧げる受講生たち。2011年12月12日、大久保バプテスト教会(東京都新宿区)で。
冬期集中公開講座開催前の祈りをささげる受講生たち=2011年12月12日、大久保バプテスト教会(東京都新宿区)で

~身体的苦痛の緩和とスピリチュアルなケアの両方が必要~

またホスピスケアの現場において、身体的苦痛の緩和のみならず、精神的・スピリチュアルなケアも必要になってくるという。人間が死に直面する時、実存的不安が活性化され、スピリチャリティーと実存的問題が、苦難との関係において、医学と相交わるようになってくるという。

死に直面するにあたって、「なぜ自分だけに死に直面しなければならないのか」というような人生と神への怒り、「このようなつらいことが生じるのは当然の報いなのか」という精神的苦しみから、因果応報に代わる理由づけとして「神の罰」として死を捉えたり、だんだん弱く醜くなっていく自分を他者が受け入れてくれるのだろうかという自己卑下の意識が生じ、そのような自己と和解し、人に頼らなければならない自己の状態を受容できるかどうかという精神的問題が生じてくるという。

山形氏は、ホスピスケアの現場におけるスピリチュアル・ケアのチャレンジとして「医師が患者に全身全霊を捧げること、すなわち、十分な思いやりをもってその場に臨むことを実践すること」を挙げた。またスピリチュアルケアの基本はコミュニケーションにあるとし、医師と患者のより良い人間関係を構築していくために、非言語的コミュニケーションを大切にし、相手に時間を与え、傾聴的・理解的・全的サポートを示す態度で接し、患者の固有性を尊重し、誠実な対応を心掛けることが大切であると指摘した。

笑顔での挨拶、明るい表情・振る舞い、共感を示すあいづちなど、非言語的コミュニケーションを良くすることによって、患者に安心感と慰めを与えることができるという。患者主導の関係を構築し、医師が語ることより聞くこと、することより居ること、患者が自分の気持ちを率直に表現し、質問できる様な雰囲気を心がけ、患者の話を理解していることを示し、医師が患者の病気に一緒になって最後まで見捨てることなくベストを尽くす全的サポートの姿勢を示すことが重要であると指摘した。患者の名前を使って呼ぶこと、患者固有の人生に興味をもつことによって、患者の固有性を尊重し、患者に対して真実を尽くすことで信頼関係を構築していくことも効果的であるという。

ホスピスでのスピリチュアルケアの課題としては、孤独をいやすことで愛と和解を与え、絶望をいやすことで生きる希望を与え、虚無感をいやすことで人生の意味と目的を与え、新しい価値観へと患者を目覚めさせることが挙げられるという。そのようにして末期がん患者の「心のいやし」が与えられることがホスピスケアにおいてより重要な意味を成してくるという。

哲学者キルケゴールは「死に至る病とは絶望である」という名言を遺している。山形氏はスピリチュアルケアの課題のひとつとして、患者の絶望からのいやしを与え、生きる希望を支えるケアとして、「小さな目標を立てて、その実現に向かって歩むことが生きがいになり、希望になっていく」と指摘した。

末期がんの患者が陥る三つの実存的不安として「死の不安」、「罪の不安」、「無意味さの不安」があるという。苦難と不安定な状況の最中にあって、意味を見出すことは重要であり、一般的にスピリチュアル的信仰、特に宗教がこの意味と目的を見出す助けとなるといわれているという。

病気が人生を完全に崩壊させ得るような状況下にあって、ある人々は、心配事や状況を、より高い権威や神に委ねることによって、コントロールしているという意識を持ちうるという。同様に、自分の病気を受け入れ、自分の置かれた状況に対処するために、信仰を助けにすることが大切になってくるという。

続きはこちら-自己中心の世界から神中心の世界へ

関連タグ:スピリチュアルケア
  • ツイート

関連記事

  • 苦難の意味~キリスト教の視点から

  • 苦難の意味~キリスト教の視点から(2)

  • 「いかに人生を終えるか?」グラハム氏が人生を指南

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 日本聖公会首座主教・主教会が「京都事件」の書簡発表 元牧師が性加害、教区が2次加害

  • 聖公会保守派、「グローバル・アングリカン・コミュニオン」設立を宣言 決定的な分裂に

  • やなせたかしさんの妻・小松暢さんはクリスチャン、朝ドラ「あんぱん」きっかけに判明

  • 現代における「御言葉の飢饉」 法規制や不足で1億人のキリスト教徒が聖書入手できず

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(14)抗黙示思想と現代 臼田宣弘

  • トルコ、5年余りで外国人キリスト教徒200人以上を国外追放 「国家安全保障」理由に

  • 冷めた心に注意しよう! 万代栄嗣

  • ワールドミッションレポート(10月22日):ザンビア 信仰と知識のバランス

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(233)宣教は主の備えから始まる 広田信也

  • 栄光への脱出の道 穂森幸一

  • やなせたかしさんの妻・小松暢さんはクリスチャン、朝ドラ「あんぱん」きっかけに判明

  • 聖公会保守派、「グローバル・アングリカン・コミュニオン」設立を宣言 決定的な分裂に

  • 中国当局、政府非公認教会の著名牧師ら約30人を拘束 米国務長官が非難声明

  • 冷めた心に注意しよう! 万代栄嗣

  • 現代における「御言葉の飢饉」 法規制や不足で1億人のキリスト教徒が聖書入手できず

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(233)宣教は主の備えから始まる 広田信也

  • 【インタビュー】ブトロス・マンスール世界福音同盟新総主事 「平和をつくる者、それが私の使命」

  • ヨハネの黙示録(8)テアテラ教会の御使いへ 岡田昌弘

  • 日本聖公会首座主教・主教会が「京都事件」の書簡発表 元牧師が性加害、教区が2次加害

  • 「アジア太平洋伝道会議」2027年に開催決定 50カ国・地域から2500人が参加へ

  • やなせたかしさんの妻・小松暢さんはクリスチャン、朝ドラ「あんぱん」きっかけに判明

  • チャーリー・カーク氏の妻、殺害者を赦す 「キリストはそうしたし、夫もそうする」

  • 「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション

  • 米メガチャーチ牧師、当時12歳の少女に性的虐待 罪認め6カ月収監へ

  • 「ジーザス・ムーブメント」指導者チャック・スミス氏のディボーションブック邦訳出版

  • 日本キリスト教病院協会第5回総会 人材確保や人材育成などを討議

  • 「ザ・チョーズン」がギネス記録、イエス・キリストの生涯描いた長編連続ドラマ

  • 英国国教会トップのカンタベリー大主教に初の女性、ムラリー主教の任命を国王が承認

  • イラク人難民のキリスト教徒、フランスでライブ配信中に殺害される

  • 中国東部で教会活動に対する大規模取り締まり、キリスト教徒70人以上拘束

編集部のおすすめ

  • 「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション

  • 教団・教派超えて神の平和求める 戦後80年で「日本国際朝餐祈祷会」初開催

  • イエスの統治を祝う祭典「ジーザス・レインズ」が10周年 ラップ賛美など新しい試みも

  • 「聖書を読まなかったら、今の自分はない」 元ヤクザの進藤龍也氏と山崎純二氏が対談

  • 「20世紀のフランシスコ・ザビエル」 聖心女子大学で岩下壮一神父の特別展

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.