東日本大震災の被災者とアフリカで飢餓に苦しむ人々を支援しようと、「ハンガー・ゼロ・チャリティーコンサート」(同実行委員会主催)が5月27日、東京都の練馬文化センターで行われた。世界的に活躍する4本指の韓国人ピアニスト、イ・ヒアさんが出演し、4本指とは思えない力強く繊細なタッチでベートーベンやショパンなどの名曲を次々と演奏した。最後に、被災地復興への願いを込めて「上を向いて歩こう」を元気な笑顔で歌い上げると、会場は大きな拍手と温かい雰囲気に包まれた。
先天性の障害により、イ・ヒアさんの両手の指は2本ずつしかなく、ひざから下の足もない。将来を案じた母親からの強いすすめで5歳からピアノを始め、7歳で学生音楽コンクールの最優秀賞を受賞。1993年に全国障害者芸術大会で最優秀賞、99年には障害克服大統領賞を受賞し、韓国のみならず世界のメディアが絶賛した。苦しむ人々に愛と希望を伝えたいと、現在も国内外で演奏活動を続けている。
演奏の合間も、終始笑顔が絶えなかった。イ・ヒアさんがユーモアたっぷりに次の曲を紹介するたびに、聴衆にも笑顔が広がった。5年6カ月の間、1日10時間以上かけて練習したというショパンの「即興幻想曲」を見事に演奏し終えると、会場から大きな拍手がわいた。
コンサートでは、全国の少年院や刑務所などで慰問コンサートを行っている歌手の上原令子さんのほか、女優の照屋京子さん、ゴスペル歌手の横山大輔さん、西アフリカギニアの伝統音楽とダンスを伝える音楽グループ「グループdeラウラウ」が出演した。
上原さんは、震災直後の南三陸町で被災者を前に歌った「まるでうそのように」を披露。形あるものは必ずいつか消えてしまうが、目に見えない愛は永遠に続くという希望のメッセージを歌った曲だ。阪神淡路大震災でも被災者を前に同じ曲を歌ったという。エチオピア訪問での体験から生まれた「ほんの少しのやさしさ」も披露し、当たり前のように受けている愛を感謝するときに、日常が幸せに変わるとメッセージを送った。照屋さんは飢餓に苦しむ母親役を一人芝居で演じ、アフリカを襲う飢餓問題の深刻さと支援の重要性を迫真の演技で伝えた。
コンサートは5月20日の大阪を皮切りに、愛知、広島、沖縄、東京の5会場で開かれ、約2000人が来場した。当初は、「ハンガー・ゼロ・アフリカ」を合言葉にアフリカの飢餓問題に取り組む一般財団法人日本国際飢餓対策機構の働きを知ってもらおうと企画していた。だが、東日本大震災で状況が一変。同機構も震災直後から被災地にスタッフを派遣し、復興支援に当たってきた。海外からの支援の輪は、同機構がかつて支援した地域にも広がっていった。
同機構の岩橋竜介理事長は、震災を受けて、支援国の日本が逆に海外から支援を受ける立場に立たされたことで「多くのことを学ばせていただき、多くの愛をいただいた」とあいさつし、被災地への継続した支援の必要性を強調した。その上で、餓えのために明日生きるかどうかもわからないアフリカに住む人々の深刻な飢餓状況を伝え、「一人をまず一人が助けることができる。その涙が、喜びの笑顔に変わることを確信しています」とアフリカの飢餓撲滅を訴えた。
同機構では、「ハンガー・ゼロ・アフリカ」のサポーターを募集している。毎月1口1000円から参加可能。問い合わせは、同機構(072・920・2225)まで。東日本大震災の緊急支援募金は、郵便振替(口座番号00170・9・68590、加入者名「日本国際飢餓対策機構」、記入欄に「東北地震」と明記)で受け付けている。
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