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ささきみつおの「ドント・ウォリー!」(2)

2007年2月12日14時16分
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 『どんなことにもくよくよするな!』(イーグレープ出版)の著者、佐々木満男弁護士のコラムです。ラジオ大阪で現在放送中の人気番組「ささきみつおのドント・ウォリー!」(放送時間:毎週日曜日朝9:30〜、インターネットhttp://vip-hour.jp/で24時間無料配信中)でこれまでに放送された内容を振り返ります。「ミスター・ドント・ウォリー」こと佐々木弁護士が、ユニークな視点から人生のさまざまな問題解決のヒントを語ります。今日はその第2回目です。


                                     ◇
「すなおに謝る」


 何か間違いをしてしまった時に、あなたはすなおに「ごめんなさい」と謝ることができますか。それとも、いろいろな理屈をつけてできるだけ謝らないで済ませようとしますか。


 多くの人間関係のトラブルは、すなおに謝らないことから生じます。自分のメンツにこだわったり、謝ったからかえって損をするんじゃないかと恐れたりすると、自分が間違ってもなかなか謝れません。


 ある時、仕事でニューヨークへ行きました。日曜日は仕事がなかったので、泊まっていたホテルのプールサイドで日光浴をしながら、皆が泳いでいるのを眺めていました。一人の男性がゆっくりと泳いでいました。老婦人が猛スピードのクロールで追いついてきました。ああ、あぶないなぁと思っていたら、二人はドンとぶつかりました。二人とも同時にゴールについてプールサイドに上がってきました。


 見ると、男性の背中から血がたくさん流れています。「お客さん、背中から血が出ていますよ」とプールの係員に呼びかけられてはじめて、その男性は背中に大きなひっかき傷があることに気がつきました。すかさず隣にいた老婦人が叫びました。「これは正当防衛です。私が泳いでいたらその人が近づいてきたので、身を守るために押しのけたのです!」


 見ていた私も驚いてしまいました。だって、明らかに女性の方が悪いのです。被害者なのに悪者にされた男性は、かんかんに怒って、大声で言い争いになりました。背中からどんどん血が流れているのに、夢中で口論している光景は異様でした。プールにいた全員が唖然として見守っています。


 しばらくして、係員が連れてきた医師に説得されて男性は医務室に向いました。紛争のその後の結果はどうなったんでしょうね。お互いに弁護士を雇って裁判になったんじゃないでしょうか。


 アメリカでは、道路でころんでケガをしただけで政府が訴えられるそうです。人権の擁護と社会正義の実現のために法律は必要です。これは弁護士の使命です。でも、法律だけを杓子定規に振りかざしていくと、不安と恐れが生じて、かえって無用な争いを引き起こすことにもなるんですね。賠償請求を恐れて、うそをついてまで自分を守ろうとするからです。法律を適用する前提として、市民一人ひとりに隣人を愛する心がなければならないと思います。


 あのプールの事件で、男性を引っかいてしまってかわいそうなことをしたと思えば、老婦人は「すいません、つい夢中になって泳いでいたので気がつきませんでした。ごめんなさい」と言えたのではないでしょうか。そうすれば男性の被害者も、「ああ、いいですよ。どうか気にしないでください。医務室に行って薬をつけてもらえば、すぐに治ると思いますよ」と言って、トラブルにならずに終わったことでしょう。


 私もよく失敗します。でも失敗したらすぐに謝るようにしています。最近も、仕事が遅れて、相手の担当者の方からガンガンおこられてしまいました。いろいろ言いわけする理由はあったのですが、まず「仕事が遅れていることをお詫びします。これから急いでやります」と謝りました。相手の方はそれでもまだ気がおさまらず、「なぜ、こんなに遅いんだ。理由を説明しろ」と要求してきました。こちらも言い分がありましたので、「遅れた理由は、これこれです」と冷静に説明しました。そうしたら、誤解がとけて納得してくれたんですね。


 でも、はじめに謝らないで、「これこれの理由があるので、遅れているわけではありません」なんて言ったら、相手の方は気がおさまらないと思います。ますます怒ってケンカになってしまったと思います。失敗したら、すなおに謝ることですね。相手の方は、自分の怒りを静めて欲しいのです。言い訳は後ですればいいんです。そうすれば相手の人に納得してもらえるのです。


 相手が怒っている時は、こちらが全然悪くなくても、「すいませんでした。ごめんなさい」と謝ったらいいですよ。


 例えば、こんなことがありました。友人と2時に会おうということで、待ち合わせの時間に間に合うように、2時5分前に待ち合わせ場所に到着しました。すでに先にきていた友人はかんかんに怒っています。「1時の待ち合わせに、1時間も遅れて来るなんてどうなってんの」と怒鳴られてしまいました。私は、「おかしいな、確か待ち合わせ時間は2時のはずだったのに」と思いましたが、とにかく、「いやー、そんなにお待たせしてしまって、どうもすいません」と謝りました。「でも、なんでこんなに遅れたの、電話で遅れるって言ってくれればいいじゃないか」と言われたので、「いや、ごめん、ごめん。待ち合わせ時間を2時だと思ってたんだ」と説明しました。「そんなばかな、1時に決まっているじゃないか」。


 友人は私とのケータイメールをチェックしました。待ち合わせ時間は2時になっています。それを見た友人は、「いやー、ごめん、ごめん、わたしの方が思いちがいをして1時間早く来てしまったんだ」としきりに悪がっていました。そのお詫びとして、彼はその晩、一流のレストランで私に食事をおごってくれたのです。


 すなおに謝った方が得ですね。


                                     ◇


佐々木満男(ささき・みつお):国際弁護士。宇宙開発、M&A、特許紛争、独禁法事件などなどさまざまな国際的ビジネスにかかわる法律問題に取り組む。また、顧問会社・顧問団体の役員を兼任する。東京大学法学部卒、モナシュ大学法科大学院卒、法学修士(LL.M)。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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