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工藤公敏牧師「北アルプスのふところから神の懐へ」(15)・・・網走新聞「網走人脈」

2009年8月25日11時36分
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工藤公敏牧師+
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 もう一つ『樹氷林』の特別寄稿、「私の信条」を紹介したい。



 常時喜悦、不断祈祷、万事感謝、この聖書の言葉を私の信条としています。ある牧師の妻が倒れ、四人の子供が次々と天国に帰った中で、この牧師の愛唱句は、この聖句であったと言われます。私は十六年間、毎週礼拝を守り、一週間の出発をいたしました。毎朝五時か六時に祈ることと聖書を読むことにつとめて来ました。朝の神との会話が、一日中喜びと、感謝で過ごせる原動力となっています。一日の苦労は、その日一日で十分であるとキリストは言われますが、その通りです。私が喜び感謝する理由は、自分のことしか考える余裕のなかった罪深いものを、十字架の身代わりを信じることによって赦して戴いたことです。兄が脳膜炎でした。この兄を憎み、兄が死んでくれたらと願いました。父は私が家の後継ぎをしないことを知って自殺をしました。泣き上戸と言われる程、酒を飲みましたが、こんな者に望みを与えて下さったキリストに感謝します。(一九七三年八月発行)(網走刑務所機関誌『樹氷林』)



◇



 地方新聞の『網走新聞』の「網走人脈」に、私が取り上げられている。「取り戻したい豊の心」と言う見出しで、次のように述べている。



 昨年(昭和四十八年)伝道のため台湾に出掛け、アミ族集落で、一カ月間、生活を共にして来た。部族の生活水準は、丁度敗戦直後、昭和二十二、三年頃の、あの混乱期の日本人のそれと同じ程度だったが、手作りの立派な教会堂があり、物質文明に毒されない心がそこにあった。「貧しくてもいい。精神的な豊かさが取り戻されるなら」とつくづく感じた。「うらやましかった」と言う。



 高校生が大ぴらに喫煙し、飲酒し、果ては不純交際に堕ち、悩んで空しさを感じて教会に救いを求めて来るケースが多い。日本人の心の荒廃の縮図がそこにある。このままでは末恐ろしい。



 宗教以前の「本質的な人間性の問題としてとらえなければならないのではないか」と言う。キリスト兄弟団網走教会の牧師であるこの人、長野県の大町市で昭和十二年に生まれている。松本工業高校を卒業して、名古屋の三菱重工(当時は新三菱重工)の冷凍機研究課に就職した。就職する直前、精薄という不幸を背負った兄の障害が、父の自殺でのしかかってきた。この人、苦しみを酒に逃避した。一升酒を浴び、泥酔した。泣き上戸で周囲に迷惑をかけたと述懐している。荒廃した生活を見かねた友人が、教会に誘ってくれた。それまで聖書を読んだことも無かったこの人、「質素な生活に甘んじ、人のために生きている崇高な人達の姿を見て、心が洗われ、翻然とした」のである。冷凍機研究課に勤めて四年を経ていた。もう少しで技師になれる、その一歩手前で、周囲の引止めを振り切って茨城県にあるキリスト兄弟団聖書学院に入学したのである。昭和三十八年卒業、学院直属の職員、教会の副牧師を一年やってから鹿児島教会に転出した。信徒二人、昼夜の別の無い伝道だったという。初見牧師の聖書学院長転出の後任として、網走教会に赴任して来たのは九年前昭和四〇年である。「独身では困る」と言うので東京で急きょ見合いをし「結婚式を挙げて赴任した」。



 網走刑務所のある暗い街と未知の網走をイメージしていたが、赴任して先入観の誤りであることを知った。出来たら網走で骨を埋めたいと言う。



 女満別湖畔に一反歩の土地を入手、四十六年からキャンプ伝道を始めた。今年は道内からの参加者もあり十九名が洗礼を受けた。この伝道の輪をもっと大きく広げて行きたい、と意欲を語る。青少年の流出は、「魅力ある職場がないから。大学があれば変わって来る。研究学園都市の誘致を成功させたい」と言う。



◇



 工藤公敏(くどう・きみとし):1937年、長野県大町市平野口に生まれる。キリスト兄弟団聖書学院、ルサー・ライス大学院日本校卒業。キリスト兄弟団聖書学院元院長。現在、キリスト兄弟団目黒教会牧師、再臨待望同志会会長、目黒区保護司。

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