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ワールドミッションレポート

ワールドミッションレポート(1月18日):ロシア 閉ざされた養子縁組の扉、開かれた教会の門

2026年1月18日17時38分 執筆者 : 石野博
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関連タグ:ロシア

広大な国土を持つロシア。長引く戦争と国際的な孤立は、社会の最も弱い立場にある人々に深刻な影を落としている。特に、そのしわ寄せを最も受けているのが「孤児たち」だ。

2012年末、プーチン大統領が署名し、翌13年に施行された「ディマ・ヤコブレフ法」により、米国市民によるロシアの子どもの養子縁組が全面的に禁止された。これは米国の対露制裁(マグニツキー法)への報復措置であったが、結果として多くの孤児たちが「出口のない部屋」に閉じ込められることとなった。

ロシアの孤児院システムにおいて、最も危険な時期は「卒業(Aging out)」の瞬間だ。毎年約1万5千人の子どもたちが、16〜17歳という若さで施設を出なければならない。ところが養子縁組の進まない今、彼らには帰る家もなければ、社会で生き抜くスキルもない。

統計データはあまりにも残酷だ。施設を卒業した子どもたちのうち、大学に入学できるのはわずか4%に過ぎない。半数の50%が「高リスクカテゴリ」に分類され、驚くべきことに40%が犯罪者となり、また多くが薬物中毒や売春に巻き込まれるか、自ら命を絶ってしまう。従来のケアから卒業し、成人期への移行に成功できるのは、わずか10%に留まるという報告もある。彼らは「自由」になるのではなく、十分に生きる術を持たぬまま、社会の荒波の中に「放り出される」のである。

「法的な養子縁組が閉ざされた今、誰が彼らの家族になるのか?」この地域で養子縁組される孤児はわずか15%に過ぎない。この問いに対し、残りの85%のために立ち上がっているのが、スラブ福音協会(SGA)をはじめとする現地のキリスト教会だ。「もし法的に家族になれないとしても、霊的な家族になることはできる」。SGAは現在、ロシアを含む周辺7カ国、285以上の孤児院で地元教会と協力し、活動を展開している。

多くの教会が、施設を訪問し、子どもたちとの「メンターシップ(個人的な指導・交わり)」の関係を築き始めている。それは単に食料や衣服を提供することではない。定期的に会い、話を聞き、料理や家計管理といった生活スキルを教え、そして何よりも「あなたは一人ではない」というメッセージを伝え続ける、全人格的な家族としての関係構築に他ならない。

ある教会ボランティアの女性は語る。「彼らが求めているのは、新しいおもちゃではありません。『あなたのことを見ているよ、大切に思っているよ』と言ってくれる、信頼できる大人なのです」

施設で育ち、愛着障害やトラウマを抱える子どもたちにとって、毎週変わらずに訪ねて来てくれるキリスト者の存在は、唯一の命綱となる。そこで語られる「父なる神の愛」は、親に捨てられた彼らのアイデンティティーを根底から癒やす力を持っているのだ。

政治や法律が壁を作るとき、福音はその壁を越えていく。今、ロシアの教会は、孤児たちにとっての「避難所」であり「新しい家族」としての役割を担っている。

施設を卒業し、不安の中に放り出される若者たちが、悪い誘惑から守られ、教会というコミュニティーにつながることができるように祈ろう。メンターとして関わる信徒たちに、忍耐と知恵、そしてキリストの愛が豊かに注がれるように。閉ざされた国の中で、孤児たちが「地上の親」以上の存在である「天の父」に出会い、彼らの魂に、キリストにある新しい命が注がれるように祈っていただきたい。

■ ロシアの宗教人口
ロシア正教 64・0%
プロテスタント 2・1%
カトリック 0・6%
イスラム 12・5%

◇

石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。

※ この記事は、石野博牧師の「ワールドミッションレポート」を、若干の編集を加えた上で転載したものです。
関連タグ:ロシア
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