インドネシアは、世界最大のイスラム教徒人口を擁する国だ。人口の約8割がイスラム教徒とされているが、福音派プロテスタントの存在感が年ごとに強くなっている。憲法により、信教の自由が保障されており、宗教間の相互尊重が国民性として根付いている。また、地域によって宗教分布に偏りがあるのが特徴だ。例えば、バリ島ではヒンズーが多数派を占めている。
あるミニストリーは信者に、未伝道の民族に福音を伝えるための訓練を行っている。これは単なる知識の伝達ではなく、具体的な実践に導く働きであり、参加者たちは日常生活の中で、どのようにキリストを証ししていくかを学んでいる。
この働きは、イスラム教徒が多数を占める地域で行われており、福音を語ることが大きなリスクを伴う中で行われている。改宗に対する社会的圧力や迫害の可能性もあるのだ。
弟子訓練に参加したマルシンタとヴェナは(登場する人物の名前は仮名となる)、このプログラムを通じて、自分たちの人生に対する神の目的を新たに認識した。イエス・キリストを信じる者として、単に信仰を守るだけでなく、他の人々に救いのメッセージを届けるようにとの神の召しを強く感じたのである。
訓練後、2人は自分たちの村に帰り、現地のミニストリーリーダーたちと共に行動を開始した。ある日、公園の片隅で、一人でベンチに座っている男性に出会ったときのことだ。リーダーたちはその男性に自然に話しかけ、やがてマルシンタとヴェナにも、イエスについて語るよう促した。
マルシンタはその時のことを、次のように振り返る。「その男性は、私たちの話に、静かに耳を傾けてくれました。私たちは彼に福音のメッセージを語り、一緒に祈りの時を持ちました。すると彼は、自らの意思でイエス・キリストを自分の主としてはっきりと告白したのです」
この出会いは、マルシンタとヴェナにとっても忘れられない体験となった。イエスが語った「全世界に出て行き、すべての造られた者に、福音を宣べ伝えなさい」(マルコ16:15)という命令に従ったとき、実際に一人の魂が救われたのである。その喜びと感動は何ものにも代えがたいものである。
ヴェナは次のように語る。「今回の訓練で、自分の信仰を他の人と分かち合うことの大切さと喜びを学びました。これからも、自分たちの村だけでなく、他の地域にも出て行って、より多くの人にこの素晴らしい福音を伝えていきたいと思っています」
彼女たちのような信者の献身と勇気によって、インドネシアの各地では、神の国が前進しているのだ。インドネシアの福音化のために祈っていただきたい。
■ インドネシアの宗教人口
イスラム 80・3%
プロテスタント 10・8%
カトリック 3・1%
儒教 0・9%
仏教 0・4%
ヒンズー教 1・3%
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