ロシア南部ダゲスタン共和国で23日、武装集団がロシア正教会の教会やユダヤ教のシナゴーグ(礼拝所)、警察施設を相次いで襲うテロ事件が発生した。これまでの報道によると、少なくともロシア正教会の司祭1人と複数の警察官を含む15人が死亡、25人が負傷した。
事件は、日曜日の23日夕方、ダゲスタン共和国の首都マハチカラと南部の都市デルベントで発生。この日は、ロシア正教会など、ユリウス暦を採用する東方教会にとっては、キリスト教三大祭の一つのペンテコステ(聖霊降臨祭)だった。
AFP通信(英語)によると、襲撃されたのは、ロシア正教会の教会2軒、シナゴーグ1軒、警察の検問所1軒。
米ワシントン・ポスト紙(英語)によると、このうち、デルベントにあるロシア正教会の生神女庇護聖堂では、ニコライ・コテルニコフ司祭(66)が殺害された。コテルニコフ司祭はデルベントで40年以上奉仕していたという。
ダゲスタン共和国公共監視委員会のシャミル・ハドゥラエフ委員長は、メッセージアプリ「テレグラム」(ロシア語)で、コテルニコフ司祭は重い病気を患っており、喉を切られて殺害されたと伝えた。
ロイター通信(英語)によると、これまでに武装集団のうち5、6人が殺害された。また、ロシア国営のタス通信が警察当局の話として伝えたところによると、武装集団のメンバーには、ダゲスタン共和国中部セルゴカラ地区の地区長の息子2人が含まれており、警察当局は地区長を拘束した。
事件を巡る犯行声明はこれまでのところ出ていない。
カスピ海沿岸に位置するロシア最南端のダゲスタン共和国は、人口約320万人のうち9割をイスラム教徒が占める。1990年代以降に独立紛争が勃発したロシアのチェチェン共和国に隣接しており、かつてはイスラム過激派によるテロ事件が頻発していた。しかし近年は、ロシアの治安部隊が掃討作戦を行ったことで、こうした事件は目立たなくなっていた。
一方、ロシアでは3月、首都モスクワ郊外のコンサートホールが襲撃され、145人が死亡するテロ事件が発生したばかり。この事件では、過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行声明を出している。