Skip to main content
2025年10月14日20時15分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム

神の国のパラドックス 安食弘幸

2023年3月15日10時44分 コラムニスト : 安食弘幸
  • ツイート
印刷
関連タグ:安食弘幸
神の国のパラドックス 安食弘幸+

「与えなさい。そうすれば、あなたがたも与えられます」(ルカ6:38)

あるユダヤ人の男の話です。彼の兄が重い病気に倒れたので、早く回復できるようにユダヤ教のラビの所へ行って祈ってもらいました。お礼を言って帰ろうとしたとき、ラビが彼に驚くような言葉をくれました。

「どうか、もっと悩みがありますように」。兄の病気のことで非常に悩んでいるのに、もっと悩めとは何事かと思いながら「どうしてそんなことを言うのですか」と聞くと、ラビの返事は含蓄に富んだものでした。

ラビいわく、「一つの悩みだけに心を奪われると問題をますます深刻化させ、かえって身を滅ぼします。だから多くの悩みを抱えている方が気分が分散していいからだ」

それを聞いてこの男、兄のことばかりを心配していてろくろく仕事に手がつかなかったのが、肩の荷が下りて精神的にとても楽になったといいます。

これは逆説めいた話ですが、ユダヤ人が悩みをどのように考え、どのように対処しているかをよく教えてくれる話です。

イエス・キリストも真理を教えるのにしばしば逆説的な表現で語られました。例えば「貧しい人たちは幸いです。神の国はあなたがたのものだからです」(ルカ6:20)。「貧しい者」と訳されている言葉は、厳密には ”物乞いをする人” という言葉です。「幸いです」と訳されている言葉は、本来は「何と幸いなことでしょう」という感嘆の言葉です。

しかしどうして「貧しい者が幸い」なのでしょうか。旧約聖書の中には「貧しいから幸いである」という考え方は出てきません。むしろ逆に、豊かさこそ神の祝福の結果であるといわれています。

ダビデは言います。「若かったころも年老いた今も、私は見たことがない。正しい人が見捨てられることを。その子孫が食べ物を乞うことを」(詩37:25)。ですから、イエス・キリストが「貧しい者は幸いです」と言われたとき、当時の人々には理解できない教えだったのです。

もちろんこれは、貧しければ大金持ちの人のように、お金をどこに預けようかとか、税金はどうするかとか、相続はどうするかなどと思い煩わなくて済むから気楽でいい、だから貧しい者は幸いだという話ではありません。

イエス・キリストがここで「貧しい者は幸いである」と言われたのは、「神のためにあえて貧しく生きる道を選んだ者は幸いである」という意味なのです。

では、イエス・キリストのために貧しくなった人はなぜ「幸い」なのでしょうか。イエスはその理由として「神の国はあなたがたのものだから」と言われます。それは ”イエスのために貧しくなった人は、天国へ行ってから満ち足りて笑うようになるから幸いである” という意味ではありません。

「神の国はあなたがたのものだから」というのは、未来形ではなく現在形です。つまり「今、ここで神の国はあなたがたのものである」とイエスは言われるのです。

「神の国」とは、神がお造りになった全てのものや、私たちの人生に起こる全ての出来事に対して神の絶対的な支配があるということです。イエス・キリストのために喜んで犠牲を払えば払うほど、神の支配や神の祝福が豊かに及ぶということです。

だから「貧しい者は幸い」なのです。従って次の言葉も同じことを教えているのです。

「人々があなたがたを憎むとき、人の子のゆえに排除し(ユダヤ教の会堂から)、ののしり、あなたがたの名を悪しざまにけなすとき、あなたがたは幸いです。その日には躍り上がって喜びなさい。見なさい。天においてあなたがたの報いは大きいのですから」(ルカ6:22、23)

「喜びなさい」は命令形です。「躍り上がって」これは、子牛や羊が飛び跳ねるというときに使われる言葉です。

なぜそんな喜び方をするのか。「天においてあなたがたの報いは大きいから」。「天」とは「天国」ではなく「神」においてという意味です。「報い」とは「報酬、賃金」という意味です。

ある人々が誤解なさっているように、キリスト教は何の報いも当てにせず、何の利益も求めずに黙々と良い行いに励むことを教えているのではなく、神からの豊かな報い、ご褒美を頂けることを期待して励むことを教えているのです。

では、その「報い」は、いつ、どこで頂けるのでしょうか。この点について、イエスはハッキリ言われました。

「まことに、あなたがたに言います。だれでも、神の国のために、家、妻、兄弟、両親、子どもを捨てた者は、必ずこの世で、その何倍も受け、来たるべき世で、永遠のいのちを受けます」(ルカ18:29、30)

「捨てる」とは、優先順位を教える言葉です。

今から200年ほど前のことです。ドイツのデュッセルドルフの美術館で、一人の青年貴族が一枚のキリストの絵の前に来ると、じーっと眺めながら動かなくなりました。そのキリストが十字架につけられた絵には、ラテン語で一つの言葉が書かれていました。

「私はあなたのためにこのようにした。あなたはわたしのために何ができるか」。彼はこの言葉を何度も心の中で繰り返していると、自然に涙があふれてきました。

やがて、閉館時間になったことを係の人が告げに来ました。彼はこの日、この絵の前でキリストのために全てをささげる決心をしました。そして、権力や富や名声が渦巻く上流階級を離れて、キリストの弟子としての道を歩み始めました。

この青年の名はツィンツェンドルフ伯爵です。彼は、後にボヘミアで迫害されてザクセンに逃れてきたクリスチャンのグループ「モラビア兄弟団」を、自分の領地のヘルンフートに住まわせて保護しました。

モラビア兄弟団は多くの宣教師を派遣する非常に熱心なグループです。後に英国の大きなリバイバルで用いられたジョン・ウェスレーを回心に導いたのも彼らでした。

そして、ジョン・ウェスレーが英国で始めた神の大きな働きは、欧州中に広がり、北欧にも及びました。ノルウェー、フィンランド、スウェーデン、その中で海外宣教の熱い思いを与えられた若者たちが、この日本にもやってきました。

一人の人がキリストのために貧しくなるとき、神はそれを受け入れ、大きな働きに広げてくださり、その人に「この世」でも「来たるべき世」でも豊かな報いを与えてくださるのです。

◇

安食弘幸

安食弘幸

(あんじき・ひろゆき)

峰町キリスト教会牧師。1951年、島根県出雲市に生まれる。関西学院大学社会学部卒。大学時代は硬式野球、関西六大学リーグのスラッガーとして活躍。関西聖書学院卒。セント・チャールズ大卒(哲学博士)。JTJ宣教神学校講師、国内外の教会や一般企業、ミッションスクール、病院、福祉施設などで講演活動を行っている。著書に『キリストを宣べ伝える―コリント人への手紙第二』『心の井戸を深く掘れ』『道徳力―モーセの十戒に学ぶ―』『ルツの選択、エステルの決断』など多数。

■ 峰町キリスト教会ホームページ
■ 峰町キリスト教会 YouTube
■ 峰町キリスト教会 Facebook

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:安食弘幸
  • ツイート

関連記事

  • ヤベツの信仰と祈り 安食弘幸

  • あなたの霊的健康診断 安食弘幸

  • チャンスの後ろ頭ははげている 安食弘幸

  • 天下無敵の人生 安食弘幸

  • 不思議をなさる神 安食弘幸

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • ビリー・グラハム伝道協会とサマリタンズ・パース、福音主義財務責任協議会を脱退

  • 「ザ・チョーズン」がギネス記録、イエス・キリストの生涯描いた長編連続ドラマ

  • グラミー賞受賞のクリスチャンソングライター、飛行機事故で死亡

  • 聖霊の働きを妨げるもの 万代栄嗣

  • 「ジーザス・ムーブメント」指導者チャック・スミス氏のディボーションブック邦訳出版

  • シリア語の世界(34)ウルファ(トルコ南東部)の洪水について(1) 川口一彦

  • 愛と赦し 佐々木満男

  • グラハム氏の伝道集会に1万4千人が参加、言語的分断超え620教会が協力 ベルギー

  • 加速する聖書翻訳、3日に1つのペースで新しい言語訳の聖書が誕生

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(248)聖書と考える「終末ツーリング」

  • グラミー賞受賞のクリスチャンソングライター、飛行機事故で死亡

  • ビリー・グラハム伝道協会とサマリタンズ・パース、福音主義財務責任協議会を脱退

  • 「ザ・チョーズン」がギネス記録、イエス・キリストの生涯描いた長編連続ドラマ

  • マルコの証言を通してイエスと出会う90分 「マルコドラマ」日本で初上演

  • 「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション

  • 愛と赦し 佐々木満男

  • 「ジーザス・ムーブメント」指導者チャック・スミス氏のディボーションブック邦訳出版

  • グラハム氏の伝道集会に1万4千人が参加、言語的分断超え620教会が協力 ベルギー

  • チャーリー・カーク氏の妻、殺害者を赦す 「キリストはそうしたし、夫もそうする」

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(14)哲学と聖書(前半) 三谷和司

  • チャーリー・カーク氏の妻、殺害者を赦す 「キリストはそうしたし、夫もそうする」

  • 米メガチャーチ牧師、当時12歳の少女に性的虐待 罪認め6カ月収監へ

  • 「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション

  • 日本キリスト教病院協会第5回総会 人材確保や人材育成などを討議

  • 英国国教会トップのカンタベリー大主教に初の女性、ムラリー主教の任命を国王が承認

  • 「ジーザス・ムーブメント」指導者チャック・スミス氏のディボーションブック邦訳出版

  • イラク人難民のキリスト教徒、フランスでライブ配信中に殺害される

  • 中国東部で教会活動に対する大規模取り締まり、キリスト教徒70人以上拘束

  • 「ザ・チョーズン」がギネス記録、イエス・キリストの生涯描いた長編連続ドラマ

  • 『奇跡の人生』 20世紀の英国を代表する新約聖書学者が遺した「信仰の置き土産」

編集部のおすすめ

  • 教団・教派超えて神の平和求める 戦後80年で「日本国際朝餐祈祷会」初開催

  • イエスの統治を祝う祭典「ジーザス・レインズ」が10周年 ラップ賛美など新しい試みも

  • 「聖書を読まなかったら、今の自分はない」 元ヤクザの進藤龍也氏と山崎純二氏が対談

  • 「20世紀のフランシスコ・ザビエル」 聖心女子大学で岩下壮一神父の特別展

  • 「罪のない赤ちゃんを殺さないで」 東京でマーチフォーライフ、中絶の問題を訴え

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.