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保育施設における虐待はなぜ起こるのか

保育施設における虐待はなぜ起こるのか(4)「手間のかかる子」を避けてきた集団保育

2023年1月4日13時34分 執筆者 : 千葉敦志
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保育園/nursery/幼稚園/kintergarten/子ども/kids/children+
※ 写真はイメージです(写真:note thanun)

認定こども園の元園長である私の観測では、これからも保育施設での虐待事案は後を絶たないと思われます。これまでの報道について、付き合いのある園長にも聞いてみましたが、「一方的過ぎる感じがする」との声が聞こえてきました。今、報道されている保育施設での虐待事案は、前回、前々回で考察した通り、それなりの理由があって起こってしまっているとすると、そこでなされている保育自体が在園児の状況と適合していない場合が多いと思われるからです。

保育施設を取り巻く環境の激変

この20年間で社会は激変しました。夫婦共稼ぎが普及した結果、保育園は定員過多となり、待機児童が問題化し、その後は認定こども園制度、小規模保育事業所、事業所内保育事業所などの新制度が拡充されてきました。しかし、その一方で少子化は続き、気付いてみれば待機児童問題は解消に進み、2010年代後半には過疎地などを中心に園児減少に苦しむ保育施設が増え、そして現在では大都市圏でも園児減少に苦しむ保育施設が増えていることが報告されています。

また、保護者の姿勢も変わってきました。少子化により施設を選ぶ選択肢が増え、サービスの良さに重点を置くようになってきました。そのため多くの保育施設は、園児獲得を目指し、園舎や調度品を瀟洒(しょうしゃ)にし、ステキなデザインやキャラクターをあしらった園バスを運行し、英語やスポーツなど、早期教育をうたう高ブランド化を行ってきました。これらは、経営コンサルタントの指導によるところがあると聞いています。

「手間のかかる子」を避けてきた集団保育

子どもは発達するにつれ、周りを見て状況を理解したり、学んだりすることができるようになります。それが「集団保育」の基礎理論になります。「お約束」「一斉指示」によって時間単位で、さまざまなプログラムを矢継ぎ早に展開し、保育を回します。集団に入れて、子どもたちの相互刺激で教育を展開しようというもので、前々回にご紹介したデイリースケジュールはそのために存在します。

そして、これにより、売り手市場だった環境では、保育施設側が「手間のかかる子」や障がい児の入園を、幼稚園では入園審査で、保育所では人手不足やスキル不足などを理由に回避することができました。こうしたことが実のところ、集団保育のノウハウとなっていました。しかし、これはこれで噴飯物ですが、少子化が進み、買い手市場となってきた現状では、当初回避していた「手間のかかる子」や障がい児を受け入れないと、経営が苦しくなってしまうというジレンマに施設が追い込まれるようになってきました。そして、規模が大きい保育施設ほど、こうした環境変化に対する対応力が施設として備わっていないことが多いというのが私の実感です。

特に、理念を伴わない中途半端な差別化、ブランド化を狙った保育施設にその傾向が顕著です。これまでのように「子どもの質」が担保されている状態でなくなると、それまで培ってきた集団保育のノウハウが使えないのです。そうすると、現場はとんでもないことになります。数人が一斉指示を理解できなかったり、嫌がったりすると、いわゆる「場が荒れる」状態が起こるからです。

以前、認定こども園の園長をしていたときに、「今年の1歳児は、みんなお利口さんね。全くかみつかないもの」と保育士が報告してきたことを聞いてびっくりしました。かみつくのは、言葉の言えない幼児が起こす不適応反応であり、その前の年に、その辺のことを整理して対応を改めていたのですが、かみつきがなくなったことを指して、「みんなお利口さん」と保育士が表現したことがショックでした。

「いやいや、それはみなさんの保育がこの子たちにピッタリと合っているからですよ」と言ったことを覚えています。そして、「1歳児はかみつくのが当たり前」というような変な常識が年配の保育士たちを中心に蔓延していたことを知りました。これは逆に言えば、それまでは、言葉の言えない子どもたちの不適応反応に気付かず、その時の子どもたちに合った保育を提供できていなかったということなのです。

フレーベルの提唱に立ち返る

もう一度、幼児教育の祖と呼ばれるフリードリッヒ・フレーベルの提唱に立ち返って考えましょう。

「園丁が植物の本性に従って、水や肥料をやり、日照や温度を配慮し、また剪定(せんてい)するように、教育者も子どもの本質に追随的に、その無傷の展開を保護し、助成するように働きかけなければならない」

「神的本質を有する子どもは不断に創造すべきもの」

本来、子どもの発達とはバラバラなものです。ですから、最初の教育は個別支援であり、一対一からスタートしていくのです。最近、保育士たちに話して驚かれるのが、「子どもたちの対人スキルは、それぞれに定員があります」というアドバイスです。

子どもたちは、最初から無制限の人と関わりを持つことができるわけではありません。保護者やお気に入りの保育者との関係を土台にして、徐々に対人関係を広げていくことが大切なのです。それを、効率を理由に一斉にやろうとすると悲劇が起こるのは自明の理なのです。(続く)

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◇

千葉敦志

千葉敦志

(ちば・あつし)

1970年、宮城県生まれ。日本基督教団正教師(無任所)。教会付帯の認可保育所の施設長として、保育所の認定こども園化を実施。施設長として通算10年間、病後児保育事業などを立ち上げたほか、発達障害児や身体障害児の受け入れや保育の向上に努め、過疎地域の医療的ケア児童の受け入れや地域の終末期医療を下支えするために、教会での訪問看護ステーション設置などを手がけた。その後、これまでの経験に基づいて保育所等訪問支援事業を行う保育支援センターを立ち上げた。現在、就労支援B型事業所「WakeArena」を立ち上げ、地域の福祉増進を目指している。

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