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神学書を読む

神学書を読む(54)永井孝尚著『世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた』

2019年11月3日23時55分 執筆者 : 青木保憲
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神学書を読む(54)永井孝尚著『世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた』+
永井孝尚著『世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた』(KADOKAWA、2019年4月)

教会の牧会を「経営」と呼ぶことに抵抗があるだろうか。教会における働きすべてを、資本主義に置き換えて考えることに難色を示す教会関係者は多いだろう。しかし時として、あえて振り子を逆に振ってみることで、見えてくるものがある。それを「キリスト教会」という土壌に根付かせることができるなら、それは単なる「資本主義(キャピタリズム)」に留まることにはならない。むしろ教会という「善意の塊のような場所」で育まれることで、福音主義的な「恵みの世界観(グレイスイズム)」を具現化する一助になるだろう。

本書は決して「神学書」ではない。本コーナーは「神学書を読む」と銘打ち、絶対に読んでおきたい神学書として、筆者がお勧めする書籍を紹介させていただいている。しかし本書のような良書を紹介し続けるためには、コーナー名を変更する必要性を感じている。コーナー名としては長いかもしれないが、「絶対に読んでおきたい神学書、神学に通ずる書籍」はいかがだろうか(笑)。

いずれにしても、本書『世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた』からは、大いに刺激を受けた。特に牧師として牧会に携わっている人々にとって、ソフト面でのカウンセリングや説教とは異なり、組織としての教会、任意集団としての教会の在り方を考える上で、とても刺激的である。

タイトルに冠している「世界のエリートが学んでいる」という部分は読み飛ばしてもいい。これは購買意欲をかき立たせるための仕掛けであって、大切なのは、経営という分野の守備範囲が恐ろしく幅広いことに気付くことである。

本書はMBA(経営学修士)を獲得した者なら、押さえておくべきノウハウ本を50冊、一気にレビューしている。しかも単に各書のダイジェストをまとめているのではなく、著者自身の体験や卑近な状況を設定しながら、分かりやすく伝えようと心を砕いている。

章立てとしては、第1章「戦略」、第2章「顧客とイノベーション」、第3章「起業と新規事業」、第4章「マーケティング」、第5章「リーダーシップと組織」、第6章「人」となっている。

この辺りで「教会に関係するのは第6章くらいでは?」という声が聞こえてきそうだ。しかしそうではない。そもそも教会とは、この世に存在しながらも、その中にいる人々は「この世のものではない」という意識を持っている。つまり「サンクチュアリ(聖域)」であり、これは神の領域に属するということだ。確かにパウロも「教会はキリストのからだ」であると表現している。だからこの世的なものではなく「霊的」なものだろうし、そういう意識を否定することはできない。

しかし、その霊的な存在である「教会」も、何番地の○○、という住所を持ち、「御堂」を所有するようになると、霊的な部分はそのままに、この世的な事柄が大なり小なり加わってくる。例えばそれは税金であったり、光熱費であったり、牧師の給与であったりする。宗教法人格を取得しているから税金は多少免れたとしても、それ以外のものは「この世」に存在する以上、「必要経費」として計上されなければならない。

それらのほとんどは、兄弟姉妹の尊い献金でまかなわれる。宗教法人として毎年総会を開く教会も多いだろうが、考えてみるとそれは、「聖なる皮算用」をしているだけのことであって、献金が滞ってしまうなら、たちまち「御堂」としての機能は停止してしまう。

そうならないために祈ることと同時に、やはり現実社会では「生き抜く知恵」を生み出していることに目を留める必要がある。さらにこれらを支える原則として、聖書的方向性が加わるなら、それは「鬼に金棒」であろう。

本書は「いかにもうけるか」ということが書かれた本ではない。「いかに世の中をひもとくか」という知恵に満ちており、「どのようにして集団をまとめあげていくか」という観点から、多くの現実的な示唆を私たちに与えてくれるものである。そこには経済的な営みも含まれている。

試しに最初の数冊分(50ページ辺りまで)を読んでみるといい。語られていることは、経済用語であったり、戦略的なものであったりする。しかしそれを自分たちの教会、名称はともかく、ユースや主人会、婦人会といた教会内の集まり、さらにゴスペルクラスやバザー委員会に置き換えることが可能ではないだろうか。

ちなみに私が大いに感銘を受けたのは、第3章で紹介されている18冊目の『アントレプレナーの教科書』という書籍に関する項目である。副題に「いい商品なのに売れないのは、顧客開発をしていないからだ」とある。

企業が高性能の製品を生み出すことは必要である。しかしそれだけでは新製品は売れない、と同書の著者であるスティーブン・ブランク氏は語る。そして、なぜならその商品を欲しがる「顧客」を検証していないからだ、と続ける。

これを教会に当てはめるなら、福音的な教会であれば、「商品」(この言い方に抵抗があるのは分かる)は間違いなく「キリスト信仰(福音・ゴスペル)」である。これが素晴らしいかどうか、素晴らしいとすれば、どう素晴らしいかを検証するのが「神学」といっていい。だが、ブランク氏の言い方を援用するなら、「キリスト信仰が素晴らしいとしても、それを欲しがる人に関してどれ程度リサーチできているか」ということである。

しかも皮肉なことに、ブランク氏の本のタイトル(邦題)は、『「アントレプレナー(起業家)」の「教科書」』である。巨大企業がどうやって新製品を浸透させようか、という話ではない。まだスタートアップしたばかりのような零細企業が、どうやって成長していくか、という部分が本書の肝である。

人口全体の1パーセント未満しかいない日本のキリスト教信者の群れ=「教会」をここに当てはめてみる。世界史的には2千年以上の老舗だが、独立採算スタイルであるため、日本のキリスト教会はアントレプレナー的発想が求められているとはいえないか。そう考えると、商品(福音)は良い。では、どのようにこれを伝えるかという場合、「絶対に良いから、良いに決まっている」と考えるのは、それを享受した者の内輪話にしかならない。

しかし現実を見るなら、その良さが伝わっているとは言い難い。神学的な思索をするなら、それは商品の中身(性能・強調点)を峻別しようということになる。しかしその試みは(今も行われているが)「教団教派の違い」を生む温床となり、むしろ一致を妨げることになっている。

だから本書から私は大きな刺激を受けたのである。早速、アマゾンで『アントレプレナーの教科書』を購入した。わずか4ページでまとめられたものに比べると、300ページを超える内容は、かなり手ごわそうだ。しかし、読み進めるうちに、新たな気付きが与えられ、それを早速、教会で援用している。今のところ良い結果が生み出されている。

本書は、教会のリーダー的立場にある者たちが、ぜひ自分の教会の在り方を思い浮かべながら読むべきである。そうすることで、異なった視点からの刺激を大いに受けることになろう。

確かに教会は「経営」で動かされるものではない。しかし「経営」という視点でポリッシュアップを試みるなら、単なる「繁栄の神学」に堕しない、健全な成長を思い描け、それを実現させることができるだろう。

■ 永井孝尚著『世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた』(KADOKAWA、2019年4月)

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◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

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