パキスタン、ワールド・ビジョンなど18支援団体を国外退去

2018年12月17日18時33分 印刷
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パキスタンの国旗を振る男性=2007年(写真:Giridhar Appaji Nag Y)
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パキスタン政府は12月上旬までに、ワールド・ビジョンやカトリック・リリーフ・サービス(CRS)など、キリスト教主義の団体を含む18の援助団体や非政府組織(NGO)を国外退去させた。同国のシリーン・マザリ人権担当相は、国外退去はこれらの団体が政府側に届けられた範囲以外の活動を行い、「虚偽情報」を広めたためだとしている。

退去を命じられた団体の大部分は米国に拠点があり、一部は欧州にある。団体側はパキスタン政府に対し、再認可拒否の取り下げを訴えたが、それが却下されたため同国での活動を停止したという。今回の措置は、同国政府が昨年12月に安全保障上の懸念から27団体に活動停止を命じたことが発端となっている。

世界中の子どもたちの権利擁護を目的とし、同国で160万人余りの子どもたちを支援するプラン・インターナショナルは10月2日、一通の書簡を受け取った。同団体が活動を停止し、国外退去するまで60日間の猶予を与えるとする、同国内務省からの通達だった。

クリスチャンポストに寄せられた声明によると、書簡は昨年12月の認可拒否に関する同団体の訴えに対する政府側の返答だった。しかし、再認可が認められなかった理由は示されていなかった。

「私どもは政府の決定に深く悲しむとともに、社会に対する影響を強く懸念しています。特に、私どもが支援する数十万人の子どもたち、また、全員がパキスタン国民である団体職員への影響です」と同団体は述べた。

68年の歴史を持つプロテスタント福音派系の慈善団体、ワールド・ビジョンは、世界の恵まれない人々への人道支援や開発援助、子どもたちの権利擁護などを行っている。パキスタンでは2005年から活動していたが、60日の猶予期間内の11月30日をもって同国での活動を全面的に停止した。

クリスチャンポストに寄せられた声明によると、同団体はパキスタンに31人の職員がおり、主に2カ所からの助成金によって同国での活動を行っていた。そのうちの1つはカナダ政府からのもので、「母親や新生児、子どもたちの健康強化」が目的だった。撤退を決めたのは、正式な認可を再取得するための2年間におよぶ努力の末のことだった。

声明では「活動停止により脆弱な地域住民に及ぶ影響を悔やんでいます。しかし、この国での活動を決定する政府の主権を尊重しています」と述べ、「私どもは、政府が今後、導入するであろう新たな法的枠組みの下での活動再開の可能性に向けて話し合いを続けていく所存です」と続けた。

米国カトリック司教協議会(USCCB)の救援事業団体であるCRSも、同国政府の決定を受け入れ、活動を停止することに同意した。しかし、それ以上のコメントはできないとクリスチャンポストに語った。

クリスチャンポストは、パキスタン人道問題フォーラム(PHF)にも問い合わせをした。PHFは、国外退去を命じられた18団体のうち15団体を含む60団体以上が加盟するネットワーク。しかし、回答は得られなかった。

PHFの広報担当者であり、イスラム・リリーフ・ワールドワイドのパキスタン代表を務めるウマイル・ハサン氏はAP通信(英語)に対し、PHFの加盟団体はパキスタンの貧困層1100万人を援助し、1億3000万ドル余り(約150億円)の経済支援を行ってきたと述べた。

この他、再認可を受けられなかった団体には次のような団体がある。

米国国際労働連帯センター(ACILS)、中央アジア教育信託(CAET)、英国のインターナショナル・アラート、アクション・エイド、デンマーク難民評議会、スイスのオープン・ソサイエティ協会財団、米国のパスファインダー・インターナショナル。

「認可の更新申請が拒否された明確な理由を示された団体は一つもありません」と、ハサン氏は述べた。

米シンクタンク「ウィルソン・センター」の南アジア担当シニア・アソシエイトのマイケル・クーゲルマン氏は、米公共ラジオ局NPR(英語)に、同国の政府関係者の間にはこれらの団体に対して深い不信感があると語った。

米中央情報局(CIA)が2011年、パキスタンに潜伏していたテロ組織「アルカイダ」の最高指導者ウサマ・ビンラディン氏を殺害した際、援助団体スタッフを装ったパキスタン人医師が協力したとされている。同国で活動する欧米拠点の団体に対する不信は、この後さらに増大したという。

「この国はそれらの団体を信用していません。彼らの働きがどれほど無害であってもです。特に、陰謀説が社会と国家の大部分に強く受け入れられている国では、非常に高いレベルの不信感があります」

首都イスラマバードに拠点を置くパキスタン平和研究所の責任者であるムハンマド・アミール・ラナ氏は、これらの団体に対する措置は政府に批判的な声を黙らせようとする政府主導の試みだと、AP通信の別の記事(英語)で語った。

一方、マザリ氏はツイッター(英語)に、この動きに関する批判に応じるコメントを投稿。これらの団体は欧州連合(EU)や米国の外交的な圧力を利用しているとし、「政治的な意図がある」と非難した。また他の80以上の団体は、再認可されていると指摘した。

この状況についてハサン氏は、パキスタン政府の今後の動きを懸念する。

「市民社会の空間は縮小しています」とハサン氏。「政府は今後、国際的な資金提供を受けている現地組織を取り締まるでしょう。それは、組織の独立性や活動方法の柔軟性、また活動の場所に関して深刻な妥協を迫られることになるでしょう」と語った。

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