牧師の小窓(14)福江等

2016年2月7日21時48分 コラムニスト : 福江等 印刷
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坂本竜馬の写真、慶応3年竜馬33歳の時。

私の牧会しております高知は、坂本竜馬の生まれ育った土地です。至る所に竜馬に関するものがあります。空港も竜馬空港と呼ばれています。数年前には大河ドラマになったこともあって、竜馬ブームになりました。

なぜこれほどまでに竜馬に人々が魅せられるのか、私なりに思うところを考えてみました。司馬遼太郎の『竜馬がゆく』(全8巻)を読み、また大河ドラマで見たところからの感想であります。

竜馬には人を敵と味方に分けて考えることが良くないという思想が根底にあったように思います。「憎しみからはなんちゃ生まれんがぜよ」という言葉が象徴しています。

土佐の下級武士と上級武士とが憎しみ合っていた時代、攘夷論者と開国論者がせめぎ合っていた時代、勤王派と佐幕派が血で血を洗っていた時代、竜馬は相対する両者を二者択一ではなく、テーゼとアンチテーゼを統合してまとめあげようとする比類なき才能を持っていたと思われます。

そして、遠い日本の将来のために何がいいのか、ということにいつも目を向けていたように思います。竜馬の命をねらって目を血走らせていた京都の新撰組隊長近藤勇に対しても、どこか幼なじみに対して物を言っているような雰囲気で、「近藤さん、もう人を切るのは止めにせんかい。これからの日本は新しゅうならにゃいかんがやき」と親しくものを言うようなところに竜馬の本質があったように思われます。

私はアメリカのマーティン・キング牧師やインドのガンジーについて特別な関心を持って学んできました。これらの人々と合わせて竜馬を見るとき、どこか共通するところが感じられるのです。

キング牧師は白人と黒人が手と手をつないで暮らしていける世界を見ていました。ガンジーはヒンズー教徒とイスラム教徒が仲良く暮らし、またカースト制度のない世界を見ていました。

とかく水と油のような関係になりやすいこの人間社会の中で、「憎しみからはなんちゃ生まれんがぜよ」という確信をもって生きぬいたところに、竜馬の魅力があったように思います。それはまた、社会の底辺にいた人々に深い思いやりと愛といたわりを示されたイエス・キリストの中にある神の愛に通じるものでもあることでしょう。

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福江等

福江等(ふくえ・ひとし)

1947年、香川県生まれ。1966年、上智大学文学部英文科に入学。1984年、ボストン大学大学院卒、神学博士号修得。1973年、高知加賀野井キリスト教会創立。2001年(フィリピン)アジア・パシフィック・ナザレン神学大学院教授、学長。現在、高知加賀野井キリスト教会牧師、高知刑務所教誨師、高知県立大学非常勤講師。著書に『主が聖であられるように』(訳書)、『聖化の説教[旧約篇Ⅱ]―牧師17人が語るホーリネスの恵み』(共著)など。

高知加賀野井キリスト教会ホームページ
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