学者と学生がシンポ「岐路に立つ日本の立憲・民主・平和主義」 1300人が「大学人」の使命と責任問い直す

2015年10月26日11時07分 記者 : 守田早生里 印刷
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第2部「報告とシンポジウム」の登壇者ら=25日、法政大学市ケ谷キャンパス(東京都千代田区)で

「安全保障関連法に反対する学者の会」と学生団体「SEALDs(シールズ)」などによるシンポジウム「岐路に立つ日本の立憲主義・民主主義・平和主義」が25日、法政大学市ケ谷キャンパス(東京都千代田区)で開催された。当日は、1000人の参加を予定していた会場があっという間に埋まり、追加の補助席や立ち見も含め、1300人(主催者発表)が参加。満席のため入場規制がかかるほどだった。司会は、「学者の会」の発起人の一人である佐藤学・学習院大学教授と、シールズのメンバーで上智大学の学生である芝田万奈(まな)さんが務めた。

第1部では、広瀬清吾専修大学教授、樋口陽一東京大学名誉教授、小林節慶応義塾大学名誉教授、シールズの大澤茉実(まみ)さん(立命館大学学生)が基調報告を行った。その後に行われたスピーチでは、池内了名古屋大学名誉教授、山岸良太日本弁護士連合会(日弁連)問題対策本部長、シールズの豊島鉄博さん(専修大学学生)と久道瑛未(えみ)さん(東北大学学生)が登壇した。

学者と学生がシンポ「岐路に立つ日本の立憲・民主・平和主義」 1300人が「大学人」の使命と責任問い直す
基調報告を行う樋口陽一東京大学名誉教授

基調報告の中で樋口名誉教授は、「私たちの国は、戦後70年の間、『立憲』『民主』『平和』の3つの価値を同時に掲げ、追求してきた。その支えが日本国憲法であった」と指摘。法曹界からも今回の安保関連法について「違憲」の声が大きいことに触れ、「国の運命、世界の運命、地球の運命を揺るがすことを誰かが決断しようとしているとき、法の専門家が『それは危ない』と警鐘を鳴らすことは、法律家としての職業上の義務である」と述べた。最後には、若者が国会前で「なめんなよ」と声を上げたことに触れ、「これは非常に大事。一人一人が誇りを持って行動を」と語ると、会場からは大きな拍手が沸き起こった。

今年6月に衆議院憲法審査会に参考人として参加し、9月の中央公聴会では公述人として参加した小林名誉教授は、このシンポジウムの会場として当初予定していた立教大学が、「純粋な学術的な内容ではない」として会場の提供を拒否したことについて、「政治学者、憲法学者に政治について話すなというのは、『大学人』として矛盾がある」と指摘した。

学者と学生がシンポ「岐路に立つ日本の立憲・民主・平和主義」 1300人が「大学人」の使命と責任問い直す
立教大学の会場拒否について言及した小林節慶応義塾大学名誉教授

シールズ関西のメンバーである大澤さんは、「私は、小さい時から『良い子』を求められてきた。学校に従い、空気を読んで生きてきた。偏差値が高ければ『勝ち組』だと思った。そして、いつの間にか自分の感情を表すことが怖くなり、黙ること、教室や社会に順応するのが『普通』だと思ってきた。しかし、その『普通』だと思っていたことが、今夏、『普通』ではなくなった。昨日までファッションの話しかしなかった学生が政治を語り始め、パソコンと本の前から離れなかった学者たちが路上に出て、声を上げ始めた。多くの芸能人がタブーを破って、自分の意見を主張し始めた。『当たり前』に順応するのではなく、何が『当たり前』かを考えることが必要。空気を読んでいては、空気は変わらない。武器を持って戦うことが『普通』なら、私はその『普通』を変えたい。私の言っていることは、ただの『理想論』や『希望』と言われるかもしれない。しかし、『希望』を語れなくなったら、終わりなのではないか」などと語った。

この大澤さんの心からの叫びがこもったスピーチには、壇上に上がった学者、会場に集まった参加者、詰め掛けた報道陣の中にも涙する姿が見られた。

学者と学生がシンポ「岐路に立つ日本の立憲・民主・平和主義」 1300人が「大学人」の使命と責任問い直す
シールズ関西の大澤茉実(まみ)さん(立命館大学学生)のスピーチは多くの人々の胸を打った。

第2部では、10分ずつの短い報告を登壇者が行い、その後、ディスカッション形式でシンポジウムが行われた。登壇したのは、長谷部恭男(やすお)早稲田大学教授、中野晃一上智大学教授、小熊英二慶応義塾大学教授、シールズの千葉泰真(やすまさ)さん(明治大学大学院生)と奥田愛基(あき)さん(明治学院大学学生)の5人。

学者と学生がシンポ「岐路に立つ日本の立憲・民主・平和主義」 1300人が「大学人」の使命と責任問い直す
シールズの奥田愛基(あき)さん(明治学院大学学生)

千葉さんは報告で、「1000億円のイージス艦を購入して、『抑止力』を得た気分になるのではなく、1000億円をかけた文化交流を。互いに交わることで得るものは、将来万一、外交危機に陥ったときに、イージス艦よりもはるかに戦いを抑止する力になるのでは」と語った。また、シンポジウムの中では、「日本を代表する大学の先生たちと、われわれ学生が、こうして一緒の壇上に立って民主主義を語ること、また、国会前で共に声を上げられたことは率直にうれしい」と感想を述べた。

最後に話をした奥田さんは、「政治に対するイメージは『難しい』『面倒くさい』だった。国会中継では、国会議員が寝ている。時の総理大臣は漢字が読めないとニュースになるなど、今から考えれば、平和な時代だったと思う。しかし、昨年成立した特定秘密保護法のあたりから、何かがおかしいと感じ始めた。デモをやろうとしたが、やり方も分からなかった。それを教えてくれたのは、有名な先生でも大学の先生でもなく、グーグルだった。一生懸命に検索して、デモのやり方を覚えた。ある学者の先生が『ガキを見直した』と言ってくれたが、私たち『ガキ』も難しい本をうなりながら読んだりして、夜な夜な頑張っている。『若者が政治に無関心だ!』と批判されるが、大人は政治に関心があるのか? 私たちは、授業を受けるだけでなく、学校の外にも学びがあることを知った。国会前にも大学の先生たちが来てくれた。一緒にスピーチを行う『抗議』の場こそが『講義』だった」と話した。

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