英新約聖書学者が講演「創造から新しい創造へ」 イエス、審判、そして津波・福島災害について語る

2015年2月4日16時45分 記者 : 行本尚史 印刷
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講演を行う英セント・アンドリュース大学神学部のスコット・ヘイフマン教授=1月31日、青山学院大学(東京都渋谷区)で(同大学入学広報部の許可を得て撮影)

英セント・アンドリュース大学神学部のスコット・ヘイフマン教授(新約聖書学)による講演「創造から新しい創造へ イエス、審判、そして津波・福島災害」が1月31日、青山学院大学(東京都渋谷区)で行われた。同大総合研究所が主催した。

ヘイフマン教授は講演で参加者らに対し、「津波と福島災害の恐怖は、世界がこんなにも道を踏み外してしまっているのを正すために、この恐怖を超克するに違いなく、そしてするであろう神の救いのみわざが、いかに偉大なものであるかを示す前景(epic preview)なのである」と語った。

その上でヘイフマン教授は、「イエスは、人々を導いて他者の必要に向き合い、尽力させる」と述べ、「悲劇へのキリスト者の応答は、それを『自然』なこととして受け入れることではなく、反抗によって破壊された世界を再建するために働くことである。今できる小さな回復が来るべき神の回復の予兆となる希望のしるしとして、私たちはそうするのである。悪と悲劇へのイエスの応答は、それらを背負って十字架につかれることであった。イエスは弟子たちに、自分を捨ててそれぞれの十字架を負って従うことを求められる」と結んだ。

この講演会で司会と通訳を務めた同大総合研究所「3・11以降の世界と聖書」プロジュエクト代表の福嶋裕子同大宗教主任は、今回の講演について、「多くのキリスト教神学の課題を深めてくれるものであった」と語った。

講演後の質疑応答では、「新しい創造の希望は、終末的な希望と置き換えてよいのか?」という参加者からの質問に対し、ヘイフマン教授は「基本的な視点としてはその通り、終末的な希望だ。私たちが未来における復活をどのように体験するかということだが、最終的な回復はまだ到来していない。キリスト者たちの変容された命を通して、私たちは愛し合うということにおいて未来の復活にあずかっている」などと答えた。福嶋宗教主任はこれについて、「悔い改めと再創造への希望を語ったのではないか」とコメントした。

また、「苦しみの中におけるキリスト者の共同体やキリスト教会の役割は何か?」という質問には、「イエスが十字架を担われたように私たちもキリストと共に苦しむこと。どのようにして担うことができるのか? イエスやパウロにおける苦しみの意味は、肉体的なことに意味があるとは思えない。ガンになることが信心深いというわけではない。肉体的な苦しみを受けているクリスチャンのほうが、よりよいクリスチャンであるというわけではない」と語った。

その上で、ヘイフマン教授は、自身がアフリカのチャドで行っている孤児救済活動について触れ、「イエスは十字架を自らの意志で担った。自分の意志で愛をもってともに苦しむことが大切だ」と述べ、「日本のキリスト教会にとって、津波と福島の災害は、そこに苦しんでいる人たちの苦しみを担う大きな機会だ」と語った。

さらに、宣教の場面における、苦しむ人たちとの連帯についての質問に対しては、「イエスは4つのことにおいて、苦しむ人たちと連帯した。1つは悪魔払い。2つ目は病人を癒したこと。3つ目は新しい共同体をつくったこと。4つ目は神の国(神の主権と支配)がここにあることを宣言したことだ」と述べた。

だが、「しかし問題がある」とヘイフマン教授。「彼は全ての悪魔をはらったわけでもなく、全ての病人を癒したわけでもない」とした上で、われわれが来るべきあがないに備えて準備することが大切だと述べた。また、「私たちは他の苦しんでいる人たちの必要を満たそうと、懸命に働く。しかしそれで十分ということはない」と付け加えた。

「黙示録をどのように読むのか?」という質問に対しては、「黙示録にある象徴は、旧約聖書からとられた将来の希望について語っている」と答え、「最も重要なのは22章の水が象徴する神が与える生命である」と述べた。

ヘイフマン教授は米国出身。ドイツのテュービンゲン大学で神学博士号を取得後、ウィートン・カレッジ(米イリノイ州)新約ギリシア語および釈義担当教授、ゴードン・コンウェル神学校(米マサチューセッツ州)新約学教授などを歴任後、2011年より現職。アフリカ・チャドでの孤児救済活動支援団体の代表を務めるほか、ギリシア、クロアチア、インド、カナダ、韓国でも講演。『約束の神と信仰生活 聖書の核心を理解する』『苦難と聖霊 IIコリント2:14〜3:3の釈義研究』『パウロ、モーセ、イスラエルの歴史』ほか英語による著書・論文多数。現在、I、IIペトロ書、ユダ書の注解書、パウロ神学についての研究書を執筆中。

同大総合研究所は、この講演会の案内でその趣旨について、「東日本大震災と福島第一原子力発電所事故から4年の月日が経とうとしています。青山学院大学総合研究所プロジェクトのひとつとして『3・11以後の世界と聖書』というテーマをかかげ、危機の時代に聖書を読む意味を模索してきました。聖書に描かれた幾度かの破局的状況をひもときながら、現代世界への視座を得ることができればと願っています」と説明していた。

福嶋宗教主任はヘイフマン教授の講演に先立ってあいさつし、「2011年3月11日の後に、私と大宮謙先生と(日本基督教団)美竹教会の左近(豊)先生とでこのプロジェクトを作り上げた。3・11を通して私たちは聖書を捉え直さなければならないのではという思いに駆られた」と、この講演会の背景について語り、「外からの視点」としてそれについてヘイフマン教授に講演を依頼したと述べた。

福嶋宗教主任によると、この講演は来年春に同プロジェクトの本の一部として出版される予定。出版社は今のところ未定だという。

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