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大きなことはできなくても、目の前にいる人へのちょっとした優しさ 菅野直基

2015年1月6日07時20分 コラムニスト : 菅野直基
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あなたは、きっと「人に対して優しい人でありたい」と思っているのではないでしょうか。しかし、その優しさのあまり、人の言動に振り回されたり、一緒に悩んで苦しみを背負い込んでしまうと、あなたがつぶれてしまいます。

ある心優しい人が、うつ病になった人に寄り添ってあげていました。その苦しみに耳を傾け、共感し、苦しみを背負ってあげているうちに、うつ病の人よりもっとひどいうつ病になってしまいました。プロの心理カウンセラーは、相手の苦しみに耳を傾け、受け入れ、共感しても、それを決して背負おうとはしません。そうしないと、今度は自分がカウンセリングをしてもらわないといけない状態になってしまうからです。

私がやらせていただいている牧師の仕事の一つは、毎日、家族や教会員、関わっている人のためにお祈りすることです。場合によっては、一日の大半の時間心にとめて祈ることもあります。しかし気が付いたら、「この方の病気や苦しみを代わりに背負わせてください」、という気持ちになることがあります。しかし、そのように祈っていたら私がつぶれてしまいます。私は救い主ではないからです。私たちの代わりに病気や苦しみを背負われたのはイエス・キリスト様です。

「彼はさげすまれ、人々からのけ者にされ、悲しみの人で病を知っていた。人が顔をそむけるほどさげすまれ、私たちも彼を尊ばなかった。まことに、彼は私たちの病を負い、私たちの痛みをになった。だが、私たちは思った。彼は罰せられ、神に打たれ、苦しめられたのだと。しかし、彼は、私たちのそむきの罪のために刺し通され、私たちの咎のために砕かれた。彼への懲らしめが私たちに平安をもたらし、彼の打ち傷によって、私たちはいやされた」(イザヤ53:3~5)

私たちは、苦しんでいる人のそばに寄り添い、その荷を代わりに背負って、「少しでも荷を軽くしてあげたい」といくら思っても、10キログラムしか持つ力のない人が1000キログラムの荷物を持ち上げようとしているようなもので、相手を思う愛のゆえに、「火事場の馬鹿力」のように、自分の限界をはるかに超えた力も一瞬なら出るかもしれませんが、じわじわとあなたを押しつぶしてしまいます。

どんなに愛している人でも、死のトンネルを一人で歩いていかなければなりません。しかし、そのトンネルを一緒に歩いて下さる方がいます。

「たとい、死の陰の谷を歩くことがあっても、私はわざわいを恐れません。あなたが私とともにおられますから」(詩篇23:4)

約一年前、遮断機の下りた踏切の中で倒れている男性を助けるために、電車にひかれて亡くなられた女性がいました。私は、この勇気ある行動に心を痛めつつも感動しました。とても尊いものだと思います。まさしく愛の心から出た行動だからです。

優しさを感じることが少ない時代になりました。しかし、そんな時代の中で、あなたの優しさは寒い夜空に輝く星のように光っています。「できること」と「できないこと」を見極めて、優しさを広げていきたいものです。

先ほどの女性のような、命をかけた優しさをあらわすことは普通の人にはできません。しかし、ちょっとした優しさでいいのです。その優しさが社会の一部を温めてくれます。そして、その優しさは広がって、社会全体を温めていくかもしれません。大切なことは、大きなことをやろうとしなくていいのです。今この時、目の前にいる人に、あなたにできる優しさをあらわしていきましょう。あなたの優しさを受けた人はどれだけうれしいでしょうか。その人の喜びのために仕えられたら何と幸せなことでしょうか。素晴らしい一日でありますように。

◇

菅野直基(かんの・なおき)

1971年東京都生まれ。新宿福興教会牧師。子ども公園伝道、路傍伝道、ホームレス救済伝道、買売春レスキュー・ミッション等、地域に根ざした宣教活動や、海外や国内での巡回伝道、各種聖会での讃美リードや奏楽、日本の津々浦々での冠婚葬祭の司式等、幅広く奉仕している。日本民族総福音化運動協議会理事。

■ 外部リンク:

新宿福興教会ホームページ
(メッセージをくだされば、みなさんの近くの教会を紹介致します)

菅野直基牧師のフェイスブック

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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