【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)文書の流出がイタリアでは問題になっているが、ジャーナリストのジアンルイジ・ヌッツィ氏がバチカンの汚職や腐敗、陰謀も明かす私信や文書を基に実態を暴露した近著『スア・サンティータ』(聖下=教皇に対する敬称)の中に、前駐日大使アルベルト・ボッターリ・デ・カステッロ大司教のメモも収録されていた、とUCAN通信が伝えている。
流出した文書コピーは、教皇の「個人執事」パオロ・ガブリエーレ氏が逮捕された際にバチカン内の自室で発見された。
普通、外交官のメモが明らかにされることはないだけに関心を持たれる。前大使のメモは、2011年8月15日付け。6年に及ぶ在任期間の最後にまとめられたもので、率直な内容が注目される。
前大使のメモは、キリシタン宣教師の上陸以来4世紀以上を経た日本の教会の状況を捉えている。
UCAN通信によると、前大使は、日本のキリスト者が少数に留まっている間に隣の韓国ではこの数十年間で激増していることを踏まえ、「しばしば問われた質問を自身でも考えている。このすばらしい世界がなぜ福音から遠ざかっているままなのか。日本人1億2800万人の中でカトリック者が50万人しかいないのはなぜなのか」と問い掛ける。
大使が出した答えは、在任中に日本人司教、宣教師、一般信徒との会話と熟慮の結果で、「日本には『天皇』という象徴や、神道、仏教といった宗教に結びついた高尚な文化、輝かしい歴史と強固な国体がある。キリスト教に改宗するということは、この世界から縁を切ることであり、『らしくない日本人』になったと訴え、またそれで気落ちする、ということなのだ」と言う。
大使は、日本人のプライドと強烈な国民としての一体感が、外国からの影響に、複雑な感情を示す、と説明する。「彼らはオープンで好奇心が強い。新しいものをその文化に融合させ、そのままには置いておかない・・・・・・そこで、福音に転向することはほぼ奇跡なのだ、という考えに行き着く」
さらに、カトリックが西欧のものとして捉えられるという事実が助けにならない。「西側世界からもたらされ、メディアによって広められた、暴力、物質主義、腐敗といったイメージやライフスタイルなどがキリスト教世界の一部分と見られるので、受け入れられないい」と言う。
大使の分析では、これが、長年にわたった日本の司教たちと「新求道共同体」との抗争の根底にもある。
「わたしの見るところでは、彼らはここへ来て、ヨーロッパで生まれ発展したやり方に従い、現地の世界に適応することは念頭にない。ここ日本での彼らのやり方は、わたしが20年前にカメルーンで宣教師だった時に見たのと同じで、全ては提案ではなく押しつけだ」。大使にとっては、「緊迫、誤解と反発」だらけで、「対話への窓はほとんど開けられないまま、全面拒否に行き着く」ことは疑いない。
新求道共同体の「意図と善意は称賛されるべきもの」だが、「現地の文化との融和」に欠けている。大司教は「愚見では、これが日本の司教たちが求めていることなのだ。聖化され、人々に寄り添う方法でメッセージの核心を提示するには、西欧風のヴェストを脱ぐことだ」と言う。
UCAN通信は、彼らが日本でその考えを適用するか、またアジアのどこでもそうするか、について疑念を示し、大司教の最後の言葉がバチカンで真剣に考慮されただろうか、と指摘している。
クリスチャントゥデイからのお願い
皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。
人気記事ランキング
-
2025年に最も人気のあった聖句はイザヤ書41章10節 この6年で4回目
-
サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(34)教会も、町も生まれ変わる
-
【書評】鶴見太郎著『ユダヤ人の歴史―古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』
-
コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(17)「制御不能な突然の出来事」 臼田宣弘
-
旧統一協会の田中富広会長、道義的責任など理由に辞任 「謝罪の意を込めおわび」
-
花嫁(最終回)真昼の花嫁 星野ひかり
-
ワールドミッションレポート(12月13日):タンザニアのマンダ族のために祈ろう
-
サマリタンズ・パースの輸送機、南スーダンでハイジャックされる 容疑者は拘束
-
ワールドミッションレポート(12月12日):タイ 人知を越えたキリストの平安
-
日本聖書協会が恒例のクリスマス礼拝、聖書普及事業150年を感謝しコンサートも
-
元阪神マートンさんが来日ツアー「クリスマスの贈り物」 関西学院大でトークイベントも
-
日本聖書協会が恒例のクリスマス礼拝、聖書普及事業150年を感謝しコンサートも
-
【書評】鶴見太郎著『ユダヤ人の歴史―古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』
-
映画「ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師」 「信仰と抵抗」の生涯描く
-
京都ノートルダム女子大学、次期学長に酒井久美子氏 学生募集停止の来年4月から
-
南・東南アジア各国で洪水・土砂崩れ、1700以上人が死亡 キリスト教団体が緊急支援
-
旧統一協会の田中富広会長、道義的責任など理由に辞任 「謝罪の意を込めおわび」
-
サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(34)教会も、町も生まれ変わる
-
米最大の民間慈善財団、神学教育機関やキリスト教団体に総額1千億円超を助成
-
もしもクリスマスがなかったら 万代栄嗣
-
元阪神マートンさんが来日ツアー「クリスマスの贈り物」 関西学院大でトークイベントも
-
映画「ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師」 「信仰と抵抗」の生涯描く
-
「神の霊によって、主はこの国を造り替えられる」 日本リバイバル同盟が「祈りの祭典」
-
英国で「路傍伝道者憲章」 相次ぐ街頭説教中の逮捕受け
-
京都ノートルダム女子大学、次期学長に酒井久美子氏 学生募集停止の来年4月から
-
ニカイア公会議1700周年を記念、開催の地で一致求め祈る 教皇や全地総主教らが参加
-
日本聖書協会が恒例のクリスマス礼拝、聖書普及事業150年を感謝しコンサートも
-
東洋英和女学院大学、次期学長に藁谷友紀氏
-
【書評】鶴見太郎著『ユダヤ人の歴史―古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』
-
中国の大型政府非公認教会「シオン教会」の主任牧師ら18人逮捕、最大拘禁3年の可能性
















