国連安保理のシリアを非難する決議案が否決されたことを受け、シリア全土でアサド政権による弾圧が高まっており、シリア国民は国際社会のシリア政権への介入、アサド政権による弾圧を阻止する活動を行うように懇願している。
キリスト教共同体は、「アラブの春」以後他のアラブ諸国でも生じているような少数派キリスト教徒に対する迫害を回避するべく、アサド政権を支援してきたが、シリア国
民の嘆願は、これまでのキリスト教共同体の支援の在り方ではシリア国民を救えないことを示唆するものとなっている。
シリアでは昨年3月からアサド政権に対する反体制派デモが生じており、シリア軍部は武力を行使して民間人の弾圧を続けてきた。ユーチューブにはシリア人権活動家によ
るシリア国内での流血を伴う凄まじい弾圧の場面が公開されており、弾圧によって流血した民間人らが、医療施設へとごった返している光景が流されている。ある動画の中で
は、シリア人の医師が国際社会に対し「お願いですから、このロケット攻撃が止むようにしてください」と懇願する場面が収録されている。
シリア軍部の弾圧により、民間人が流血し、殴打される惨状を人権活動家らがビデオに収録し、ユーチューブ上で公開している。シリア人権活動家の一人は、米CNNに対し、実際にシリア軍による武力攻撃が生じているホムズの路上で動画を収録し、その動画を通して「国連に対し、そしてアラブ連盟に対し、私たちを支援してくださるように呼び求めます。人間の心をもつすべての人々に私たちに対する支援を求めます」と切実に訴えた。
他にも少年がサインボードを掲げて「もし皆さんが助けて下さらないならば、私たちは殺されるでしょう」と訴える動画も公開されている。シリア人権活動家らによると、現場では拷問や強姦も生じており、男性、女性、子供分け隔てなく無差別にアサド軍部による武力攻撃がなされているという。
国連では過去11カ月間で5,400人の民間人がシリア軍部の弾圧で死亡していると推定している。アサド政権と同軍部は、数カ月間におよび民間人への暴力行為を行使しており、政権が交代する兆しは一向に見られておらず、アサド政権が外部勢力によるテロリストから同国を保護しているという立場を保持し続けている。
世界中の人々が動画を通してシリアの惨状を知る中、国連のシリアに対する非難決議案が常任理事国の中国とロシアの拒否権発動によって否決されるに至った。シリア国内には150万人のキリスト教徒が存在すると推定されており、未だ弾圧を続けるアサド政権がシリア国家を導いていくための支援を続ければ、シリア国内の紛争は避けられない状況になることが危惧されている。
アサド政権下でシリアのキリスト教徒は他のイスラム教国と同様に大部分の信仰の自由を享受してきた。シリア国内キリスト教徒は、アサド政権が追放されれば、さらに混
乱状態になり、過激派の攻撃にさらされやすくなることを懸念している。
シリア国内のキリスト教徒は既に過激派による攻撃の標的となっており、シリア国内の教会が攻撃され、キリスト教徒は攻撃と誘拐の脅威にさらされているという。キリスト教迫害監視団体オープン・ドアーズ代表のカール・モエラー氏は「シリア国内のキリスト教徒は他の多くの中東諸国に住むキリスト教徒と同様に攻撃の標的にさらされています」と述べた。
オープン・ドアーズではシリアのキリスト教徒がイラクのキリスト教徒と同様に自国から避難せざるを得ない状況となっていることを警告している。シリアの一部社会団体は、アサド政権下で比較的安全な生活を享受しており、アサド政権が今後も存続することを希望している人々も存在しているという。
7日、米国連大使のスーザン・ライス氏はアサド政権の内部構造自体も崩壊が進んでおり、暴動を治めきれずない状態となっていることを示唆して、「米国は民主主義と平和を追求するシリア国民らと共にある」と述べ、アサド政権に対し「存続できる日々は限られている」と警告した。
クリスチャントゥデイからのお願い
皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。
人気記事ランキング
-
英聖公会の聖職者ら約700人がカトリックに、この30年余りで 女性司祭導入後に急増
-
聖なる励まし 穂森幸一
-
キリストの死によって与えられる新しいいのち 万代栄嗣
-
ワールドミッションレポート(12月15日):ガザ 憎しみの英才教育―ハマス創設者の娘が語る真実(2)
-
綱渡りのような人生 菅野直基
-
2025年に最も人気のあった聖句はイザヤ書41章10節 この6年で4回目
-
日本人に寄り添う福音宣教の扉(237)聖霊による傾聴活動は日本社会を覚醒する(後編) 広田信也
-
篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(256)聖書と考える「野原ひろし 昼メシの流儀」
-
花嫁(39)真昼の花嫁 星野ひかり
-
ワールドミッションレポート(12月14日):ガザ 憎しみの英才教育―ハマス創設者の娘が語る真実(1)
-
2025年に最も人気のあった聖句はイザヤ書41章10節 この6年で4回目
-
英聖公会の聖職者ら約700人がカトリックに、この30年余りで 女性司祭導入後に急増
-
元阪神マートンさんが来日ツアー「クリスマスの贈り物」 関西学院大でトークイベントも
-
日本人に寄り添う福音宣教の扉(237)聖霊による傾聴活動は日本社会を覚醒する(後編) 広田信也
-
ワールドミッションレポート(12月14日):ガザ 憎しみの英才教育―ハマス創設者の娘が語る真実(1)
-
ワールドミッションレポート(12月15日):ガザ 憎しみの英才教育―ハマス創設者の娘が語る真実(2)
-
聖なる励まし 穂森幸一
-
綱渡りのような人生 菅野直基
-
映画「ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師」 「信仰と抵抗」の生涯描く
-
キリストの死によって与えられる新しいいのち 万代栄嗣
-
元阪神マートンさんが来日ツアー「クリスマスの贈り物」 関西学院大でトークイベントも
-
映画「ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師」 「信仰と抵抗」の生涯描く
-
2025年に最も人気のあった聖句はイザヤ書41章10節 この6年で4回目
-
「神の霊によって、主はこの国を造り替えられる」 日本リバイバル同盟が「祈りの祭典」
-
日本聖書協会が恒例のクリスマス礼拝、聖書普及事業150年を感謝しコンサートも
-
英国で「路傍伝道者憲章」 相次ぐ街頭説教中の逮捕受け
-
京都ノートルダム女子大学、次期学長に酒井久美子氏 学生募集停止の来年4月から
-
【書評】鶴見太郎著『ユダヤ人の歴史―古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』
-
ニカイア公会議1700周年を記念、開催の地で一致求め祈る 教皇や全地総主教らが参加
-
東洋英和女学院大学、次期学長に藁谷友紀氏















