24日夜、オバマ米大統領は連邦議会の上下両院合同会議で行った一般教書演説で、イランの核兵器保有を阻止するため「いかなる選択肢も排除しない」方針であることを明らかにし、イランに対する軍事的手段の道も選択肢として備えていることを伝えた。
イラン政府が核開発プログラムを進める中、欧州連合(EU)は23日イランの石油輸入禁止、その他イラン政府に対し多くの貿易制裁措置をとることを発表した。
イスラエルはイランの核は開発に特に脅かされており、国際社会がイラン政権における核開発プログラムについて監視できなくなれば、イランが核兵器を保持することによって攻撃を受ける懸念が高まっている。
EUはイランの原子力開発を中断させるための圧力を高めるため、今回の制裁措置に踏み切った。米政府、EUそして国連はイランが秘密裏に核開発プログラムを推進していることに懸念を表明している。イラン政府は、同国の原子力エネルギー生産のために核開発を行っていると説明している。
クリントン米国務長官、ガイトナー米財務長官は23日、米政府がEUによる貿易制裁措置の決定を支持することを発表した。両氏はイラン政府に対する制裁措置の高まりは「イラン指導者たちが国際義務を違反することの代償がどれだけ高くなるかを知り、今後の政策の選択肢を狭めることになるだろう」と伝えている。
イスラエルはイラン政権によってパレスチナ人を抑圧している政府であり、中東和平の敵であると見なされており、平和条約を結んでいるエジプトとの関係も希薄になりつつある。
エジプトは最近投票結果が明らかになった人民議会で、イスラム教穏健派のムスリム同胞団系の「自由公正党(FJP)」が最多議席数を獲得している。FJPは今のところ、1979年にイスラエルとの間で締結した平和条約を更新する予定はないとしている。
イスラエル専門家らによると、イスラエルにとってエジプトは中東の主要な同盟国であり、エジプトと同盟を結んでいることで、イスラエルは同国の北部防衛に集中することができ、防衛費を削減することが可能となっていたという。そのため削減された防衛費を経済復興にまわすことで、イスラエルの復興がなされていったという。
専門家らは現在の中東情勢について、イランとイスラエル間の継続的な外交悪化は中東諸国の外交関係全体の悪化につながると指摘している。また中東での不安定がイスラエルにとって周辺国からの脅威を増し加え、イランからの攻撃の可能性を高めることにもなると指摘している。
法と正義のための米センター(ACLJ)のロバート・アシュ氏は米クリスチャンポスト(CP)に対し、イスラエルは領土が小さい上に、敵国に隣国を包囲されているため、より大きな治安の脅威にさらされていることを感じざるを得ない状態にあることを指摘し、「イスラエルはイランの核開発プログラムを看過するわけにはいきません。
イスラエルがイランへ武力手段を講じる準備あるとの情報も聞かれている。イスラエル政府はイランに武力手段を行使する政策に関しては否定している。
パネッタ米国防長官は昨年10月、イスラエルの高まる孤立化は同国の治安にとって益とならないことを警告し、「問題はイスラエルが外交問題で孤立化を促進する道を辿るだけの軍事力を保持することができるかということです。イスラエルにとって本当の治安というものは強力な外交官関係構築の努力と同国の軍事力の強化の両方があってこそ実現すると思います」と英ガーディアン紙に伝えていた。
最近イラン国内では一連の破壊活動が生じており、イスラエルによるイラン政府への物理的報復措置はすでに草の根レベルで生じていると指摘する専門家も生じている。イラン国内での破壊活動は今月初めから頻繁に生じており、イラン国内の核開発専門の科学者がオートバイに乗った人物によって殺害される事件も生じている。
CNNではイラン国内の破壊行為の背景にはイスラエルの勢力が関与しているのではないかというアナリストの分析を報じている。イスラエル軍広報担当のヨアブ・モルデカイ氏はイラン国内で生じた科学者の暗殺について、同氏のフェイスブックを通して「誰が暗殺したかはわからないが、一滴の涙も流しはしない」との見解を公開していた。
ACLJのアシュ氏は米CPに対し、イスラエルは中東諸国との外交関係改善の道を模索する方針であり、計算の上では軍事手段も選択肢の一つとして含まれているだろうと指摘し、「西欧諸国と米国がイスラエルを取り囲むイスラム教諸国に対する具体的行動に出ない限り、イスラエルと周辺諸国の間での紛争懸念はますます高まることになる」との懸念の意を伝えている。
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