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インドネシア災害は「神の意思」

2006年6月3日17時56分
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【インドネシアバントゥル市(AP通信)】次から次へと起こる災害に遭う中で、インドネシア人らは外国人支援労働者らも驚くほどの災害に対する耐久力を身につけてきているという。これは彼らの中で広く浸透している災いは神によって、神への愛を試すため、あるいは神の教えから逸れたことに対する戒めのためになされるものだという信念に基づくものであるという。


 27日に生じた5800人以上の人命を奪ったジャワ島地震で家と父親を失った村人、プラプト・ワーシトさんは、「人間は欲深く、自己中心的であまりに傲慢だ。全能なる神が私たちにそのことを教えるためにこのような災いを下されたのだ」と述べた。


 同じような心情がインドネシア及びインド洋沿岸で21万6千人もの死者・行方不明者を出した2004年津波被害生存者らからも聞かれた。


 今までインドネシアは自然災害、人的災害の双方に関する多くの災害に常に遭遇してきた。


 インドネシアを成す1万3000もの島々に2億2千万人の人々が暮らしており、世界でもっとも地震及び火山活動が活発な場所に位置している。異常気象は日常茶飯事で国民の半数以上はジャワ島に暮らしている。そしてこのジャワ島が去る27日に大地震に襲われ、活火山のメラピ山は数週間に渡り溶岩や火山ガスを噴出している。


 また民族性も多様なこの国においては日常的に殺し合いも生じており、アルカイーダテロ組織によるテロ攻撃も生じている。


 2004年にスシロ・バンバン・ユドヨノ大統領が政権を握って以来さらに災害が多発しているようにも見える。ユドヨノ大統領はこの時世を「インドネシアでは常に災害が生じていますよね」と語ったという。


 もちろんこれはユドヨノ大統領による冗談半分の発言であるが、このような皮肉な冗談によってインドネシア住民らが困難や貧困の行き渡る群島で何とか乗り切るのが励まされているという。


 ユドヨノ大統領が政権を握ってから一ヵ月後、警官がインドネシア首都ジャカルタにおける有料高速道路上の車列の先頭で車の交通を突然停止させたことによる交通事故で6人が死亡した事件をきっかけに、多くの国民らがユドヨノ政権の不吉な始まりを感じたという。


 2004年12月にはインドネシア最東部のパプア州で地震が生じ、30人が死亡した。


 その数日後には大地震がインドネシアのもう一端で生じたことで津波が発生し、インド洋を伝播し多くの沿岸諸国の国々の人々の命を奪った。


 2005年3月にはスマトラ島を襲った地震でニアス島において1000人もの人々が死亡した。


 昨年7月にインドネシア政府は鳥インフルエンザが上陸し、蔓延する恐れがあることを初めて認めた。その後36名もの人々が鳥インフルエンザで死亡した。


 さらに災難は続く。昨年8月にはスマトラ島メダン市において飛行機事故が生じ、150人以上の命を奪った。その後10月にはイスラム軍事組織がバリ島リゾート地のレストランに爆弾をしかけ、20人の人々が死亡した。その3年前にもバリ島では爆破攻撃によって202名もの犠牲者を出している。


 そして現在メラピ山は高温火山灰・噴出ガスを含む噴煙を噴出し、メラピ山中腹に住む人々は避難せざるを得ない状態になっている。


 外国人支援活動家らは津波災害後の生存者らの心の強さに衝撃を受けたと次々に語っているという。


 国連の支援活動家で津波災害後直ちにスマトラ島で支援活動を始めたダニエル・ジブ氏は、「ほとんどのインドネシア住民らが見せる高い災害処理能力には心打たれるものがあります。みなさんそれぞれの復旧活動にとても忙しく取り組んでいます」と住民らの取り組み姿勢を賞賛した。
 
 ユドヨノ大統領は災害対策に関して一部では賞賛を受けているが、野党政治家からは今回の地震に対する対応が迅速ではないと非難の声が上がっているという。


 政治経済分析家らによるとは今回の地震でユドヨノ政権を潜在的に傷つけることになったという。というのも、今回の地震は人口の最も集中しているジャワ島で生じており、今までの地震のように地方で生じたのではないからであるという。


 インドネシア科学研究所の政治アナリストリザー・スィチブディ氏は、「ユドヨノ政権の敵対勢力は今回の災害後の対策に付け込もうとしています。今後数日間で政府の対応に何の改善も見られなければ、ユドヨノ政権支持率は著しく低減するでしょう」と述べたという。


 ユドヨノ大統領自身も、艱難の中に神の導きを感じているという。29日ユドヨノ大統領は、「このような災害はすべてアッラーから生じたものです。このことを真摯に受け止め、互いに和解と謙遜の姿勢を身につけるべきです」と述べたという。
 

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