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ささきみつおの「ドント・ウォリー!」 (15)

2007年3月26日09時39分
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佐々木満男弁護士+
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 『どんなことにもくよくよするな!』(イーグレープ出版)の著者、佐々木満男弁護士のコラムを連載します。ラジオ大阪で現在放送中の人気番組「ささきみつおのドント・ウォリー!」(放送時間:毎週日曜日朝9:30〜、インターネットhttp://vip-hour.jp/で24時間無料配信中)でこれまでに放送された内容を振り返ります。「ミスター・ドント・ウォリー」こと佐々木弁護士が、ユニークな視点から人生のさまざまな問題解決のヒントを語ります。今日はその第15回目です。



                                     ◇
「私は映画の主人公」



 このところ、映画ブームですね。一昨年の映画「パッション」以来、「ナルニア国物語」とか「ダ・ヴィンチ・コード」とか、イエス・キリストにまつわる映画がヒットするようになってきました。一本の映画が当れば、数百億から一千億円を超える興行収入があがるようになりました。テレビに押されて一時衰退しつつあった映画産業が再び盛り返してきましたね。



 映画は芸能の集大成であると言われます。ある物語が新聞や雑誌に連載されて話題になると、本として出版されます。本がベストセラーになると、演劇になったりテレビのドラマになります。そして、最後は、映画として完成されるんです。



 映画を見ていると、自分がその俳優になったような気持ちになるんですね。ハラハラ、ドキドキ、泣いたり笑ったり、失敗したり成功したり、怒ったりゆるしたり、悲しんだり笑ったり、憎んだり愛したり。短時間ではありますが、映画のストーリーのさまざまな配役に自分が感情移入して、それぞれの人生を体験するわけです。それがとても楽しいんですね。



 ところで、あなたは、あなたという長編人生映画の主人公なんですよ。私は、「佐々木みつお」という人生映画の主人公です。私以外にこの映画の主役になれる人は誰もいないのです。



 「ささきさんの映画を作りたいんですが」。「ささきさんのことを映画にしてみたいんですが」。このところ、三人の方からこう言われました。「えっ、私のことなんか映画になるわけがないじゃないですか。私の映画なんか作ったって、おもしろくないから誰も見ませんよ」と、その都度お断りしました。面倒だという気持ちと、ちょっと恥ずかしいという気持ちもありましたが。でも、三人もの方が別々に、私の映画を作りたいと言ってきたということは、もしかしたら私の生き様が大勢の人にとって「おもしろい」と思われることなんでしょうか。



 私のことはさておき、この人を映画にしたら面白いだろうなぁという人は、私の知り合いにたくさんいます。あなたのお知り合いにも、いるんじゃないですか。自分の人生は、毎日が淡々と、あたふたと過ぎていくようで、退屈でつまらないなぁと思っていますが、第三者から見ると、結構面白いのかも知れませんね。



 「ささきさんの映画を作らせてください」と言われるようになってから、実は自分でも意識するようになってきたんです。自分が事務所で仕事をしている姿が映画になったらどう写るんだろうか。裁判所の法廷でやり合っている様子は、カメラにどう収まっているんだろうか。そんな風に自分の姿を外から見るようになると、けっこうおもしろいですよ。生活のひとコマひとコマに新鮮な意味が出てきます。



 さっきまで、イタリアンカフェでコーヒーを飲みながら物思いにふけっていた自分が、今はさっそうとタクシーに飛び乗って空港にむかっている。「国際弁護士ささきみつお物語」という映画の一場面を演じているんだと思うと、真剣さが違ってきます。なんか普段よりももっと派手にドラマチックにやりたくなってきます。同時に、映画だと思うと、精神的にはすごく楽になりますね。つい、「大変だ、大変だ、どうしよう、どうしよう!」と思ってパニックになりがちですが、「これは映画なんだ」と思うと、「いろいろなことがあっても最後はハッピーエンドなんだ、だから大丈夫なんだ」と妙に納得して安心することができます。



 ラジオ大阪のスタジオでマイクに向ってあなたに話しかけている自分を、映画の主役とみるわけです。「かっこいいなぁ」なんて思ってしまいます。実際は、ろれつが回らなくなったり、しどろもどろになったりして、何回もやりなおしてるんですけどね。



 ヘマをした時は、そのヘマがまた、映画の面白い一場面です。「さて、ささきみつおはこの失策をいったいどう挽回するのだろうか」と、われながら興味がわいてきます。



 あなたが難しい問題を抱え込んでいる時も、あなたという映画の一場面を自分で演じているんだと考えたらいいですよ。観客として、時には監督として、自分を客観的に眺めるんです。もっと悩んで苦しんでいる様子を演じるべきではないか、とか、問題なんか笑い飛ばして堂々としている方がいいのではないか、とか。



 自分を悲劇の主人公にするか、喜劇の主人公にするかは、あなたが決めることができるんですよ。いずれにしても、その重大場面を楽しむことができますよ。



                                     ◇



 佐々木満男(ささき・みつお):国際弁護士。宇宙開発、M&A、特許紛争、独禁法事件などなどさまざまな国際的ビジネスにかかわる法律問題に取り組む。また、顧問会社・顧問団体の役員を兼任する。東京大学法学部卒、モナシュ大学法科大学院卒、法学修士(LL.M)。

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