東日本大震災を受け、鉄道の運行状況などから、生徒の安全を第一に考えた措置として卒業式を中止する学校が多々存在している。そのような中、立教新座高等学校の卒業生にあてた校長先生のメッセージにインターネットユーザーらの注目が寄せられている。
立教新座高等学校はキリスト教に基づく教育を建学の精神に掲げている。同校校長の渡辺憲司氏は、卒業式が中止となった卒業生にあてたメッセージを同校のホームページ上に公開した。
ヨハネによる福音書8章32節「真理はあなたたちを自由にする」が引用され、「大学に行くとは『海を見る自由』を得るためではないか。現実を直視する自由だと言い換えてもいい。時に、孤独を直視せよ。海原の前に一人立て。自分の夢が何であるか。海に向かって問え。青春とは、孤独を直視することなのだ。直視の自由を得ることなのだ。いかなる困難に出会おうと、自己を直視すること以外に道はない。いかに悲しみの涙の淵に沈もうとも、それを直視することの他に我々にすべはない。海をみつめ、大海に出よ。嵐にたけり狂っていても海に出よ。真っ正直に生きよ。貧しさを恐れるな。思い出に沈殿するな。未来に向かえ。別れのカウントダウンが始まった。忘れようとしても忘れえぬであろう大震災の時のこの卒業の時を忘れるな。鎮魂の黒き喪章を胸に、今は真っ白の帆を上げる時なのだ。愛される存在から愛する存在に変われ。愛に受け身はない(一部抜粋)」と大災害の最中に卒業するに至った卒業生の真理への船出を祝うメッセージが掲載された。
また同校中学校卒業生に向けては、「歴史はおそらく2011年3月11日を境に、平成大震災前、平成大震災後と呼ぶでしょう。諸君は、この震災の直下に、社会的存在として旅立ちの時を迎えたのです。小さなペンギンのように海に出なければなりません。海辺でヨチヨチと波に踊り、どうやって水に入ろうかと迷っているときに、かつてない、親たちも見たことのないような、大きな波がやってきたのです。しかし、ペンギンに躊躇の時は与えられません。誰も背中を押しません。誰も今は危険だと引き留めてもくれません。濁流の海に泳いで生きていかなければなりません。この災害が、諸君の前に提示した課題はあまりにも重いものです。自然との共存とは何か。地球人とはなにか。地球上に共に生きるということは何か。私たちが築いてきた価値観も大きく揺らいでいます。歴史は、進歩という名の下で、大きな過ちをおかしているのかもしれません。流れを変えるのは君たちです。未来は君たちの双肩にあります。純なるものを求める、十五の春の涼やかな瞳よ。若さと正義に満ちた若者よ。凛凛と眉をあげ、この難題を心に刻み、立ち向かってほしいと思います(一部抜粋)」とのメッセージが掲載された。
東日本大震災で日本中が混とんとする中、キリスト教精神に基づく学校のメッセージがインターネットを通じ、同校卒業生以外のノンクリスチャンの一般人にも大きな感動を与えている。被災者に次々と物質的な支援物資が届けられる中、精神的な希望を与えるメッセージを日本中の人々が求める姿が垣間見られる。クリスチャンにとっては、「あなた方のうちにある希望について説明を求める人(Ⅰペテロ3・15)」にさまざまな機会を通して希望を告げ知らせる、大きなチャンスが訪れていることが伺える。
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