近頃、指導者たちがどのように自分に対する批判に対処し、攻撃を見過ごすべきかについて書いたが、やはり批判や攻撃されることが多くの指導者にとって最も大きな躓きとなると思われる。
「砂漠の聖人たち(the Desert Fathers)」の話の中でその問題点をうまく指摘した話があるので紹介したい。
―「ある兄弟がエジプトのマカリオスのところへ行き、『父よ、どうか御言葉を下さい。そうすれば私は救われるでしょう。』と述べた。するとその年老いた男は『墓場に行って死んだ者たちの悪口を言ってきなさい』と話した。その兄弟は墓場に行き、死んだ者たちの悪口を述べ、石を投げつけた。そしてまた年老いた男の下に戻っていった。男は兄弟に『死んだ者たちはあなたに何か言ったか?』と尋ねた。兄弟は『いいえ』と答えた。
年老いた男は『明日また墓場へ行き、彼らを褒め称えなさい』と命じた。兄弟はまた墓場に行き、死んだ者たちを称賛し、彼らを使徒、聖人と呼んで祝福した。それからまた年老いた男の下に戻っていき、『私は彼らを褒め称えました』と述べた。その年老いた男は彼に『彼らは何か答えたか?』と聞いた。兄弟は『いいえ』と答えた。
その年老いた男は『あなたはどのように彼らを侮辱したかを知っており、彼らはそれに答えなかった。そして彼らをどのように褒め称えたかを知っているが、それにも答えなかった。あなた自身も同様だ。あなたが救われたいと思うのであれば、同じことをされても死んだ者とならなければならない。死んだ者のように、他者の中傷や称賛を気にしなければ、あなたは救われるだろう』と述べた」
(注記:エジプトのマカリオスは4世紀に存在したキリスト教の聖人。正教会ではエギペトの聖大マカリイとも言われる。この時代の「救われる」という意味には「聖化される」という意味合いが込められているものとして理解されるべきである。4世紀の聖人たちが用いる「救い」には「転換・聖化・栄華」の意味が含まれている。)
―この話から、もしあなたが今度誰かに攻撃を受けたなら、次の4つのステップを踏むことで躓きを避けられるといえるだろう。
1.あなた自身が攻撃されたという事実を認識する。自分自身をごまかすことはできない。認識できなければ、その状態から昇華することはできない。
2.攻撃される生き方も一つの生き方であることを覚える。攻撃されない生き方を選ぶことだってできる。あなたが独特の人間であることの一つの意味として、あなたの前に起こったことに対してあなたがどのように対応するか自分で選ぶことができることが挙げられるだろう。
3.批判や称賛などに対して「死んだ者」であることを覚える。あなたがクリスチャンならば、パウロ使徒は「あなたがたはすでに死んでおり、あなたがたのいのちは、キリストとともに神のうちに隠されてある(コロサイ3章3節)」ことを覚えるべきだ。称賛や批判に支配される必要はない。むしろそれらをあなたの思考の中で処理できるようにするべきだ。
4.他者を赦し、そのままにしておく。これはギリシャ語で「Apoluo」と言われるもので、「囚人を自由にすること、解放すること、債務者の債務を免除すること」という意味がある。「怨恨を持ち続けているということは毒を飲みながら他者が死ぬのを期待しているようなものだ」と言われる通りである。
効果的な指導者は攻撃を看過する術を学んでいる。ソロモンの訓戒「人に思慮があれば、怒りをおそくする。その人の光栄は、そむきを赦すことである(箴言19・11)」を大切にしているのである。
(本コラムは米クリスチャンポストから翻訳しています)
トーマス・ネルソンCEO マイケル・ハイアット氏
トーマス・ネルソンは世界最大のキリスト教書籍出版会社である。米国内では書籍出版貿易で第7位となっている。同氏のブログ(http://michaelhyatt.com)、指導者として必要な福音的思考法やウェブサイトによる効果的なビジネス法、出版業界に関するトレンドなどを紹介している。
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