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ささきみつおの「ドント・ウォリー!」 (6)

2007年3月8日16時41分
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 『どんなことにもくよくよするな!』(イーグレープ出版)の著者、佐々木満男弁護士のコラムを連載します。ラジオ大阪で現在放送中の人気番組「ささきみつおのドント・ウォリー!」(放送時間:毎週日曜日朝9:30〜、インターネットhttp://vip-hour.jp/で24時間無料配信中)でこれまでに放送された内容を振り返ります。「ミスター・ドント・ウォリー」こと佐々木弁護士が、ユニークな視点から人生のさまざまな問題解決のヒントを語ります。今日はその第6回目です。



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                                     ◇
「ボタンのかけちがい」



 さあ、会社に朝出勤だというときに、ワイシャツのボタンをかけちがえて困ったことはありませんか。さあ、パーティにお出かけというとき、ドレスのボタンのかけちがいにあわれたことはありませんか。



 ボタンをかけちがったらどうしますか?かけちがったまま出かけたら、いつまでも気持が悪いですよね。でも、もう一度全部ボタンをはずして、はじめからかけ直せばいいんですよね。急いでいる時は、イライラして、ちょっとめんどうですが、ボタンのかけ直したあとはずっと気持ちよく過ごせます。



 問題の多くは、お互いのちょっとした「気持のくいちがい」から生じます。ご主人は会社から疲れて帰ってくる時、家に着けばいつものように奥さんの笑顔とおいしい食事が待っていると期待します。ところが、一日中子育てに疲れた奥さんは、ご主人が帰ってきたらたまには子どもを預けて少し横になって休んで、外に食事に連れて行ってもらいたいと思っています。二人のこんなちょっとした「気持のくいちがい」が調整されないでいると、やがて大きな夫婦げんかになってしまうことがよくあるのではないでしょうか。



 きのうまで仲良かったのに、なんだか今日はおかしいなと気づいたら、お互いに「今日はあなたちょっと変よ、どうかしたの」「君こそおかしいじゃないか、昼間なんかあったの」と話し合ってみればいいんですね。そうすると、「なあんだそうか、それもそうだな」と理解し合うことができて、大きな問題にはなりません。お互いに親しいから当然わかり合えているものと思い込んでしまうのが、そもそもの間違いです。どんなに親しくても説明してくれなければわからないことはたくさんあるのです。



 なにか問題が起こったら、あまり深刻に考えないで、単なる「ボタンのかけちがい」じゃないかと考えてみるといいですよ。ボタンをかけ直したら、それでほとんどの問題は解決するんです。先日、ある男性から相談を受けました。10年前にお互いに愛し合って結婚してお子さんが2人いるんですが、最近は奥さんが度々ヒステリーを起こして、「別れたい、別れたい」と言って非常に困っているとのことでした。初めは超ラブラブだったのに、そんなに仲が悪くなった原因は何ですかと聞くと、「いろいろ考えたんですが、さっぱりわからないのです」と言います。



 別の日に奥さんに会って、「どうして別れたいんですか」と聞いてみました。すると、「うちの主人は、私が何年もかけて言っているのに、一日に一回しか歯を磨かないんです。それが原因です」と言うではありませんか。「ご主人が一日に一回しか歯を磨かないから離婚するんですか。ちょっと原因が小さすぎると思うのですが」と答えると、「いや、私にとっては大問題なんです。私はもともと潔癖症で、歯をちゃんと磨かない人とはキスもしたくないんです。結婚したての頃は、いつか主人が言うことを聞いて直してくれるだろうと期待して我慢していたんです。でも10年言いつづけても改善してくれない主人は、私のことを気づかってもくれないし、愛してもいないのです。もうそんな人とは一緒に暮らしたくないから、別れたいんです」と言います。



 それをご主人に伝えると、「えっ、そんなことが原因なんですか。私は一日一回ちゃんと歯を磨いていればそれで十分じゃないか、それを二回も磨けなんて、めんどうくさくて、彼女の口ぐせにしかすぎないと思い気にかけないできただけです」「じゃあ、今日から1日二回歯を磨いてみたらどうですか」「はい、わかりました。やってみます」と、その日からご主人はめんどうくさいと思いながらも一日二回歯を磨き始めました。そうしたら、奥さんの態度がガラリと変り、新婚初期のラブラブの二人に戻ったそうです。



 要するに、単なる「ボタンのかけちがい」だったんですね。



                                     ◇



 佐々木満男(ささき・みつお):国際弁護士。宇宙開発、M&A、特許紛争、独禁法事件などなどさまざまな国際的ビジネスにかかわる法律問題に取り組む。また、顧問会社・顧問団体の役員を兼任する。東京大学法学部卒、モナシュ大学法科大学院卒、法学修士(LL.M)。

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