大半の社会で、宗教を信じ実践する女性は、依然として男性よりも多い。たとえその宗教が、女性の社会的、経済的、法的自由を制限するような伝統的な性別役割を促すものであっても、その傾向は変わらない。
このパラドックス(逆説)について、ウォーリック大学(英国)のザッシャ・ベッカー教授、コペンハーゲン大学(デンマーク)のヤネット・シンディング・ベンツェン准教授、ルーバン・カトリック大学(ベルギー)のポストドクター(博士研究員)であるチュン・チー・コック博士が、共同で研究を進めている。
1月28日には、3人が共同執筆した論文「ジェンダーと宗教:概況調査」(英語)が、人口経済学の学術誌「ジャーナル・オブ・デモグラフィック・エコノミクス」(英語)に掲載された。この日はちょうど、英国国教会で初めて女性のカンタベリー大主教が誕生するという、キリスト教界にとって象徴的な意味を持つ日でもあった。
論文は、経済学、社会学、心理学の各分野で数十年にわたって行われてきた調査を統合し、「なぜ女性は男性よりも宗教的なのか」「宗教は女性の社会的・経済的状況をどのように形作っているのか」という、関連し合う2つの問いを検証している。
世界各国の調査データを基に、論文の著者らは一貫したパターンがあることを裏付けている。それは、女性は男性よりも宗教的伝統に帰依し、定期的に祈りをささげ、信仰を日々の生活の中心に据える傾向があるということだ。この傾向は、国や文化、そして大半の主要な宗教において共通して見られる。
ただし、礼拝への参加においては宗教的文脈によって、パターンが異なることもある。
「キリスト教が主流の社会では、女性の方が男性よりも頻繁に礼拝に出席しますが、イスラム教やユダヤ教の文脈では、その逆の傾向が見られます」
キリスト教徒の女性がより熱心に祈りに取り組む要因については、「女性の豊かな感情表現やケアを担う役割」に起因している可能性があるという。
論文は、宗教性の男女差について、これまで提唱されてきたさまざまな説明を検証している。その一つは、経済的役割に着目したものだ。1970年代の研究では、宗教活動は歴史的に、女性がより多くの時間を費やす「家庭内」の領域と結び付いていたことが示唆されている。
より最近の生活時間調査のデータによれば、家庭外で働く女性は宗教的実践のレベルが低くなる傾向があり、男女差は縮小する。しかし、それでも男女差が完全になくなるわけではないという。
もう一つの説明は、リスクに対する姿勢を中心としたものだ。早くも17世紀には、哲学者のブレーズ・パスカルが、神を信じることは合理的な選択であると論じた。なぜなら、もしその信仰が間違っていたとしても不利益はなく、正しければ無限の報酬が得られるからである。現代の研究では、女性は平均して男性よりもリスクを回避する傾向があることが分かっており、それが宗教的信仰をより魅力的なものにしている可能性がある。
宗教コミュニティーは「社会的な安全網」としても機能しており、経済的・個人的ダメージから個人を保護する役割を果たしている。
第三の視点は、論文の著者らが「欠乏に対する補償」と呼ぶものに焦点を当てたものだ。地位や雇用、公的な影響力に障壁がある社会において、宗教コミュニティーは、他では得られない「意味」や「承認」、そしてリーダーシップを発揮する機会を女性に提供できる。
論文は歴史的な事例として、20世紀初頭の韓国を挙げている。そこでは、キリスト教のリーダーシップへの女性の関わりが、教育や公的生活への女性の参加率向上と結び付いていた。
その他の説明としては、ライフサイクルや社会的パターンが挙げられる。妊娠、出産、ケアを担う役割などは、しばしば深い信仰心と結び付く。また、女性の方が、平均寿命が長いため、より宗教的とされる高齢者層において女性の割合が高くなるという側面もある。
宗教性の男女差は、近代化や世俗化、ジェンダー平等の進展に伴って縮小することが判明した。しかし、論文によれば、「この差は完全には消滅しない。高度に世俗化された国々でさえ、依然として女性は男性よりも宗教的である」という。
また、論文は次のようにも述べている。
「潜在的な社会化の影響は、婚姻状況による宗教性の変化にも表れている。既婚女性は独身女性よりも宗教的であるという研究結果が多く見られるが、これは結婚や母親になることで、宗教に関わることが社会的期待として高まることによる可能性がある(『良き母親』であることが、子どもを宗教的に育てることと同一視される場合がある)」
この他、論文の著者らは「世俗的な競合」の役割についても指摘している。男性は、宗教活動の代わりに、スポーツや社交クラブなどの非宗教的なコミュニティー活動に参加する傾向が強く、特にそれらが伝統的な礼拝の時間と重なる場合にその傾向が顕著になる。
宗教参加の理由の説明にとどまらず、論文は後半で、宗教そのものが女性の社会的・経済的状況にどう影響するかも検証している。
論文の著者らはここで、自然実験や政策変更、無作為化介入といった厳密な実証的手法を用いた研究に焦点を当て、広範な文化的・経済的要因から宗教の影響のみを切り離して分析を行っている。
それによれば、宗教は依然として、女性の社会的・経済的状況に広範な影響を及ぼし続けている。これには、教育の機会、結婚の時期、労働市場への参加、生殖に関する権利、出生率、さらには男児選好の強い社会における女児の出生率までもが含まれる。
宗教的観念は、教理を通じた直接的な形、あるいは立法者への影響を通じた間接的な形のいずれかによって、法律や公共政策をも形作っている。しかし、その影響は一様ではない。つまり、宗教は不平等を強化することもあれば、女性のエンパワーメントを後押しする力にもなり得る。
論文は、全ての信者が聖書を読めるようにと識字率向上を推進した初期プロテスタントの運動など、宗教運動が女性の地位向上を後押しした事例を挙げている。一方、その対極にあるのが、アフガニスタンのタリバン政権で、教育から女性を完全に排除することを正当化するために、宗教が利用されている事例として、取り上げられている。
また、論文は世代間の変化についても言及している。宗教性の男女差は高齢世代で最も大きく、オーストラリア、欧州、北米の若年層の間では縮小傾向にある。
これらの国々では、若い男性がより宗教的になる一方で、若い女性は組織化された宗教から離れつつある。この変化の一部は、家父長制的な男性性や「キリスト教ナショナリズム」を強く推進する地域教会の拡大に関連していると考えられている。
論文の筆頭著者であるベッカー氏は、ウォーリック大学のホームページ(英語)で次のように述べている。
「社会の近代化や世俗化が進むにつれて(宗教性の)男女差は解消されるのか、それともより根源的な要因が今後も女性を信仰へと引き寄せ続けるのか。これは、ようやく裏付けとなるデータが出始めたばかりの重要な問いです」
「女性の正規雇用への参加、生殖に関する権利、そして法的な権利や責任は、今なお宗教的教えによって直接的に、あるいは立法者への信仰の影響を通じて間接的に形作られています」
「こうした背景があるにもかかわらず、ほとんどの宗教が女性に多大なコストと負担を強いる家父長制的な規範を推進し、定着させている中で、平均して女性の方が男性よりも宗教的であるという事実は、明らかに一つの謎です」
ベッカー氏は最後にこう付け加えた。
「私たちが検証した研究は、部分的な説明を提示してはいますが、このパラドックスを完全に説明できる単一の理論や研究はまだ存在しないのです」


















