ミリアムは国外追放された後も信仰を守り、見知らぬ土地で小さな衣料品店を始めて生活を立て直していた。教会では婦人グループや日曜学校に仕え、「母」としての自らの役割を全うしている。子どもたちとの再会を信じて祈り続ける彼女にとって、信仰こそが全てであった。(第1回から読む)(人物の本名は伏せて変えてある)
「私の人生は、イエス様の御手の中にあります」。ミリアムのその言葉には、苦難の全てをくぐり抜けた者だけが持つ静けさと強さがあった。
故国では今もなお、改宗者に対する監視や圧力が続いている。ミリアムも身元が知られれば、再び命を狙われかねない。それでも彼女は、地下教会の婦人たちを励まし、自分と同じように信仰の道を歩み始めた若い女性たちの相談に乗っているのだ。
「彼女たちはかつての私です。家族を失い、孤独と恐怖の中にいるのです。でも、主は決して彼女たちを見捨てません」。彼女の証しは、多くの隠れ信者たちの希望のともしびとなっている。
ミリアムの子どもたちは、現在も中東のある国で暮らしている。最も年長の息子が一家を支え、弟妹たちを守っているという。ミリアムと彼らは、何度かオンラインで短い面会が許された。だが物理的な再会は、法的・政治的障壁によっていまだに実現していない。
「もう一度、子どもたちをこの腕で抱きしめたい。それが私の祈りです」。ミリアムは母親として、家族と信仰に満ちた穏やかな生活を、もう一度取り戻すことを願っている。迫害や圧迫の中、彼女は今でも信仰を守り続けている。しかし彼女自身はこう言う。
「支えてくださっている皆さんに、心から感謝しています。でも、私を守ってくださっているのはイエス様です。『あなたはわたしのものだ』と言ってくださった主の言葉で、私は今日まで歩んでこれました」
ミリアムが子どもたちと再会できるように祈ろう。また彼女が信仰を失わず、希望を持ち続け、彼女の証しがさらに多くの魂を主へと導くように祈ろう。「どうか、私と子どもたちが、恐れや迫害のない普通のクリスチャンとしての生活を送れるように祈ってください」とミリアムは乞う。
中東の厳格なイスラム教国には、ミリアムのように、迫害にさらされている改宗者の女性たちがたくさんいる。世界には今も、声を上げられない多くのミリアムたちがいるのだ。このような姉妹たちを祈りに覚えよう。このような国々に信仰の自由が確保され、福音の種が豊かにまかれるように祈っていただきたい。
◇