Skip to main content
2025年11月14日17時49分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 書籍

希望とは何か? 神学者でもある教皇ベネディクト16世の回勅『希望による救い』

2024年11月12日10時37分 執筆者 : 臼田宣弘
  • ツイート
印刷
関連タグ:ベネディクト16世(ローマ教皇)カトリック教会
ローマ教皇ベネディクト16世+
現役時代のローマ教皇ベネディクト16世=2012年(写真:vipflash / Shutterstock)

本書『希望による救い』は、先代の第265代ローマ教皇ベネディクト16世(2005年4月19日~13年2月28日在位、22年12月31日死去)による回勅です。回勅とは、教皇が信者の信仰生活を指導することなどを目的に、全カトリック教会に宛てて送る書簡で、重要度の高い教書とされています。『希望による救い』は2007年に公布されたものですが、教皇ベネディクト16世による回勅としては2番目のもので、その前は05年に『神は愛』という回勅が公布されています。

ベネディクト16世はドイツ出身で、本名をヨーゼフ・ラッツィンガーといいます。叙階後、神学者として高く評価された人です。その意味で、本書は「希望とは何か」ということを教示する優れた神学書ということもできると思います。

パウロは自身の書簡に、「信仰と、希望と、愛、この三つは、いつまでも残ります」(1コリント13:13)、「あなたがたが信仰の働きを示し、愛のために労苦し、また、私たちの主イエス・キリストに希望を置いて忍耐していることを、絶えず父なる神の前に思い起こしているのです」(1テサロニケ1:3)と記している通り、「信仰・愛・希望」を大切にしています。

1番目の回勅『神は愛』は、この3つのうちの「愛」について語られています。その結論は、「まず神が私たちを愛され、それによって私たちも愛する者とされる」ことであると、私は読み取りました。これは、「私たちが神を愛したのではなく、神が私たちを愛し、私たちの罪のために、宥(なだ)めの献(ささ)げ物として御子をお遣わしになりました。ここに愛があります。愛する人たち、神がこのように私たちを愛されたのですから、私たちも互いに愛し合うべきです」(1ヨハネ4:10~11)とある通りです。

それを基にして本書を読みましたが、2番目の回勅である本書においても、「真実の希望は、神以外にありえません」(56ページ)とした上で、その神と私たちの関係は、「すべての人のあがないとしてご自身をささげた」イエスとの交わりを通して築かれるものであり、そのイエスは私たちに「他の人のために生きるよう命じます」(57ページ)とし、「希望は神にのみあり、それは自分だけでなく他者との関係においてなされる希望である」ことが示されています。「神から他者へ」という図式は、「愛」だけでなく「希望」においても同じなのだと思わされました。

本書は「希望」を新約聖書から定義付けています。それは、ヘブライ人への手紙10~11章を釈義することから始まります。この中で、11章1節の「信仰とは、望んでいることがらの〈ヒュポスタシス〉であり」のヒュポスタシス(ὑπόστασις)を、「実体」と解釈し(19~20ページ)、実体は確実なものであり、神への希望はこのヒュポスタシスであるとしています(25~26ページ)。真の希望は、霧のようなつかみどころのないものではないということでしょう。

この箇所を2つの日本語訳聖書で読み比べてみました。1987年出版の新共同訳は「信仰とは、望んでいる事柄を確信し」となっていましたが、2018年出版の聖書協会共同訳は「信仰とは、望んでいる事柄の実質であって」と訳されており、本書の解釈に適合するものになっています。

その他、本書において印象深かったことは、「永遠のいのち」についての解釈です。現代人の多くが望むのは現在であって、永遠に生き続けることは、恵みよりも刑罰のように思われているのかもしれないとした上で、「永遠とは、いつまでも暦の日付が続くことではなく、完全な満足を感じる瞬間のようなものだと考えてみなければなりません。その瞬間、全体がわたしたちを包み、わたしたちも全体を包みます。それは無限の愛の海に飛び込むのに似ています。そのとき、時間は、過去も未来も含めてもはやなくなります」(32~33ページ)としています。私自身はこの解釈に大変魅力を感じました。

平易に読める本であるとはいえないかもしれませんが、「希望」という聖書の言葉を考えるのにふさわしい一冊として、本書をお勧めします。

■ ローマ教皇ベネディクト16世著『希望による救い』(カトリック中央協議会、2008年6月)

◇

臼田宣弘

臼田宣弘

(うすだ・のぶひろ)

1961年栃木県鹿沼市生まれ。80年に日本基督教団小石川白山教会(東京都文京区)で受洗。92年に日本聖書神学校を卒業後、三重、東京、新潟、愛知の各都県で牧会。日本基督教団正教師。2016年より同教団世真留(せまる)教会(愛知県知多市)牧師。

関連タグ:ベネディクト16世(ローマ教皇)カトリック教会
  • ツイート

関連記事

  • 「父よ、わたしの霊を御手にゆだねます」 前教皇ベネディクト16世の葬儀に5万人参列

  • 「高貴で、とても優しさのある人」 教皇フランシスコ、前教皇ベネディクト16世を偲ぶ

  • ベネディクト16世は「愛の教皇」 日本カトリック司教協議会会長がコメント

  • 前教皇ベネディクト16世、現教皇フランシスコ就任5周年で擁護の書簡

  • 英隆一朗著『イエスに出会った女性たち』をネガティブ・ケイパビリティの視点で読む

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • オリンピックでメダル12個獲得の米競泳選手が受洗、離婚訴訟と依存症克服のさなかで

  • 日本キリスト教団出版局、事業を整理・縮小へ 5月に債務超過

  • 花嫁(37)鉄塔と母 星野ひかり

  • その時、祈りは聞かれた 穂森幸一

  • メル・ギブソン監督「パッション」続編がクランクイン、キャスト一新でイエス役も新俳優

  • 天にフォーカスして生きよう 菅野直基

  • AIは福音宣教の未来をどのように形づくるか ローザンヌ運動が福音主義の視点で考察

  • ワールドミッションレポート(11月14日):ブラジル 世界最大のカトリック国で起きている劇的な地殻変動(5)

  • 神の見えざる御手 佐々木満男

  • 米ムーディー聖書学院、教育実習プログラムからの排除巡り教育委員会を提訴

  • オリンピックでメダル12個獲得の米競泳選手が受洗、離婚訴訟と依存症克服のさなかで

  • 日本キリスト教団出版局、事業を整理・縮小へ 5月に債務超過

  • メル・ギブソン監督「パッション」続編がクランクイン、キャスト一新でイエス役も新俳優

  • ローマ教皇レオ14世に聖書協会共同訳のミニチュアバイブルなど献呈

  • 米ムーディー聖書学院、教育実習プログラムからの排除巡り教育委員会を提訴

  • ワールド・ビジョンがクリスマスキャンペーン、教会で酒井美紀さん登場のコンサートも

  • 神の見えざる御手 佐々木満男

  • 超自然的現象と科学(13)アガペーを持続させる火「ドード」 愛多妥直喜

  • 世界62カ国で宗教的「迫害」や「差別」 2年に1度の「世界信教の自由報告書」発表

  • 世界福音同盟(WEA)「ソウル宣言」全文和訳

  • オリンピックでメダル12個獲得の米競泳選手が受洗、離婚訴訟と依存症克服のさなかで

  • 日本キリスト教団出版局、事業を整理・縮小へ 5月に債務超過

  • メル・ギブソン監督「パッション」続編がクランクイン、キャスト一新でイエス役も新俳優

  • カンタベリー大聖堂の「落書き」プロジェクトに批判の声

  • 「電波宣教師」の尾崎一夫氏死去、短波ラジオ・HCJB日本語放送に60年以上従事

  • 【書評】加藤喜之著『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』

  • ワールド・ビジョンがクリスマスキャンペーン、教会で酒井美紀さん登場のコンサートも

  • 全ての人に福音伝えるための「イエスのモデル」 WEA総会でリック・ウォレン氏が講演

  • やなせたかしさんの妻・小松暢さんはクリスチャン、朝ドラ「あんぱん」きっかけに判明

  • 聖書アプリ「ユーバージョン」が間もなく10億インストール 11月に「聖書月間」開催

編集部のおすすめ

  • 「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション

  • 教団・教派超えて神の平和求める 戦後80年で「日本国際朝餐祈祷会」初開催

  • イエスの統治を祝う祭典「ジーザス・レインズ」が10周年 ラップ賛美など新しい試みも

  • 「聖書を読まなかったら、今の自分はない」 元ヤクザの進藤龍也氏と山崎純二氏が対談

  • 「20世紀のフランシスコ・ザビエル」 聖心女子大学で岩下壮一神父の特別展

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.