Skip to main content
2025年6月15日20時35分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 社会
  3. 福祉・医療
保育の再発見

保育の再発見(1)発達障害に対する接し方から考える「保育とは何か」

2023年4月19日11時09分 執筆者 : 千葉敦志
  • ツイート
印刷
関連タグ:発達障害障がい
子ども/children/kids/幼稚園/kindergarten/保育園/nursery+
※ 写真はイメージです。(写真:しろたく)

わたしたちは人を欺いているようでいて、誠実であり、人に知られていないようでいて、よく知られ、死にかかっているようで、このように生きており、罰せられているようで、殺されてはおらず、悲しんでいるようで、常に喜び、貧しいようで、多くの人を富ませ、無一物のようで、すべてのものを所有しています。(新約聖書・コリントの信徒への手紙二6章8b~10節)

保育を語るときに、前提となる事柄があります。それは「保育とは養護と教育が一体となったものである」ということです。保育とは、子どもを一人の人として尊重して生かす働き(養護)と、その子が生きる力を紡ぎ出していくように導く働き(教育)の組み合わせによって成し遂げられていくことなのです。

専門家とは誰なのか

現在は、「広汎性発達障害」という言葉が公的に語られることはほとんどありません。21世紀に入ってすぐ、発達障害という概念が日本に入ってきたとき、「自閉症」「アスペルガー症候群」「注意欠陥多動性障害(AD/HD)」「学習障害」など、さまざまな「障害」としての概念がなだれ込んできました。

そして不幸なことに、当初はそれらが児童犯罪と関連させられながら、報告・認知されていきました。多くは「社会性の障害」という症状で紹介され、「障害」である以上、それに対応する行為は医療行為に該当するといわれていた時代がありました。つまり、診断が下った時点で、保育士はその子に対する支援を専門家に委ねるように要請されたわけです。そして、保育施設は研修などで、当時できたばかりの支援施設の支援員からこのように言われました。

「あなたたちは専門家ではないので何もしないでください」

つまり、診断が下った時点で完全に手を引け、と言われていたわけです。こういう考えを持ちながら、保育指導などに入る支援事業所もありますが、芳しくない事例も見聞きします。保育施設と保護者の間に割って入り、「あの保育園は、あなたのお子さんに向かないから転園させなさい」と言うような、ひどい事例も聞いたことがあります。

「障害」の概念が変わった

こんなことが10年も続いてしまうと、保育士たちも、また保護者でさえ、発達障害に対し、漠然とした恐怖しか抱けなくなります。しかも、診断も対応も全ては専門家の手の中です。

しかし、ここ20年の間に研究が進み、今では、自閉症、アスペルガー症候群などを含む広汎性発達障害は「自閉症スペクトラム」という名称に置き換えられています。そして、障害者の概念はこの20年で急速に変わってきました。それは、今までは「障害者は一生障害者」という捉え方だったのが、「たとえ障害があったとしても健常者同様に生活できるなら障害者ではない」という捉え方に変わってきたことです。

例えば、極度の遠視や近視などの視力障害は、現代ではメガネやコンタクトレンズで簡単に乗り越えられる場合が少なくありません。こうしたメガネを作るには、医師による診断書と処方箋が必要ですが、メガネをかけられない状態の時や、メガネをかけている状態で不自由を感じる時に必要となる支援は、保育におけるところの「養護」になります。まさにこの部分を、かつて「専門家ではないので何もしないでください」と言われた保育士が担っていかなければならないのです。

この養護に当たることに関して、眼科医やメガネ屋が文句を言ったりすることはないでしょう。それと同様に、たとえ自閉症スペクトラムであっても、養護は行わなければならないのです。つまり、医師の診断はある、療育(発達支援)も受ける、この2つは前提ではあるものの、他の児童と同じように養護を制限されることはあってはならないのです。

気になる子が増えている?

実は、発達の遅れなどが疑われる子の何割かは、そうした遅れが環境によって起こることが知られています。また、劣悪な保育が発達を阻害するケースも昔から存在しています。その一つが「虐待」です。虐待には、身体的虐待、心理的虐待、無視や放置といったネグレクトなどがありますが、これらのものが子どもの発達を著しく阻害するのです。

このことは特に注意しなければいけません。発達障害が疑われる子が増えているとよく聞きますが、少子化が加速度的に進行している現代にあって、これだけ増えるのは統計的に見ても不自然です。これは、環境が子どもの発達にとって非常に困難な時代になってきていることの現れともいえます。逆に言えば、環境を整えると、発達は著しく促されるということでもあります。

保育の工夫

虐待とは違いますが、よく聞くケースには、弟や妹が生まれたころに、幼児退行する事例(いわゆる「赤ちゃん返り」)があります。これは、家族、特に母親の関心が弟や妹に取られてしまったような気になり、本能的に「赤ちゃん化」してしまうものです。いきなり幼児語を使ってみたり、母乳や哺乳瓶を要求してみたり、お漏らしをしたりして、自分に関心を向けようとするのです。このような場合、保育士としては当然、その子の悩みに寄り添い、共有し、言語化し、前向きな方向に進めるように背中をそっと押してあげます。

では、例えば、そのような子に「赤ちゃん、かわいいね」と声をかけたらどうでしょう。これは、評価対象が赤ちゃん(その子の弟や妹)になってしまうので、あまり適切ではありません。「お兄ちゃん(お姉ちゃん)になったんだ。大きくなったね」などと声をかけた方がよいでしょう。また、より積極的に「お兄ちゃん(お姉ちゃん)、偉いね」などと、下の子ではなく、その子本人を評価してあげることもよいでしょう。

このような言葉がけが本人の自己肯定感とうまくつながると、赤ちゃん返りは徐々に落ち着き、今度は積極的に赤ちゃんの面倒を見始めたりすることが、保育所でよく見られる光景です。行き詰まったり、後戻りしてしまったりした発達を、このような配慮で新たな環境を示し、導き、自信を与えてあげるのです。

このような工夫は、実は集団保育でしか行えないことでもあります。療育(発達支援)は、現状個別で行うしかありません。それは、その子のその療育に対してのみ経費がついているからです。しかし、一人一人は家庭や保育施設、学校などの社会で生きています。そのため最近では、療育を行う支援関係者の中にも、保育で行われている支援や工夫が必要であることを認める人が増えています。

保育で発達を促す

保育で発達を促すために必要な要素も分かっています。そのため保育では、「肯定的な言葉をかける」「失敗を許容する」「自己表現を促す」「適切な挑戦を提供する」ことが強く意識されるべきとされています。

今の保育施設の配置基準(子どもの数に対して最低限必要な保育士の数)が、75年前の基準だとよく指摘されていますが、75年前にあふれるほどいた子どもたちをどのように管理していたかを考えてみると、今の保育が忘れてきたもの、失っているもの、そして、期待できなくなったものが分かってきます。次回は、それらのことをひもときながら、保育の在り方を考えていきたいと思います。(続く)

次回へ>>

※ 本紙では通常「障がい」と表記していますが、本連載では文意などを考慮し、「障害」と表記しています。

◇

千葉敦志

千葉敦志

(ちば・あつし)

1970年、宮城県生まれ。日本基督教団正教師(無任所)。教会付帯の認可保育所の施設長として、保育所の認定こども園化を実施。施設長として通算10年間、病後児保育事業などを立ち上げたほか、発達障害児や身体障害児の受け入れや保育の向上に努め、過疎地域の医療的ケア児童の受け入れや地域の終末期医療を下支えするために、教会での訪問看護ステーション設置などを手がけた。その後、これまでの経験に基づいて保育所等訪問支援事業を行う保育支援センターを立ち上げた。現在、就労支援B型事業所「WakeArena」を立ち上げ、地域の福祉増進を目指している。

関連タグ:発達障害障がい
  • ツイート

関連記事

  • 保育施設における虐待はなぜ起こるのか(1)保育論が教育論になってしまった弊害

  • 園児置き去りはなぜ起こるのか 日本の保育システムに根強く残る問題

  • 子どもたちをどう守るか―児童福祉の現場から(1)数字で見る虐待の現状と現場の実情

  • “難病だからこそ生きる意味がある“ 「35歳までの命」余命宣告受けた筋ジストロフィー患者の保田広輝さん

  • 脳性麻痺と共に生きる(1)自己紹介 有田憲一郎

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ワールドミッションレポート(6月12日):ベルギーのために祈ろう

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • ワールドミッションレポート(6月9日):カンボジア ポル・ポトの迫害を乗り越えた西チャム族のために祈ろう

  • ヨハネの黙示録(3)御言葉と証し 岡田昌弘

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.