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「援助」か「伝道」か、四川省地震被害者救援にも微妙な影響

2008年6月10日02時23分
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【CJC=東京】 中国四川省を荒廃させた5月12日の地震の後で、「援助」か「伝道」かという昔ながらの課題が、被害者救援に微妙な影響を及ぼしている。災害後、中国は現金、物品、ボランティアなどの形で国外からの援助受け入れを決めた。中国政府によると、内外の宗教団体から寄せられた援助は1億6000万元(約24億円)に達した。



 これまで中国政府は、キリスト教会が外国からの影響を受けることを好まず、自立を要請し、それを受け入れたものを「公認」して来た。ただ一方で非公認の「地下教会」も見逃せない規模になっている。カトリック教会の場合は、司教任命にバチカン(ローマ教皇庁)の介入を認めなかったことから、両教会が並立しており、有力援助団体『国際カリタス』も、政治的に独自の地位にある香港の『カリタス香港』を通じ調査、援助を行っている。



 被災地の四川省は山岳主体で交通路の整備もままならない事情もあり、政府は援助に関しても公認団体経由に集約、それ以外のルートは摘発される可能性もある。



 現在、カトリックでは『進徳公益』、プロテスタントでは『愛徳基金会』や現地成都のYMCA(イザベラ・フア総主事)などの実情が伝えられており、日本などからの援助もこれら団体を通じることになろう。



 宗教の自由をめぐって共産党指導者と福音派の対立は長いが、現在は手探りの状況だ。福音派内部でも、大規模地震という異常事態に、北京政府の規制をくぐり抜けることへの疑問も出ている。米『サマリタンズ・パース(サマリア人の財布)』は中国政府と直接接触して援助を進めるなどの動きも見せている。



 米国に本拠を置く中国のキリスト教抑圧監視団体『対華援助協会』のサイトが『ウォールストリート・ジャーナル』紙報道として、ジョナサン・ブライト(30、韓国キリスト教学校教師、米国人)さんの事例を伝えている。ブライトさんは救援物資を集めて被災地に向かったが、目的を果たせなかった。北京から飛び立った飛行機が四川省の首都成都に着陸する前に、ブライトさんは聖書についての説明やキリスト教放送局に関する詳細を書き込んだカードを飛行機のトイレの落としたことが乗員の注意を引いたのだ。



 中国警察は飛行機に乗り込んで来て、説明を求めた。その後で彼が望むなら別の便に乗せると言う。ブライトさんは帰ることにした。「私が新たな信者を生み出そうとしていると思って気にしたのだ」と言う。



 ブライトさんの経験は、地震被害に苦しむ中国人へのキリスト教援助に対する緊張と疑念を反映している。



 著名な大衆伝道者ビリー・グラハム氏の子息で援助組織『サマリタンズ・パース』総裁のフランクリン・グラハム氏は、地震被害者に援助出来るなら、宗教活動を控えることに良心の呵責を感じないとして、「人々が死に直面している時に、そこにいて、答えることでこそ、神の愛を示すのだ。今は説教することを望む時ではない。後でそのための機会はある」と言う。地震発生時、グラハム氏は中国政府国務院宗教事務局と公認教会訪問のため中国にいた。



 直ちに公認教会のために30万ドル(約3100万円)提供を約束し、さらに大規模な援助物資空輸のために自分のチャンネルを使って関係筋と折衝を始めた。成都に到着した米国非政府組織の援助物資ではグラハム氏のものが最初だったと言う。



 中国当局はグラハム氏に、福音伝道は出来ないとはっきり言ったわけではないが、「基本原則は知っていたから、四川省で説教することは頼まなかった。ただ、私たちがキリスト者だとは言った」と同氏は述べている。



 中国国務院宗教局は、中国で宗教活動に従事する外国人は関係法令に従わなければならないとしているが、それには宗教パンフレット禁止と許可なしの改宗も含まれている。



 『サマリタンズ・パース』が5月23日にノースカロライナ州シャーロットから成都に向けて援助物資を満載した飛行機を出発させた際の記者会見には、中国大使館の担当者も同席した。100万ドル以上のテント、水濾過装置などの物資は、『サマリタンズ・パース』スタッフが使い方を教授した後、中国政府と軍を通じて配布された。



 四川省で活動しているキリスト教救援団体『オペレーション・ブレッシング』も、これまで世界のどこでも改宗活動はしておらず、中国政府とは長年にわたる関係を維持していると言う。



 強力な公式ルートを通じる活動を評価するものの、自らそのようなルートを持たないキリスト教援助組織は、自分たちの活動の方が受ける制約が少ないと指摘する。



 『対華援助協会』も20家族分のテントを持ってボランティアが中国に向かった、とボブ・フー会長が語った。現地の非公認教会と接触、そこを通じて個人的にテントを届ける計画と言う。「私たちはテントを配り、『イエスはあなたを愛している』と言う。その人たちのために祈り、その心を慰め、相談にのってあげたい。被害者が必要とするものは水や食糧など物質的なものだけではなく全体的なものだ」と、フーさん。ただそれは自分たちや非公認教会のボランティアを危険にさらすことにもなる。



 すでに中国人ボランティア3人が物資を配る際に祈ったのを理由に警察に拘留されたとの報道を聞いたと言う。四川省宗教局は問い合わせに答えなかった。



 ロサンゼルスに本拠を置く宗教の自由擁護団体『オープンドアーズ』のカール・メラー総裁は、どのような政治的な懸念をも宗教は超越すべきと思うとして、「イエスが、世界に出かけて伝道するようにと言った時、ビザを取得出来る場所に行くようにとは言わなかった」と述べている。「最も純粋な意味で福音伝道をすることは政治に関係ない」と言う。



 成都行きを断念したブライトさんが中国を離れる際、親切なタクシー運転手が、寄付を集めているる政府関係機関に連れて行ったと言う。そこで援助物資を降ろした。「祈りが正に聞かれたようだった」と語っている。

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